NTTドコモは7月から、W-CDMAの高速化技術HSDPA/HSUPAをさらに進化させ、飛躍的な性能向上を目指す次世代通信規格「スーパー3G」の実証実験を開始した。
スーパー3Gは、W-CDMA(3G)の技術をベースに、データ通信速度を高速化させ、また接続遅延(レイテンシ)の短縮や周波数利用効率の向上を行うシステムとされている。すでに標準化団体3GPPでLTE(Long Term Evolution)として標準化が進められており、ドコモはLTEの標準化で中心的な役割を果たしているという。同社は2006年7月にスーパー3Gに対応した基地局と端末を開発するメーカーを募集し(2006年7月の記事参照)、機器の開発を進めてきた。
7月に開始した実証実験では、新たに開発したスーパー3Gの試作装置を利用して、室内で無線データ転送能力を評価しているという。実験当初は送受信アンテナをそれぞれ1本ずつ用意し、基本性能の確認を中心に行うが、最終的には基地局側からの送信と端末での受信にそれぞれ最大4本のアンテナを用い、下りMIMOを利用した、下り最大約300Mbpsでのデータ転送の実現を目指す。また基地局を2つ用意し、基地局間のハンドオーバーなどを実際に検証して、移動中の環境でも安定した通信ができることを実証する予定だ。
W-CDMA(3G) | HSDPA/HSUPA(3.5G) | スーパー3G(3.9G) | |
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周波数帯 | 3G用周波数帯(2GHz帯および3G用追加周波数帯) | ||
周波数帯域幅 | 5MHz | 1.4/3/5/10/15/20MHz | |
無線アクセス方式 | DS-CDMA注意 | OFDMA(下り)/SC-FDMA(上り) | |
最大速度(上り) | 384Kbps | 5.7Mbps | 約80Mbps |
最大速度(下り) | 384Kbps | 14Mbps | 約300Mbps |
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