携帯向けOS開発大手のシンビアンが3月8日、事業概況とSymbian OSの最新トピックを紹介する説明会を開催した。シンビアンの久晴彦社長は、Symbian OS搭載機の累計出荷台数がSymbianの創立から9年目で1億1000万台を突破したと報告。「2006年だけで5170万台。1億1千万台のうち半分以上が去年出荷された」と、近年の事業の好調さを印象づけた。
第4四半期の出荷台数も1460万台と好調に推移し、「単純に計算すると“1秒間に2台、世界中のどこかでSymbian OSが載った端末が出荷されたことになる」と久社長。うち20%が日本からの出荷になるといい、富士通や三菱電機、シャープ、ソニー・エリクソン・モバイル、ノキアらがSymbian OS搭載機をリリースしている日本市場の貢献が大きいと説明した。
2007年についても、既に9モデルが日本市場向けに登場。海外でも「3GSM World Congress 2007」でNokiaが5機種の新モデルを発表し(2月13日の記事参照)、Motorolaが久々のSymbian OS搭載機となるキックスライダー端末「MOTORIZR Z8」を発表するなど出足も好調だ。久社長はLinuxを推進するMotorolaからSymbian OS搭載機が登場したことについて「Z8の開発責任者がSymbian搭載機をリリースした理由を“通信オペレーターと話すと、Symbian+UIQの端末が欲しいという声が強い。だから開発した”と話していた」というエピソードも披露した。
出荷台数の拡大に伴って財務面も好調に推移しているといい、2006年には黒字に転換。2006年の売上高は1億6500万ポンド(約360億円)に達したという。
2007年の目標については、「国内でドコモ向けにSymbian搭載機を開発しているメーカー4社へのサポートをきっちりやるとともに、パートナーの強化を図る。海外展開についてもお手伝いしたい(2月8日の記事参照)」と説明。Symbian搭載機の2000万台出荷が間近に迫った日本市場で、同OSの価値をさらに高めたいとした。
Symbian OSの新たな取り組みとして紹介されたのが、Symbian OSのPOSIXへの対応だ。シンビアンでディレクターテクニカルコンサルティングを担当する山田貴久氏は、POSIXをサポートすることで、LinuxやUnixで動くアプリを導入しやすくなり、Symbian端末上で動くエンタープライズソリューションの可能性が広がると説明する。「別のプラットフォームへの移行は手間もコストもかかるが、それが軽減される」(山田氏)
またこれまで、Symbian OSのソリューションはSymbian OSのネイティブなC++で書く必要がああるが、「C言語のAPIがあったら楽だと思う人も多い」(同)ことから、POSIX C APIを提供。メーカーや独立系ソフトウェア会社のリソース不足をC言語の技術者に活躍してもらうことで補いたい考えだ。「Symbian OSのC++は車に例えるとF1カーのような存在。徹底的なチューンアップで究極のスピードを出せるが運転が難しい。一方の“C”はプログラミング言語のカローラ。充分に速く、たいていの人が運転できる」(同)
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