携帯がコンテンツ認証の“鍵”になる――インテルらが新サービス

» 2007年03月05日 19時53分 公開
[ITmedia]

 インテル、フェイス、吉本興業の3社は、3月6日から6月末までの約4カ月間にわたり、フェイスの権利認証技術「Near Field Rights Management(以下、NFRM)」を利用した有料コンテンツ配信サービス「NFRMサービス(仮称)」の実証実験を実施すると発表した。

 NFRMサービスは、NFRMとFeliCaチップの近距離通信機能を利用することで、NTTドコモのおサイフケータイ(FeliCa対応携帯)で購入したコンテンツを携帯だけでなく、FeliCaポート搭載PCでも楽しめるようにするというもの。ユーザーは専用のPCアプリケーションとiアプリをダウンロードし、インストールするだけでサービスを利用できる。


photophoto NFRMサービスの利用フローは「携帯で探す」→「携帯で購入する」→「PCにFeliCaをかざす」→「自分のPCで見る」の4つ

 CDやDVDを貸し借りすることはあっても、携帯を貸し借りすることはない。ある意味で最もセキュアな携帯にコンテンツの権利情報を保持し認証の鍵とすることで、コンテンツの不正利用や違法な複製を防ぎたい考えだ。

 実証実験ではアンケートを実施するほか、ユーザー属性やアクセスログなどのデータを取得。ユーザーにNFRMサービスを体験してもらい、そのフィードバックを商用サービスに反映させるとともに、NFRM技術の利点を紹介することで幅広い事業者の参加を促していく。

 現在は15社が実験への参加を表明しており、1社あたり3コンテンツ程度を無料提供するという。参加企業および提供コンテンツのジャンルは以下の通り。

実証実験参加企業 コンテンツジャンル
朝日放送 ニュース
eレッスンNHK出版 レッスン、教材
ウォルト・ディズニー・テレビジョン・インタナショナル ジャパン アニメーション、映画
エクシング カラオケ映像
オン・デマンド・ティービー 映画など映像作品
ギガネットワークス エンタテインメント
Qlick.TV ドラマ
デスペラード 映画など映像作品
ドーガ堂 エンタテインメント
ナショナルジオグラフィックスチャンネル ドキュメンタリー
日本テニス協会 スポーツ
ネオ・インデックス エンタテインメント
Viacom International Japan K.K. エンタテインメント
ブロードバンドタワー ドラマ
吉本興業 エンタテインメント

 実証実験を始める段階とあって、課金方法やPCでの配信方法(ストリーミングかダウンロードか)など、詰めるべき問題も山積みだが、いくつもの選択肢を想定し、実験を進めながら検討していきたいとした。なお、専用アプリのダウンロード方法など詳細は、6日未明に正式オープンするNFRMのPCサイトで明らかにされる。

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インテル、フェイス、吉本興業、実証実験への意気込み語る

 発表会では共同事業推進者である3社から、インテル代表取締役共同社長の吉田和正氏、フェイス代表取締役社長の平澤創氏、吉本興業代表取締役社長の吉野伊佐男氏が登壇。各社の担う役割と実証実験への意気込みを語った。

photophotophoto (左から)吉田和正氏、平澤創氏、吉野伊佐男氏

 デジタルホーム向けPCプラットフォームの提供と、PC業界への普及促進の役割を担うのがインテルだ。「PCと携帯を連携させることで、デジタルコンテンツの流通が活性化し、新しいビジネスモデルを創造できる。商用化に向けてしっかりと実証実験を行い、安定したサービスをユーザーに提供したい。新サービスは誰かが引っ張っていかなくてはいけないもの。3社が結集してデジタルホームをけん引していきたい」(吉田氏)と、使命感にも似た思いを口にした。

 NFRMの技術開発/提供を行うフェイスは、着メロの統一ルールとしてCompact MIDIフォーマットを普及させた実績を持つ。担う役割は携帯業界への普及促進。「インターネットのブロードバンド化やデジタル家電の普及など、高品質なコンテンツを気軽に楽しめる環境が整っており、コンテンツの流通は大きな転換期を迎えている。携帯を軸としたコンテンツ配信の新たな統一ルールを創造し、将来的にはテレビやカーナビ、ゲーム機などでも楽しめるサービスを目指したい」(平澤氏)と、先々の展開にも意欲を見せた。

 実証実験ポータルサイトの構築/運営、エンターテインメントコンテンツの企画/制作/提供を行うのが吉本興業。吉野氏はコンテンツプロバイダらしく「権利認証が最大の悩み」と話すとともに、「今や誰でも所有している携帯を用いた認証技術が実現すれば、コンテンツの配信に大きな変革をもたらす。コンテンツを容易に、最良の手段で見られることは、コンテンツ価値の最大化にもつながっていく」(吉野氏)と期待を寄せた。

photo 岡本充由氏

 3社以外にも、コンテンツ配信サーバとデータセンターなどのインフラを提供するNTTスマートコネクトから、代表取締役社長の岡本充由氏が登場。「実証実験では技術的な検証に加えて、実際に使う人がどのように利用するのかを見ていきたい。実験を通じて、安心してコンテンツを利用できる環境と流通の普及促進を目指したい」との意気込みを示した。

 また来場こそなかったものの、ドコモ執行役員 マルチメディアサービス部部長の夏野剛氏からの「NFRMはタッチするだけの簡単な操作で、コンテンツの楽しみ方を広げる画期的なサービス。今後ドコモはケータイとさまざまな機器を連携していく取り組みを積極的に推進していきたい」といったコメントも紹介された。


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