インタビュー
» 2007年03月06日 23時18分 公開

“犯罪の抑止効果を生むケータイ”を目指す──新ジュニアケータイとSweets cuteに込められた思い開発者に聞く「ジュニアケータイ」「Sweets cute」(2/3 ページ)

[青山祐介,ITmedia]

位置情報は2時間分の連続した軌跡が確認可能に

 子ども向けということで、ジュニアケータイ、Sweets cuteともに“安心”機能をさらに進化させたのも重要なポイントだ。外観上で分かるのは、防犯ブザーの鳴動方法がより実用的になった点。従来のジュニアケータイA5520SA/SA IIやSweets pureにも防犯ブザーは付いていたが、その起動はサイドキーや[#]キーの長押しに割り当てられ、いざというときに使いやすいとはいえなかった。NTTドコモの「キッズケータイ SA800i」のように、防犯ブザーのためのリングが用意されているほうが操作しやすいのは明白だ。

 そこで、今回のジュニアケータイは一般的な防犯ブザーのように、大きなリング状の引きヒモを装備。リングを引くことでロータリースイッチが回転し、ブザーが鳴動するようになった。Sweets cuteはデザインへの配慮からこうした引きヒモを設けていないものの、背面に大きなツメ状のスイッチを設置している。ここをスライドさせれば、防犯ブザーが鳴動する仕組みだ。

 「ジュニアケータイの大きな引きヒモは、“デザインとして無いほうがいいのではないか”という意見もありますが、安心を最前面に押し出すということで、“間違いなく引ける、安心して使える”という機能優先で付けました。Sweets cuteも機能としては同等のものを備えていますが、やはり女の子が持って満足できるよう、デザイン性を損なわないよう配慮しました。ただ、機能性をも犠牲にすることはできないので、両方を満たすような形のスイッチとしました」(大下氏)

 防犯ブザーはただ鳴動するだけでなく、端末のGPS機能とネットワーク側のサーバと連携しており、緊急通知機能のトリガーとなる。防犯ブザーをオンにすると自動的にカメラが起動し写真を撮影。次にあらかじめ登録したペア機能の相手に自動的に音声通話を発信する。通話が成立する/しないにかかわらず、GPS機能で位置を自動的に測位し、その位置情報をauのサーバに送信。受信したサーバはURLを生成して端末に送り返し、それを受け取った端末は、撮影した写真とURLをセットにして、ペア相手にEメールを送信する。ここまでが端末側ですべて自動的に行われる動作だ。

 一方、この緊急通知のメールを受け取った側は、メールを開くとまず添付の写真でその状況を把握できる。また、メールの本文上にあるURLにアクセスすると、地図上に端末の位置が表示され、メールを送信した端末の現在位置を確認できる。

PhotoPhotoPhotoPhoto 防犯ブザーを鳴らすか、端末の電源を切ろうとすると緊急通知機能が起動する。まず周囲の写真を撮ってGPSで位置を確認し、それをサーバに送ってURLを取得、取得したURLをEメールでペア相手に送信して待機状態に入る。以降は1分おきに位置を測位し、5分に1回サーバに情報を送信する
PhotoPhotoPhotoPhoto 緊急通知機能が作動すると、「【緊急】防犯ブザー鳴動」という題名のCメールがペア相手に届く。メールには移動経路が参照できるURLが記載されており、端末から直接アクセスして確認できるほか、PCからアクセスすることも可能だ。

 GPSによる位置通知機能は、新モデルのジュニアケータイとSweets cuteで大きく進化した点の1つだ。従来の子供向け携帯で防犯ブザーの鳴動時に通知できたのは、鳴動したときの場所だけだったが、新モデルは、約2時間分の移動経路を通知する。緊急通知機能を起動した端末は、1分間に1回自分の位置を測位し、5回分をまとめてサーバにアップするという動作を2時間繰り返す。これにより、位置情報のURLを受け取った側は、緊急通知を起動した端末が、その後2時間でどう動いたかを1枚の地図上で確認できるわけだ。この機能を実現するために、新たにネットワーク側にauが専用のサーバを用意した。

 「緊急通報は、防犯ブザーを鳴動させたときだけでなく、電源を切っても起動します。最近、誘拐事件で携帯電話によって犯人や被害者の位置がわかり解決したというケースがよくありますが、逆にそのことが報道されると、犯人は携帯電話の電源を切ってしまう恐れがあります。しかし、それは我々の想定内で、電源ボタンを押すとあたかも電源が切れたように画面が消えますが、逆にそのことで緊急通知機能が動き出す疑似電源オフ起動もあります」(大下氏)

 もっとも携帯電話の電源であるバッテリーを外されたら電源は切れてしまうが、開発側でもそれは想定しており、ジュニアケータイとSweets cuteには、簡単には電池が外せない仕組みを設けている。ジュニアケータイは電池カバーそのものがロック機構で保護され、専用の取り外しキーでないとフタが開かない。Sweets cuteは電池カバーは手で外せるが、電池そのものが特殊なネジでロックされ、簡単には外せない。不慮の事態が起こったその時、簡単に外せない仕組みにすれば、“イザというときに携帯が役に立たない”といったことが起こりにくくなるわけだ。

さまざまな状況に対応する、3つの起動方法

 緊急通知機能を起動させる3つ目の方法がCメールによる起動だ。これは、あらかじめペア相手として登録してあるau携帯電話からCメールを使った遠隔操作で緊急通知を起動できるというもの。緊急事態の通知というよりも、親が子どもの現在位置を知りたいときに使う機能といってもいいだろう。

 特定のフレーズをCメールで端末に送ると、自動的にGPSで測位を開始。いったん緊急通知モードに入ると、ペア相手からの電話を受けたりする以外は一切のキー操作が効かなくなる。その後の動作は、写真撮影と自動発信がないものの、ほかの2つの緊急通知モードとほぼ同じ。緊急通知は2時間継続され、途中で終了することもできない。こうした緊急通知を2時間以内に終了させるには、通知終了のメッセージをペア相手からCメールで送るしかない。

 「緊急通知による位置情報は5件登録できるペア相手に送られるため、例えば、お母さん、お父さんの携帯電話、自宅の電話番号、自宅のPCといった具合に登録しておけば、携帯でもPCでも確認できます。ただ、強制的な起動や終了はCメールでないとできません。それだからこそ、ペア相手にはau携帯電話を使ってほしいですね」(大下氏)

 強制起動や終了といった操作をCメールで行うようにしたのは、Cメールが直接相手の端末にデータを送り込む“直送メール”だからだ。未着の場合にもそのことがすぐに分かるというメリットがある。この操作をEメールで行う仕様にすると、緊急性を要するのにメールがどこかのサーバに滞る事態になりかねず、さらに相手に届いたかどうかが分からない。Cメールというauならではのネットワークサービスをうまく利用しているわけだ。

 今回の“安心”機能は、これまでの緊急通知機能をさらに発展させ、より信頼性の高いものにしている。さまざまな方法を駆使して、子どもの状況を伝えるというフェイルセーフ的発想は、本気で子供の安全を考えた防犯機能といえる。

 「確かに写真撮影機能は、不測の事態の中でちゃんと写るかどうかは分かりません。とはいえ、例えば看板1つでも写っていれば場所の手がかりになるし、逆に、学校が写っていれば何もなかったということも分かります。写真撮影でうまく写るかどうか分からない、音声の自動発信も成立するか分からない、犯人に携帯電話を取り上げられたら何も聞こえないかもしれない、位置通知も地下に入ったらうまく機能しないかもしれない──という懸念もありますが、緊急通知機能は3つあるので、それぞれが補完しあうことができます。1つ1つで安心が確保できるものではありませんが、3つを組み合わせて使うことで、ある程度の安心が確保できるのではないかと思います」(大下氏)

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