4Gなんていらない?──ウルトラ3Gとスーパー3G

» 2005年06月16日 18時00分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 2001年に国内で3G(FOMA)がスタートして以来、次の大きな変化は2010年の第4世代(4G)と言われていた。ところが、このところ3Gの改良を進める動きが盛んだ。

 KDDIは「ウルトラ3G」構想(6月15日の記事参照)を打ち出し、一方で、ドコモは「スーパー3G」を進めている(2004年7月23日の記事参照)。

 タイミング的には2010年──4Gが登場してもおかしくない時期。しかし「4Gを目指すのではなく、さまざまなネットワークのシームレス化を図る流れのほうが強い」と、KDDIは、敢えて“3G”という言葉を使った理由を説明する。

 KDDIのウルトラ3Gは、無線通信方式のみを指す言葉ではなく、固定網と無線網のバックボーンネットワークを融合し、固定と無線がシームレスにつながるネットワーク全体を指す。単なる通信速度の高速化よりも、柔軟なネットワーク構造のほうを、“次世代”としてアピールしたい考えだ。

 しかし4Gという名前を使わない理由は何なのか、もう少し詳しく見てみよう。

曖昧な“4G”の中で決まっていること

 4Gという言葉は存在しても、4Gがいったい何なのかはほとんど決まっていない。ほぼ確実なのは、3Gとは違う周波数帯を使うことだ。

 ドコモが4G向けとして開発を進めている通信方式では、5G〜6GHz以下の周波数を使って実験をしている(2004年12月17日の記事参照)。これは総務省が4Gへの割り当てを想定している帯域だ。

通信規格 周波数帯域 速度 時期
3G 2GHz帯 〜2Mbps 2001年
3.5G 2GHz帯 14Mbps 2006年
3.9G 2GHz帯 30Mbps程度 2009年
4G 5G〜6GHz帯 100Mbps〜 2010年移行

 周波数帯が変われば基地局を新たに設置し、通信インフラを一から作り直すことになる。3Gで周波数帯が2GHz帯に変わることで、ドコモやボーダフォンが味わった苦しみが、4Gへの移行でも再び発生することになる。

 4Gで想定しているような5G〜6GHzという高周波数では、ますます電波の直進性が強まり、減衰率も高くなる。高速通信は可能になるが、携帯電話向けとしては扱いにくくなるのは間違いない。

 KDDIが4Gという言葉を使わず、3Gの一種としてウルトラ3G構想を発表したのは、この周波数の問題があったからだ。周波数帯が変わることをイメージさせる“4G”という言葉を使いたくないという思いが、ウルトラ3Gという名称には込められているのだろう。

 そもそもKDDIが3Gへの移行をスムーズに行えたのも、2Gと3Gで同じ周波数帯を使い、方式の互換性を維持したことが大きい。発表でも、次世代CDMA2000の目標として「現行CDMAシステムとの互換性の維持」を挙げている。つまりは既存の周波数帯を使ったサービスを目指すとしている。

 ドコモもスーパー3Gを3.9Gとも呼び、3Gと周波数などでの互換性を維持するとしている。具体的には2GHz帯の5MHz幅を使う計画だ。「2004年末の3GPPの会合で、W-CDMAを発展させる検討を行う提案を連名で行って承認された。想定しているのは30M〜100Mbps」(ドコモ)

 わざわざ周波数帯を変えてまで、4Gを導入する必要があるのかどうか。ドコモの榎氏ではないが(2004年11月20日の記事参照)、単なる通信速度の向上ではなく、何が4Gで可能になるのかを改めて考えていく必要があるだろう。

1.25MHz幅で1Gbps?

 現行3Gとの周波数やシステムの互換性を維持──。KDDIが進めるウルトラ3G構想を、無線の面から見た場合、最大のポイントはここだろう。

 しかし下り100M〜1Gbpsを目指すという次世代CDMA2000では、周波数面の互換性が足かせになるかもしれない。現行の3Gでは、1XでもEV-DO(WIN)でも1.25MHz幅のキャリアを使っているからだ。

 無線通信では、利用できる周波数幅が広いほど高速通信が容易になる。W-CDMAでは5MHz幅を使っており(これがWideBandと呼ばれるゆえんだ)、4Gでは100MHz幅を使う予定だ(2004年12月17日の記事参照)。1.25MHz幅のままでは、100Mbpsといった高速化は難しい。

 KDDIはウルトラ3G網に接続する無線通信方式として、NxEV-DO──つまり1x EV-DOのチャンネルを複数本束ねる3x EV-DOなども想定している。3xであれば、周波数幅も合計で3.75MHzとなる。こうした周波数幅に関する変更が100Mbpsオーバーには必要になるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月05日 更新
  1. ドコモがほぼ全ての料金プランを値上げ それよりも端末の値上げが気になるこの頃 (2026年10月03日)
  2. KDDIのローミング終了で楽天モバイルはどう変わる? 心もとない700MHz帯、独り立ちのカギは5Gにあり (2026年10月03日)
  3. 高市首相がAppleに要請――「自殺防止機能の搭載を」 生成AIへの相談増加を受け (2026年10月03日)
  4. ドコモがRCSで同意未取得の不備 約1万6000件に影響、対象ユーザーは利用停止に (2026年10月04日)
  5. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  6. あなたの街の「スマホ決済」キャンペーンまとめ【2026年10月版】〜PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイ (2026年10月03日)
  7. ahamoがついに料金プランを改定。段階制へ――「40GB」が業界の新たなスタンダードになるのか (2026年10月04日)
  8. 「Androidのマイナンバーカード」は10月20日スタート予定 今の「スマホ用電子証明書」と何が違う? (2026年10月02日)
  9. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【10月4日最新版】 ポイント10〜20倍の獲得チャンス多数 (2026年10月04日)
  10. 免許証画像が漏れると何が“ヤバい”のか タイムズカーで最大約660万件の個人情報漏えいで考えられる「3つのリスク」 (2026年09月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー