「X01HT」のUIとタスク管理を改善――「XRoof」を試す(2/2 ページ)

» 2007年06月19日 00時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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タスク管理を拡張しプログラムの「終了」にも対応

photo Windows Mobile標準のタスク管理画面。タスクの切り替えや終了が可能だが、この画面に到達するまでのステップが多すぎる

 XRoofは単に端末のインタフェースを変更するだけでなく、タスク管理機能も拡張する。この機能の方が、XRoofを導入するきっかけになるかもしれない。

 基本的にWindows Mobileは、ベースになったPocketPCからユーザーがプログラムを終了させるという概念がない。新たにプログラムを起動すると、それまで起動していたプログラムは実行用メモリを占有したままバックグラウンド処理に移行する。

 プログラムには[×]ボタンがあるが、これはWindowsでいう終了ボタンではなく、最小化ボタンに相当する。[×]ボタンを押してもプログラムは終了せず、バックグラウンドに移るだけだ。そのため、簡単に実行用メモリが一杯になってしまう。その際、バックグラウンド動作しているプログラムを自動終了し、必要な実行用メモリを確保する。

photo これは前面で「Soft Bankメール」、バックグラウンドで「Windows Media Player」「Internet Explorer」を実行中の画面。ナビゲーションバーには、前面で実行中のプログラム名とバックグラウンドで実行中のプログラムアイコンが表示されている。後述する[最小化][終了]の2つのボタンが表示されている点にも注目したい

 モバイル向けの組み込みOSとして、この仕様に問題はないと思うが、現在のハード性能(処理速度やメモリ容量)ではWindows Mobileのマルチタスク機能を生かしにくい。手動で起動中のプログラムを切り替えるには、「スタート」→「設定」→「システム」タブ→「メモリ」→「実行中のプログラム」タブを開いて操作する必要がある。起動中のプログラムを終了させるにも同じ操作が必要だ。

 XRoofをインストールすると、ナビゲーションバーに前面で動作しているプログラムと、バックグラウンド動作しているプログラムのアイコンを表示する。このアイコンをタップするだけで、起動中のプログラムを切り替えられ、よりPCに近い操作が可能になった。

photo こちらはドロップダウンメニューによるプログラム一覧。ナビゲーションバーにアイコンが表示しきれなくなった場合はこちらを利用する

 ナビゲーションバーに表示できるアイコン(プログラム)はおおむね3〜4個に限られ、表示しきなれなくなった場合は専用のメニュー画面を表示して切り替えや終了を行う。メニューはプログラム名(非表示の場合はアイコン列の右にある空間)をタップするか、[Windows]ボタン(もしくは本体左側面にある[OK]ボタン)を2回押すと現れる。

 プログラムを前面で実行すると、ナビゲーションバーには[最小化][終了]の2つのボタンを表示する。[最小化]ボタンはWindows Mobile標準の[終了]ボタンに相当し、「終了」ボタンはそのプログラムを終了させ実行メモリを開放する。先に触れたプログラム一覧にも[終了]ボタンがあり、バックグラウンドで動作している任意のプログラムを終了させることが可能だ。また、「すべて閉じる」「前面を閉じる」「前面以外を閉じる」といった操作もできる。

 XRoofを使うことでマルチタスクの使い勝手が向上するだけでなく、実行用メモリを効率よく使うことが可能になる。

専用設計ならではの使い勝手と安心感は魅力

 XRoofと同様の機能を持つWindows Mobile用ソフトは、フリーソフトとして複数公開されている。特にタスク管理に関してはPocket PC時代から疑問視されており、例えば日本HPの「iPAQ Pocket PC」では初期の製品から「iTask」と呼ぶタスク管理ソフトをプリインストールしていた。そういう意味でXRoofは「画期的」と呼べるソフトではない。

 しかし、XRoofにはX01HT専用というメリットがある。ハードウェアの関連情報(アンテナバーなど)を表示するナビゲーションバーをそっくり置き換え、もともとの使い勝手を損なわずにスマートに機能を拡張している。用意されるテーマもX01HTのボディカラーに合わせたもので、専用ソフトならではの心遣いといえる。

 また、XRoofはフリーソフトではあるものの、キャリアであるソフトバンクモバイル自らが提供している点も重要だ。先に提供されたS!メール(MMS)対応の「SoftBankメール」は要望の多さから当然としても、さまざまなソフトでカスタマイズできるスマートフォンを売るだけでなく、後から付加機能を提供しようという姿勢は評価できる。

photophoto これは無線LANアクセスポイントを検出したところ。左がWindows Mobile標準、右がXRoofのナビゲーションバー。左は無線LANの動作状態を示すアイコンが表示されているが、右は何もない。この点は早急に改善してほしい

 唯一気になった点は、XRoofを起動すると無線LANの接続状況がナビゲーションバーに表示されなくなることだ。未登録アクセスポイントの通知は問題なく行われるが、どの登録済みアクセスポイントに接続しているのか分かりにくい。ソフトウェアアップデートで改善できると思うので、早急に改善してほしいと思う。

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