ドコモは「907i」で7.2Mbps対応?──「SH-Mobile G3」は2008年2Qに量産出荷(2/2 ページ)

» 2007年12月12日 16時30分 公開
[園部修,ITmedia]
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 発表会にはSH-Mobile G3のプラットフォームを共同開発しているNTTドコモ、富士通、三菱電機、シャープ、ソニー・エリクソンの役員も列席し、SH-Mobile Gシリーズへの取り組みや恩恵について紹介した。

ドコモの“全部入り”端末に大きく寄与してもらった──NTTドコモ 三木氏

Photo NTTドコモ 移動機開発部長の三木俊雄氏

 NTTドコモ 移動機開発部長の三木俊雄氏は、「FOMAらくらくホンIIIを筆頭に、18機種の端末がSH-Mobile G1を採用し、チップの累計出荷が1000万個を超えたことは大変すばらしい。(ルネサスとの共同開発からスタートした)プロジェクトの大成功を喜んでいる」と祝辞を述べた。

 また905iシリーズでは、第2世代のSH-Mobile G2を採用したことで、“全部入り”端末の開発に大きく寄与してもらったという。三木氏は「SH-Mobile G2のプラットフォームはSH-Mobile G1から大きな成長を遂げ、開発の効率化や高性能化、高機能化と会わせてコストダウンにも寄与している。今後のSH-Mobile G3以降へ向けても、順調に共同開発が進んでいる。パートナー企業も6社になり、大きく広がってきた」とSH-Mobile Gシリーズへの取り組みをアピール。今後も端末メーカーとともにプラットフォームの開発を進め、パートナーを広げていくと話した。

今までやった中でベストのプラットフォーム──富士通 佐相氏

Photo 富士通 経営執行役 モバイルフォン事業本部長の佐相秀幸氏

 富士通 経営執行役 モバイルフォン事業本部長の佐相秀幸氏は、「2004年からSH-Mobile Gシリーズを採用しているが、使い勝手がいいモデムとアプリケーションプロセッサが統合されており、サクサク開発ができる。リメイクがほとんどなく、過去手がけた中でベスト1のプラットフォームだと思う」とSH-Mobile Gシリーズを絶賛。2006年8月に発売したFOMAらくらくホンIIIを皮切りに、F903i、F703i、F903iX HIGH-SPEED、F904i、らくらくホンIV、らくらくホンベーシック、F704i、F903iBSCと、SH-Mobile G1搭載機18機種中9機種が富士通製であることをアピールした。

 F905iで採用したSH-Mobile G2も「3GとGSMの通信機能とアプリケーションプロセッサが統合されたとてもいいチップ」(佐相氏)と称賛。今後については「この成功をもとに、世界の他の企業とも手を組んで、一緒にグローバルに展開していきたい。プラットフォームで協調しながら端末で競争するというSH-Mobile Gシリーズでの各社の関係は非常にうまくいっていると思う。SH-Mobile G3もきちっと成功させ、日本の端末メーカーとして踏ん張っていきたい」という。

SH-Mobile G2でD905iは1つの高みに到達できた──三菱電機 中村氏

Photo 三菱電機 常務執行役 通信システム事業本部長の中村元行氏

 富士通とともに、初期からSH-Mobile Gシリーズを採用してきた三菱電機の常務執行役 通信システム事業本部長 中村元行氏は、「共同開発に参加したことで、いろいろなメリットがあった」と振り返った。中村氏はそのメリットとして、各社が得意とする技術を持ち寄って共通プラットフォームを作ったため、基本性能の高いものができたこと、共通仕様のプラットフォームということで、端末メーカー側は品質や納期に注力できたこと、そして共通プラットフォームでありながら、独自機能も投入できることを挙げた。

 中村氏は「ほぼ同時期に各メーカーが端末を発売できたことは、共通プラットフォームがあったおかげ。またおのおののメーカーがそれぞれのアイデアを実現できるのも、質の高い共通プラットフォームがあり、独自機能の開発に注力できるから」と、905iシリーズこそがSH-Mobile Gシリーズのプラットフォームの優位性の証明だと明言。従来からスライドを極めようと開発してきた“D”の90xiシリーズが、スピードセレクターやモーションコントロールセンサー、翻訳リーダー、ワンセグのハイライト再生といった機能を搭載し、D905iで1つの高みに到達できたのもSH-Mobile G2があったからだとたたえた。

SH-Mobile Gシリーズのプラットフォームで軽薄長大をめざす──シャープ 長谷川氏

Photo シャープ 常務取締役 通信システム事業本部長の長谷川祥典氏

 SH903iTVからSH-Mobile G1を搭載した端末を開発しているシャープの常務取締役 通信システム事業本部長 長谷川祥典氏は、携帯電話の進化を「スピードが速いと言われる電器業界の中でもほかに類のないほど速い」と表現。「10年前には、誰もここまで携帯が進化するとは予想していなかっただろう」と話し、ものすごい勢いで進化し続ける携帯電話の開発に、プラットフォーム化が与える影響が大きいことを紹介した。

 「かつて携帯は、軽薄短小であることが求められた時期があったが、今は大画面でテレビが見れたりWebにアクセスできたりする必要もあって、単純に小型化すればいいわけではない。しかもそれらの機能を利用しながらバッテリーの持ちは長くする必要があり、消費電力を抑えなくてはいけないという、軽薄長大への進化が必要だ。こうした小型で薄く大画面で長時間使用という相反するユーザーニーズの実現において、プラットフォームの役割は大きい。SH905iで液晶の大型化や高精細化、ドルビーモバイルやワンセグの搭載、HSDPAとGSMへの対応などを果たしつつ、幅48ミリ、厚さ16.9ミリとコンパクト化できたのは、共同開発のSH-Mobile G2による効果が大きいと思う」(長谷川氏)

 長谷川氏は「今後も携帯はインフラの進化とともにさらに高機能化していく。シャープとしては軽薄長大を実現するため、共通プラットフォームの共同開発を推進し、魅力ある端末を開発していきたい」との決意を表した。

SH-Mobile G2のおかげでタイムリーに投入できた──ソニー・エリクソン 高垣氏

Photo ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ 常務取締役 JP部門長の高垣浩一氏

 SO905iで初めてSH-Mobile G2を採用し、SH-Mobile G3の共同開発に参加したソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ 常務取締役 JP部門長の高垣浩一氏は、「SH-Mobile G2を採用したことでSO905iがタイムリーに投入できた。共通プラットフォームを採用してよかった」と話した。フルワイドVGAディスプレイの採用やワンセグ対応、高画素カメラの搭載、GSM対応といった部分も、SH-Mobile G2によるところが大きいという。

 企画端末として2008年に登場予定のサイバーショットケータイ「SO905iCS」も、SH-Mobile G2だけで実現しており、「5Mピクセルのカメラも別チップを用意することなく搭載できた」とその性能の高さを紹介した。

 「今後もさらなる高機能化が進んでいくのは間違いなく、SH-Mobileのプラットフォームには大いに期待している。ユーザーの利便性を考えると、今よりももっとサクサク感が必要だと思うので、SH-Mobile G2以降のプラットフォームではさらなるハイパフォーマンス、ハイスピードを実現してほしい」(高垣氏)

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