“スリムなau端末”を担う京セラのベストスリムゾーン戦術:「W44K II」「A5526K」開発陣インタビュー(2/2 ページ)

» 2007年09月11日 15時00分 公開
[房野麻子(聞き手:平賀洋一),ITmedia]
前のページへ 1|2       

 「ディスプレイをもっと大きく、カメラも2メガピクセルにしてもいいという声はありました。しかしコストやサイズというトレードオフが必ず発生しますし、ターゲットユーザーが期待していないものに過剰投資しても意味がありません。1Xユーザーにおいては、このスペックでも決して遜色ないだろうと考えました」(長島氏)

 強化ガラスや有機ELなど、W44K/W44K IIで使われているものと同じ素材を用い、デザインは意図的に似せている部分がある。1X端末だからといって、簡単ケータイ系のデザインにするのではなく、見た目は格好良く、なのに使いやすいという意外性を狙った。

photophoto 薄さを強調するため、エッジを立ててラインや面を際立たせている。カラーはディーセントシルバー、スティーリーレッド、シルキーホワイトの3色。シルバーは男性を、ホワイトは女性を、レッドは若年層を意識して選んだカラー
photo サブディスプレイの色は、カラーバリエーションによって、やや青っぽかったり茶色っぽかったりと変えている。その上にあるインフォメーションキーはW44K/W44K IIに引き続いて採用。「フロントにあるので、右利き左利きを問わず押しやすいと好評です」(長島氏)
photophoto ダイヤルキーはカラーバリエーションによって異なるフォントが使われる。レンズ周りの色も、本体カラーに合わせた

薄さと使いやすさが釣り合う「ベストスリムゾーン」

 厚さ15.3ミリのW44K/W44K IIはWINの折りたたみモデルで最薄、A5526Kは厚さ14.7ミリと1X端末の中で最薄だ。また、京セラが開発した「MEDIA SKIN」は厚さ13.1ミリと現行au音声端末の中で最薄となっている。こうしてみると、auの薄型モデルは京セラが一手に引き受けているようにみえるが、“au端末はスリム”という印象は薄い。au端末は薄型化が難しいのだろうか。

 「いや、そんなことはないと思います。ただ、W44K/W44K IIにしろA5526Kにしろ、薄さだけを狙ったわけではなくて、使いやすさと薄さの適度なバランスをコンセプトにしています。最薄を狙ったわけではありません」(長島氏)

 例えば、ダイヤルキーをシートキーにすればもっと薄くできるという。しかし、薄さだけを追求して操作性を犠牲にしてはいけないという思いから、薄さと使いやすさに関する事前調査を行った。

photo スリムな折り畳みモデルは開けにくくなる傾向がある。開けやすさを確保するために、上下ボディの重なる部分に、指が入れやすいように凹みを付けている。折り畳んだ状態で横から見ると、先端部がのこぎり型の形状になっているのが分かる。これが開けやすさのポイントとなる

 「シートキーにするかフレームレスキーにするかで調査をすると、フレームレスキーの方が操作しやすいという評価が高かった。確かにシートキーの方が薄くできますが、それよりも実用性を取るべきと判断しました。また、薄さと操作性・実用性のバランスがどこにあるのかを調査するため、いくつかのモックアップを作って、どれがいいかをたずねてみました。すると、一番満足度が高いのは14〜16ミリなんです。それよりも薄いと“開けにくそう”とか“折れそうで怖い”という意見が多くなります」(長島氏)

 この14〜16ミリの間隔が、京セラのいう「ベストスリムゾーン」だ。W44K/W44K IIやA5526Kの厚さはこの14〜16ミリの間に入っている。ただ、ユーザーの感覚は、そのときの市場や流行に左右されるもの。1年後も3年後も変わらないという保証はどこにもない。

 過去、携帯電話の軽さを競い合った時代があった。しかし、0.1グラム、0.01グラムの競争に入ると、ユーザーは興ざめしたように軽量化競争への興味を失っていった。そして現在、重さの価値基準は、昔ほど高くはない。薄さという基準が、重さと同じ轍を踏まないとはいえない。ユーザーが携帯端末に求める要素とはなにか、どういった基準で機種選びをするのか、あらゆる面でその答えを探っているという。

 「“薄い”ということを支持する人たちが、それなりのボリュームではあり続けると思っています。しかし、もっと別の価値基準が出てこないとも限らない。薄さだけにこだわらず、さまざまな面で継続的なマーケティングを行っていく必要があると考えています」(長島氏)

FeliCaの標準搭載はいつ?

 W44K IIもA5526Kにも、残念なからFeliCaチップが搭載されていない。おサイフケータイの標準対応を望む声は急激に高まってきているが、スリムケータイには搭載しないのだろうか。

 京セラでは、いずれ薄型のシンプルなモデルにも、おサイフケータイ機能を搭載する時期が来ると予想している。しかし、具体的にどのタイミングになるかは未定だという。またFeliCaを利用する電子マネーは、基本的にカードタイプもあるため“カードで十分”という層もいる。シンプル端末を選ぶコンサバティブなユーザーが、いつおサイフケータイを必要とするのか、しっかり見極める必要があるという。

 とはいえ1X端末はともかく、WIN端末にないと物足りなさを感じるのは事実。長島氏は、「FeliCaは通話しながらでも使えますが、先日、改札の前で話しながら立ち止まっていて、電話を切ってからモバイルSuicaで通過した人を見ました(笑)。おサイフケータイの便利さがまだ伝わっていないと感じましたね。ハイエンド、ミドル、ローエンドと、すべての端末に、どのタイミングでFeliCaチップを標準搭載するのか、という見極めは非常に頭が痛い課題です」と話し、その判断の難しさを垣間見せた。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月28日 更新
  1. 「SuicaでJR東海エリアをまたげない」問題、ついに解消か JR東海社長「勉強している」【訂正】 (2026年09月27日)
  2. 20万円超のXperiaを「買い」に変えた3週間 ソニーが「モニタープログラム」を実施した理由 (2026年09月26日)
  3. ドコモ値上げの背景は? 副社長が語るahamoの競争力と、「楽天モバイル意識」の本音 (2026年09月25日)
  4. なぜドコモはahamoの大幅値上げを避けたのか? 段階制で安くなるケースと「アップセル戦略」の狙い (2026年09月26日)
  5. ドコモが低容量プラン「ドコモ mini2」発表 6GB/12GBの2段階で月額3278円/4598円 (2026年09月25日)
  6. 高額な「iPhone Duo」を横目にどう選ぶ? Androidフォルダブルスマホをお得に買う方法【2026年9月版】 (2026年09月27日)
  7. “iPhone 18難民”の買い替え先は? 最新「iPhone 18 Pro」と型落ち「17/17e/16」から最適解を考える (2026年09月25日)
  8. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  9. ソフトバンクとLINEヤフーが「Yahoo!スマホ買取」を始めた理由 スマホ高騰時代に目指す「中古の循環」 (2026年09月28日)
  10. iPhone Duoではなぜか「指紋認証」が復活――カメラのアンダーディスプレイ化でダイナミックアイランドはどうなる? (2026年09月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー