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» 2007年08月03日 14時37分 公開

アヒルと鴨のコインロッカー「端から本のタイトル、読んでってよ」Mobile&Movie 第270回

映画に登場する“モバイル製品”をチェックする「Mobile&Movie」。今回ご紹介するのは、伊坂幸太郎氏の小説を映画化した「アヒルと鴨のコインロッカー」。謎解きのカギの1つはケータイです。

[本田亜友子,ITmedia]
作品名アヒルと鴨のコインロッカー
監督中村義洋
制作年・製作国2007年日本作品


 今回ご紹介するのは、仙台在住の人気作家・伊坂幸太郎の小説が原作の『アヒルと鴨のコインロッカー』。映像化不可能といわれた作品が、見事なトリックも含めてスクリーンに再現されています。その謎を解く鍵の1つは、携帯電話にありました。

 仙台の大学に入学した椎名(濱田岳)は、初めての1人暮らしのアパートで、引越しの後片付けに追われていました。ダンボールを束ねながら口ずさんでいた歌は、ボブ・ディランの『風に吹かれて』。すると

 「ディランを歌う男だとは思わなかった」

 と椎名に声をかける人物が。慌てて自己紹介をする椎名。それは、隣の部屋に住む河崎(瑛太)でした。そんな会ったばかりの椎名に、河崎は

 「一緒に本屋を襲わないか?」

 と誘います。突拍子もない話に椎名が驚くと、河崎は事情を説明し始めます。同じアパートに住む留学生のドルジ(田村圭生)が彼女の琴美(関めぐみ)を失って引きこもりになっていること、そのドルジがアヒルと鴨の違い調べるために広辞苑を欲しがっていること……。河崎は本屋を襲ってそれをプレゼントしたいというのです。

 何かの冗談かと椎名は思いますが、河崎は真剣に計画しているよう。さらに

 「ペットショップの店長、麗子という女に気をつけろ」

 と忠告までするのです。河崎の奇妙な言動を不思議に思いながらも、翌日から普通に大学に通い出した椎名。しかし、大学の前で椎名は麗子(大塚寧々)と運命的な出会いをしてしまいます。河崎が麗子を信用するなと言った理由が何なのか分からないまま、椎名は麗子と言葉を交わすようになります。

 椎名がアパートに戻ると、河崎が本屋を襲撃する準備をしていました。本屋の裏口でドアを数回蹴るだけでいいと河崎に言われ、椎名は恐る恐る付いて行きます。そして河崎は本屋の中へ、椎名は裏口へ。真夜中の本屋襲撃は、ディランの『風に吹かれて』を十数回口ずさむうちに見事成功したのでした。

 椎名の腑に落ちない点もあったものの、河崎の念願が叶い、ひとまず安心。奇妙ではあるが人はいい、隣人の河崎と親しくなった椎名。大学の売店で教科書を重複して買っていないか不安になった椎名は、携帯電話で河崎に連絡して、自分の部屋の本棚を見てほしいと頼みます。

 「端から本のタイトル、読んでってよ」

 椎名は購入済みの教科書を、河崎に頼んでチェックしようとします。

 「本がないぞ」

 しかし、河崎は棚の本がなくなっていると言うのです。慌てて、部屋に帰ってきた椎名が見てみると、確かに今朝まであった本がなくなっていました。教科書の紛失が本屋の襲撃と関係があるのか、悩み始める椎名。河崎の言動と照らし合わせてみても、謎は深まるばかり。やがて麗子と再び会う機会があり、椎名は本屋襲撃に隠された真実を知ることになるのです。

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