「極薄で行く。ただし基板サイズは半分な」──Woooケータイ W53Hが“Wooo”である理由開発陣に聞く「Woooケータイ W53H」(2/4 ページ)

» 2007年12月03日 18時31分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

“Wooo”であるということ

photo 日立製作所の薄型テレビ「Wooo 01シリーズ」(2007年3月)

 日立製作所の最重要ブランドの1つ「Wooo」。薄型ハイビジョンテレビやハイビジョンレコーダー、Blu-rayビデオレコーダー液晶プロジェクターなどを展開するブランドとして、Wonder(驚きがある)、World Standard(世界の新しい標準である)、Worthwhile(高い価値がある)の意味が込められている。

 「“Wooo”は、日立として“映像にこだわる”という言葉を徹底して製品に盛り込むブランドです。その“Woooワールド”に新たに携帯が加わる。並大抵のことではありません」(カシオ日立モバイルコミュニケーションズマーケティング担当 吉田征義氏 以下、吉田氏)

 そこに課した条件は、

  • “Woooで築き上げた映像”を実現
  • “Wooo”ならではの先進性と上質なデザインの実現

 の2点。たった2点だが、非常に大きな意味を持つ。「映像に徹底してこだわる」ことは日立社内でも徹底して通そうと命じられたという。

 Woooケータイ W53Hは、前モデルのW52Hからかなり薄くなったことに総じて、俯瞰して眺めた時に受ける印象が大きく違う。これはWoooテレビのテーマの1つでもある“Cutting Edge Design”の導入によるところが大きい。

photo 「金属の固まりをそぎ落として形成」したような鋭いラインが特徴。Woooブランドに共通する“Cutting Edge Design”を盛り込んだ

 「Woooブランドの製品は“映像にこだわる”が根底にあります。テレビで言うとなめらかさや上質さなどで商品が語られますが、それを携帯にどう落とし込むか、デザインにおいてこのことが最も苦労した点です」(日立製作所デザイン本部 デザイン・GUI担当の池田稔氏 以下、池田氏)

 携帯とテレビは異なる製品であり、大型ハイビジョンテレビの表現を安易にそのまま同じに取り入れればよいものではない。大きさはもちろん、使用スタイルなども異なるからだという。

 テレビやレコーダー、ビデオカメラ、プロジェクターがある“Woooワールド”の中に入るということはどういうことなのか。池田氏はそこに“先進”と“上質”という2つのテーマを織り込み、携帯のデザインへ昇華させた。

 「Wooo製品は、最先端や新たなテクノロジーなどをつぎ込んだもの。その先端・先進というイメージを携帯に取り込みたいと思いました」(池田氏)

 Cutting Edge Designは、鋭い切り口を意図的に表現して見せる手法。中の最新テクノロジーが切り出されたかのようなイメージを目指したという。

 「何かに肉盛りするのではなく、“金属の固まりをそぎ落とした”ようなイメージです。ミニマルな形になっていったものを、ストレートに魅力的に見せる工夫を意図的に行っています」(池田氏)

photo 表面張力が働いた水面のような、自然な曲面で構成する背面パネル

 Woooケータイ W53Hのシルエットはスパッとカットされたように直線的。しかし、背面パネルはわずかに膨らんだ曲面で形成されている。ちょうど表面張力が働いた水面のような、自然かつ微妙な曲面を目指した。

 「Woooのテレビはなめらかさや高精細といった雰囲気を与えます。そのような上質感や金属面、そしてわずかな曲面で構成することで高い質感を演出していますが、その質感を携帯のディティールにも盛り込みました。四隅の内側に構造上必要なネジがありまして、実はこの微妙な曲面は、設計部門ともかなりもめた部分です(笑)。それこそコンマゼロ数ミリで議論しながら表面を出していきました。自然さやなめらかさは、手に持つ携帯の場合は特に重要だと思っていますから」(池田氏)

 化粧品やアクセサリ、小物類など、さまざまなものがある女性のカバンの中でも、同じ存在感を演出したい。そこにあってもまったくおかしくない品質と上質感を出したい──そこにこだわりを込めた曲面なのである。

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