バベル「家に向かっているよ」:Mobile&Movie 第258回

» 2007年05月11日 14時47分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名バベル(BABEL)
監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
制作年・製作国2007年アメリカ作品


 今回ご紹介する作品は、菊地凛子のアカデミー助演女優賞ノミネートでも話題を集めた『バベル』。旧約聖書の、神の怒りに触れて言葉が乱された“バベルの塔”のエピソードを元に、心を伝えられないもどかしさが描かれています。菊地凛子が演じた聾唖の女子高生は、携帯のテレビ電話を使って手話で話します。以下、内容に触れますので、これから見る予定の方は、注意して下さい。

 チエコ(菊地凛子)は、東京に住む聾唖の女子高生。父親のヤスジロー(役所広司)と2人で暮らしていますが、事あるごとに父親に反抗してしまいます。苛立つ気持ちは父以外にも溢れてしまい、同じ高校の仲間や教師にもケンカ腰の態度。友人と繁華街へ遊びに行くことが、チエコにとっては最高の気晴らし。自宅で着替えていると、親友から携帯に連絡がありました。

 親友はテレビ電話で「家に向かっているよ」と手話で伝えてきました。笑顔で応えて出かけるチエコ。父親に反発しているチエコでしたが、「忘れずに歯医者に行くように」というメールが届けば、友人と別れて素直に従うのでした。そんな反抗期の娘を心配しているヤスジローの元に、ある時刑事が尋ねてきます。それは、ヤスジローが所持していた拳銃の所在についてでした。

 一方、リチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)の夫婦は、絆を深めるため、モロッコを訪れていました。子供2人を子守りに預けて、2人きりで出かけた旅行でしたが、モロッコの僻地はスーザンには合わず、子供を置いてきたことを後悔するばかりで、さらにリチャードとの溝が拡がっていくよう。

 隣同士に座り、バスで移動する間も言葉を交わさないスーザンとリチャード。そんな時、バスの窓ガラス越しに一発の銃弾が、スーザンの肩を貫きます。バスの中はたちまちパニック状態に。リチャードは何とかスーザンの手当てをしようと奔走します。

 スーザンを撃った銃こそ、かつてヤスジローがモロッコに滞在した時に使っていたもの。昔はハンティングを趣味にしていたヤスジローが、モロットのガイドに譲ったライフルでした。そのライフルが運命のいたずらで、日本の親子、アメリカの夫婦、そしてモロッコの家族を巻き込んでいくのです。

 さらに、アメリカに残してきたスーザンの子供たちは、メキシコ人の子守りに連れられて、国境を越えることに。それぞれの場所で、言葉が伝わらない、心が通じ合えないがために引き起こされたクライマックスを迎えるのです。ラストシーンは、菊地凛子の体当たりの演技が圧巻です。

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