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» 2007年02月15日 21時22分 公開

デジタルデバイドを解消せよ――アッカのモバイルWiMAXは“地方”からスタート

アッカが2006年12月期の決算説明会で、WiMAX事業の説明を行った。アッカはなぜ、都市部ではなく地方からのエリア展開という戦略を取ったのだろうか。

[平賀洋一,ITmedia]
photo アッカ・ネットワークス 代表取締役社長 坂田好男氏

 アッカ・ネットワークスは2月15日、2006年12月期の決算説明会において、参入を表明しているWiMAXの事業展開を説明した。

 ADSL・FTTHのホールセール事業で知られる同社だが、一般家庭向けADSLの成長は止まっており、FTTHについてもアーリーアダプターの加入が一段落して、大幅な伸びは期待できない状態にある。今後は法人を対象とした回線事業のほか、M2Mを含むソリューション事業への取り組み(2006年9月の記事参照)、1月末に発表した映像コミュニケーション事業(1月31日の記事参照)などを展開し、業績の落ち込みを回避する方針だ。

 さらに同社では、新たな無線ネットワーク事業としてWiMAX(IEEE802.16e)の展開をアナウンスしている。2006年2月に本格的な取り組みを開始して以降(2006年2月の記事参照)、横須賀リサーチパーク(2006年11月の記事参照)や、横浜みなとみらい地区(2006年12月の記事参照)で無線局免許を取得し実証実験を行っている。また、3月からは新潟県魚沼市で、県や市と共同のモバイルWiMAX実証実験を行う予定だ(2月14日の記事参照)

 アッカの坂田好男社長は魚沼市で予定している実証実験に触れ、同社のWiMAXサービスを地方から展開する考えであると述べた。WiMAXの特性を生かしてルーラルエリア(地方部)へブロードバンド環境を提供し、デジタルデバイドエリアの解消につなげたい考えだ。

photophoto 今後の事業展開は、WiMAX・映像コミュニティ・ソリューションの3本柱(左)。オープンなWiMAXの特性を生かせるのは、しがらみのないアッカだけというスタンスだ(右)

 こうした地方での取り組みに欠かせないのが、各自治体との連携。「WiMAXはオープンなプラットフォームであり、ほかの事業者との協業がやりやすい。これは公共機関にとっても同様で、各地方自治体と共同での面展開が可能」(坂田社長)と、世界標準であるWiMAXは地方展開においても有利であるとコメント。さらに、バックアップに衛星回線を使うなど他の通信回線を組み合わせた実験やサービスについても、地方では取り組みやすいことや、都市部以外でも技術者を育成できる可能性も挙げた。

 また、「地方であれば、エリアや施設が小規模であっても一通りWiMAXを使っていただくことができる。同じコストで都心部へ部分的に展開しても、十分なサービスが提供できるとはかぎらない」と、地方ならではの効率的なエリア展開にも期待を寄せている。

 地方からのスタートでは、コストの回収など財政的に難しいのではないかという指摘について、「我々による回線の直販だけでなく、MVNOによる回線の提供も考えられる。さまざまな形態で展開でき、補助金の活用も考えられる」(坂田社長)と、エリアに合わせてリスクが少ない方法を選ぶことができ、デメリットを打ち消せると強調した。

 アッカ以外のモバイルWiMAX事業は、「携帯キャリアが既存のモバイルネットワーク事業を補完するために取り組んでいる」(アッカ)というのが現状だ。キャリアによる垂直統合モデルのまま、都市部を中心にモバイルWiMAXを展開してもその良さは発揮できないというのが、アッカのスタンスだ。

photophoto オープンな環境のWiMAX連合体を作ることで、幅広い事業展開が可能に。また、コスト的にも有利だという

 “しがらみのない”ワイヤレスネットワークの構築をうたうアッカでは、WiMAXを中心とした緩やかな連合体を目指している。同社のネットワークは直販だけでなくMVNOによる提供も前提になっており、携帯電話とは違ったオープンな環境のもとで、各ネットワークオペレーターや端末メーカー、コンテンツプロバイダーやアグリケーターらが広く参入するという構想だ。

 坂田社長は、「グローバルスタンダードなWiMAXを活用することで地方のデジタルデバイドを解消し、日本の通信業界に変革をもたらせたい」と意気込みを語った。

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