「これからが、我々の本当の力の見せ所」──ソフトバンク孫正義氏(1/2 ページ)

» 2007年05月09日 16時13分 公開
[園部修,ITmedia]
Photo ソフトバンクの決算について説明する孫正義社長

 ソフトバンクは5月8日、2007年度3月期の決算を発表(5月8日の記事参照)。連結売上高は前年同期比129.5%増で、過去最高の2兆5442億円を達成。連結営業利益は前年同期比4.3倍の2710億円、連結経常利益は前年同期比5.5倍の1534億円を計上した。

 特にソフトバンクモバイルは、創業以来最大の売上高および営業利益・経常利益に大きく寄与した。そのため孫正義社長は「ボーダフォンの買収前には資金、収益性、ユーザー数、ブランド力などさまざまな懸念材料があったが、結果的にはすべてクリアでき、まずまずのスタートを切ることができた」と話し、“買収してよかった”という思いを改めて表明した。

 「新規参入事業者として携帯電話事業を始めていたら、おそらく5〜6年、あるいは10年くらいの赤字は避けられず、Yahoo!BBを立ち上げた当初のような、大変な産みの苦しみを味わうことになったと思う。そういった深掘りをしなくてはいけない選択肢に比べると、ボーダフォンの買収ははるかによい選択であり、正しい方向性だったと感じている」(孫氏)

PhotoPhoto ボーダフォンを買収したことで、劇的なスタートダッシュが決められた

 契約数は、2006年4月の1522万から85万増の1607万へと増加し(5月9日の記事参照)、ボーダフォン時代から劇的に増加。3G比率も2007年4月末で51.1%と一気に半数を超えてきた。3Gの解約率も、1.5%を下回るレベルにまで改善している。プリペイド携帯は現在純減傾向で、プリペイド携帯をのぞけば純増数はさらに多いという。

PhotoPhotoPhoto 契約数の純増はボーダフォン時代を大きく上回るペースに。純減傾向にあるプリペイドをのぞくと、直近ではさらに大きく伸びているという。3G比率も51.1%に

 またソフトバンクモバイル自体の営業利益も1.8倍に増えた。これには85万契約の純増、急速に進んだ3G化、解約率の低下に加えて、ソフトバンクテレコムやYahoo!BBとのシナジーによるコストダウン、割賦販売による販売奨励金の回収などがバランス良く改善されたことなどが寄与した。販売奨励金は2万9000円とのことで、ドコモやKDDIが平均3万7000円であることを考えると、かなり安い水準といえる。

基地局は4月末で3万1000局

 基地局の増設による3Gネットワークの強化は、2006年5月に掲げた目標からはやや遅れているものの、2007年3月期の第3四半期決算で表明したとおり、2007年度上期中には達成できるとの見通しを示した。

 孫氏によると、2007年4月末時点での開局済み基地局は約3万1000局。さらに、すでに工事中の基地局と用地確保済みの場所を含めると、3月末の時点で4万6000局を超えており「あとは時間の問題」(孫氏)だという。残りの基地局はまだ1万5000局あるが、孫氏は「工事は手を付ければ数カ月で終わる。言い出せばきりがないくらいの現場的いいわけがあるが、上期中には必ず4万6000局を達成する」と強い意志を見せた。

Photo 開局済み基地局は4月末時点で3万1000局に。2007年度上期中に4万6000局を達成する見込み

 なおHSDPA対応の基地局は、4月末時点で約6000局。2006年10月末の約3000局(2006年11月の記事参照)から倍増している。

 基地局を増設したことで、つながりにくい状況が徐々に改善されつつあり、ユーザーのネットワークに対する満足度は、2006年6月の時点を100とすると、2007年3月には26%改善した。基地局の増加に伴って、満足度が加速度的に向上しているという。

一気に増えた端末数とカラーバリエーション

 端末は、2006年度の1年間で35機種を発表し、19機種だった2005年度から倍近くに増えた。ちなみに2005年度の下期にボーダフォン、NTTドコモ、KDDIが発売した機種数はそれぞれ12機種、20機種、18機種。これが2006年度の下期はソフトバンクモバイルが39機種、ドコモが24機種、KDDIが20機種で、豊富なラインアップをそろえた。色数も、2005年度下期は31色しかなかったものが、2006年度の下期には一挙に120色に増え、他社を圧倒する品ぞろえを実現している。

PhotoPhotoPhoto 端末ラインアップは、1年間で35機種を投入し大きく改善。機種数、色数ともに競合を圧倒していることをアピールした

 これに伴って、端末のデザイン、機能、大きさなどに対するユーザーの満足度は2006年春モデルと比べて大きく上昇。特に使いやすさは約2倍に向上しており「ユーザーに好かれる端末が投入できた」(孫氏)と自信を見せた。また2007年には、これまでの「ワンセグ」「スリム」というトレンドに加えて「812SH」で「ファッション」という新しいトレンドを作り、「ケータイのトレンドセッターとなっている」(孫氏)こともアピールした。

 2007年夏モデルは、5月22日に発表することが明らかにされた(5月8日の記事参照)。その場では、ソフトバンクモバイルとしてのプラットフォーム戦略などについても語られる模様だ。

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