MVNO事業を展開する日本通信が7月9日、ドコモ(MNO)との相互接続に関する話し合いで合意に至らず、裁定を求めた件について、総務省が裁定案をまとめた。
日本通信は(1)MVNOがサービス内容を決定できること(2)MVNOがサービス料金を設定できること(3)接続料金がエンドエンド料金として提供されること(4)接続料金は帯域幅課金(定額)とすること(5)接続に必要な開発費用と開発期間が、合理的に適切な水準であること という5点について裁定を仰いでいた。
(3)の接続料金は、「ぶつ切り料金」と「エンドエンド料金」のいずれにすべきかが問題となった。ぶつ切り料金は、接続に複数の通信キャリアが関わる場合、それぞれの接続区間については接続を提供するキャリアが利用者の料金を設定する方式で、一方のエンドエンド料金は、利用者の料金設定はサービスを提供する事業者が決める方式。総務省は、接続料はエンドエンド料金で日本通信に料金設定権を認めるのが適当としている。
ぶつ切り料金を採用した場合、MNO(回線提供側)はMVNOのぶつ切り料金を引き上げつつ、自社サービスではエンドエンド料金を自由に設定することもでき、MNOがMVNOに比べて優位に事業を展開することが可能になる。これが公正な競争を妨げる要因になりかねないことなどから、エンドエンド料金が適当とみなした。
(4)の接続の料金体系については、ドコモがPC接続の定額プランを提供する予定であり、MVNOを従量課金とすると公正な競争を促進する上で問題になることなどから、定額課金が妥当とした。
そのほかの点については、裁定申請の用件を欠くことを理由に裁定を行わないとし、協議の際に留意する点を指摘するにとどめている。
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