HTCが日本市場に本格進出したのは、2006年7月。国内初のHTC端末はNTTドコモに供給した「hTc Z」だった。その後ソフトバンクモバイルからも「X01HT」がリリースされ、2007年春にはソフトバンクモバイルに「X02HT」、2007年8月にはドコモに「HT1100」の供給が決まるなど、1歩1歩地歩を固めている。
高機能なスマートフォンの開発に特化するHTCにとって、日本市場は非常に大きな可能性を持つ市場だ。すでに2つのキャリアとの関係を持っており、その前途は明るく見える。HTCはCDMA2000 1x EV-DOに対応したスマートフォンも開発しており、KDDIにとってもその存在は無視できないものになっているはずだ。
今回の式典には、ドコモからHT1100の商品企画を統括したプロダクト部 第四商品企画担当部長の佐藤嬉珍氏、ソフトバンクモバイルからは取締役副社長の松本徹三氏が出席し、祝辞を述べた。
ドコモの佐藤氏は「HTCとのパートナーシップはまだ2年ほどと長くはないが、これからも共にすばらしい製品をつくっていきたい」と話した。特に、8月30日に発表したばかりの「3G Touch」ことHT1100に触れ、指先で直感的に操作できるHTC独自のTouchFLO技術や美しいデザイン、端末の完成度の高さを称賛した。
ソフトバンクモバイルの松本氏は、同社が他の携帯電話事業者とは異なり、出自がインターネット企業であることを紹介。スマートフォンの供給などを通して、オープンなインターネットアクセスなどに対しても積極的に取り組んでいく姿勢をアピールした。
一方で、PCのユーザーと携帯電話のユーザーは、デバイスの使い方やデバイスに対する考え方が大きく異なると述べ、今後のさらなる技術やユーザーインタフェースの革新によって「スマートフォン市場は現在の10倍以上の規模になるポテンシャルがある」(松本氏)ことを力説し、HTCの活躍に期待を寄せた。
松本氏はまた「Windows Mobileには大きな可能性があるが、現状に安住してはダメだ。発売からしばらくはすごく売れるが、一部のマニアに行き渡ると売れなくなるようなデバイスで終わってしまうのではもったいない。もっと携帯電話に慣れ親しんだユーザーにも使いやすいインタフェース、分かりやすい操作性を実現してほしい。Microsoftは当然それができる力を持っているし、期待している」と話した。
そのほかにも、多数の著名人が駆けつけた10周年記念イベント。会場にはHTCの本社がある桃園県知事のリルン・チュウ氏(Li-lun Chu)や台湾の携帯電話オペレーター、中華電信(Chunghwa Telecom)社長のシュエチン・ル(Shyue-Ching Lu)氏、米Verizon Wirelessの製品調達(Product Procurement)担当副社長、リッチ・メイ氏なども祝辞を述べるなど、そうそうたる面々が集まった。
日本ではようやく名前が知れ始めた段階のHTCだが、世界のモバイル業界が同社に熱い視線を注いでいることを印象づけた。
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