東映アニメーションは8月20日、TVアニメ「ドラゴンボールZ」の全291話を、携帯電話(FOMA 902i以降)でストリーミング再生できる有料サービス「ドラゴンボール☆ANiMO」を開始した。ターゲットは“ドラゴンボール世代”の20〜30代。再生用アプリも独自で新開発する力の入れようで、急拡大する携帯向け動画配信市場にキラーコンテンツで切り込む。
「携帯電話は有力な映像メディア」――同社の高橋浩社長は力を込める。テレビのゴールデンタイムからアニメが減り、アニメDVDの売り上げも伸び悩む中、次の動画メディアとして携帯電話への期待は大きい。
同社は携帯電話向け動画配信を強化事業に位置づけ、昨年から注力。「プリキュア」「ビックリマン」などキャラクター別のサイト構築や電子書籍配信を展開。今年4月からは動画配信を取り入れたサイト「ANiMOシリーズ」を始め、「デジモンアドベンチャー」「ゲゲゲの鬼太郎」「銀河鉄道999」など人気・名作シリーズをリリースしてきた。携帯サイトからの売上高は年間1億円を超えているという。
「ドラゴンボール☆ANiMO」もANiMOシリーズの一環だ。「ドラゴンボール」「ドラゴンボールZ」「ドラゴンボールGT」は、最高視聴率34.1%という「金字塔を打ち立てた」(高橋社長)キラーコンテンツ。原作漫画「ドラゴンボール」は、1984年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まり、単行本は世界で1億5000万冊部以上売り上げるなど「集英社で常に新市場を切り開いてきた戦略商品」(集英社の鳥嶋和彦取締役)でもある。新市場に人気作品を投入し、新たなニーズを切り開く。
携帯でも高画質で見られるよう、独自の再生アプリを新開発。「国内大手ストリーミングサイトよりも20%ほど高画質に再生できる」(東映アニメ)としている。動画の特定のシーンでボタンを押すと、そのシーンの着モーションや着ボイス、待受画像をダウンロードできる「すぐGET」機能付き。サイトでは通常のFlash待ち受けや発着信アニメ、着信メロディなども配信する。
再生用アプリとは別に、育成ゲーム要素を備えた「待受アプリ」も開発した。アドレス帳と連携し、友人の番号やアドレスを「孫悟空」「孫悟飯」「ベジータ」など56種類のキャラに設定可能。その友人から電話やメールを着信すると、それぞれのキャラをあしらった着信画面を表示する。着信ごとに経験値がたまってレベルが上がり、キャラクターが成長して画像が変化するほか、動画コンテンツなどのアイテムがもらえる。動画と一緒にキャラ育成も楽しんでもらい、長期間利用してもらう狙いだ。
月額料金は315円か525円の2種類で、それぞれ300ポイント・500ポイントの仮想通貨「ゼニー」がもらえる。動画1話を再生するたびに100ゼニー消費するが、ゼニーは100ポイント105円で買い増すことができる。
早期に10万会員を獲得し、初年度2億円の売り上げを目指す。まずはNTTドコモのFOMA端末向けのみだが、準備が整い次第、au(KDDI)やソフトバンクモバイル向けにも展開する計画。「ドラゴンボール」「ドラゴンボールGT」も全話配信予定としており、始める時期はユーザーの反応を見ながら決める。
新サービスの発表会には、孫悟空役の声優・野沢雅子さんと、ドラゴンボールの大ファンという眞鍋かをりさん、時東ぁみさんが登場。野沢さんが悟空の声で「会いたくなったらすぐにケータイ見てくれよな」と話すと、眞鍋さんや時東さんは「すごい!、本物だ!」などと興奮した様子だった。
眞鍋さんは、家族ぐるみでピッコロのファンだという。「父の携帯メールアドレスにも“ピッコロ”のつづりが入っているぐらい。悟飯を引き取って修行させた上、最後は悟飯を守って死ぬところに感動しました」(眞鍋さん)。会場の記者から「眞鍋さんを守ってくれる男の人は?」と質問されると「自分のために死んでくれる人はそうそういないですよ」とかわした。
時東さんが好きなキャラクターは「名前や見た目がかわいいカリン様」。神龍に1つだけ願い事を叶えてもらうとしたら「悟空にめがねをかけさせてみたい」という。
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