インタビュー
» 2007年12月14日 17時54分 公開

Design for Asia Award 2007受賞インタビュー:“カラバリ20色のインパクト”がソフトバンク端末のイメージを変えた――ソフトバンクモバイルの栗坂氏

これまでに例がない20色のカラーバリエーションで登場した“PANTONEケータイ”こと「812SH」。この端末の登場をきっかけに、ユーザーがソフトバンクモバイル端末を見る目が変わったと執行役員の栗坂氏は振り返る。この端末の開発背景や、その後の影響について栗坂氏に聞いた。

[山根康宏,ITmedia]
Photo ソフトバンクモバイル マーケティング・コミュニケーション統括部長を務める栗坂達郎氏

 これまでに例がない20色のカラーバリエーションで登場した、ソフトバンクモバイルの“PANTONEケータイ”こと「812SH」。この端末の登場をきっかけに、ユーザーがソフトバンクモバイル端末を見る目が変わったと、同社でマーケティング・コミュニケーション統括部長を務める栗坂達郎氏は振り返る。この端末の開発背景や、その後の影響について栗坂氏に聞いた。

ITmedia Design for Asia Award 2007の受賞、おめでとうございます。今回の受賞について感想をお聞かせください

栗坂氏 ありがとうございます。PANTONEケータイ 812SHは、日本国内でも広告大賞など、いくつかの賞を受賞させていただきました。海外でもこのような賞を授かることができて、大変光栄です。我々の取り組みが海外で認められたことは、この製品に関わったスタッフ全員の励みにもなります。

ITmedia 製品の開発ポイントはどこにあったのでしょうか

栗坂氏 通常、携帯電話の新機種開発は開発部門主導で行い、できあがった製品に対しマーケティング部門が販売戦略を立て、市場に対してアピールします。812SHでは、マーケティング部門が中心となって開発を行ったのです。開発の重要なポイントの1つは「ニュース性」です。携帯電話ほど、人々が毎日触れるものはないですが、機能が年々向上する一方で、ファッションセンスなど身近な部分での話題性が少ないように感じます。例えば携帯電話の販売店に立ち寄るのは機種の買い替え時くらいで、“普段から用事もなくふらっと店を訪れる”ことはあまりないのではないでしょうか。

 812SHは美しく華やかで、“販売店に行くとわくわくしてしまう”――。そんな気持ちを起こさせる製品を目指して開発しました。ただ端末の色数をそろえるだけではなく、女優のキャメロン・ディアスを起用したインパクトのある広告、販売店での店頭ディスプレイの統一など、すべてにこだわりを持って消費者にアピールしました。

Photo 全20色で登場したPANTONEケータイ「812SH」

ITmedia 20色もカラーバリエーションをそろえたいきさつ、PANTONEを選んだ理由をお聞かせください

栗坂氏 一般的に携帯電話の売れ筋の色は、多くても5〜6色でしょう。しかし、それでは色栄えが他の製品とは変わらなくなってしまいます。ならばあえて、売れないかもしれない色も加え、20色ものバリエーションを出すことで、製品そのものを色見本のようにカラフルな個性ある存在にしようと考えたのです。また、我々が最初から「この色だけですよ」と限定して提供するのではなく、お客さんに「どの色を選びますか」と選択肢を与えることで、携帯電話選びに「楽しさ」を提供したいという想いもありました。

 “どの色をどう選ぶか”は重要なポイントでした。ちょうどデザイナーが色見本として使用するPANTONEのカラー見本を見たところ、多色展開という本製品のコンセプトにそのままマッチすることから、ブランド名を含めてコラボレーションすることに決まりました。PANTONEは色のプロフェッショナルで、プロのデザイナーなら誰でもその名を知っています。一般消費者への認知度が若干低くても、プロが使うブランドをそのまま商品名に加えることで、製品にさらなるこだわり感を植えつけることができたのではないでしょうか。

ITmedia 開発にあたって苦労した点は

栗坂氏 すべては製品の特徴である「色」につきます。製造過程では、各パーツの色合わせや在庫調整など、これまで20色ものカラーバリエーションを1度に出すことがなかっただけに、苦労が多かったようです。また、マーケティングでも、例えば広告写真を撮る際に美しい色を出すのは大変な作業でした。特に、これまでの携帯電話にはなかった色が多いこともあり、複数の端末を並べたときの色のコントラストや質感の再現、端末の並べ方など、細かいところまで苦労したものです。

ITmedia 812SHをリリースしてから変わったことはありますか

栗坂氏 一番大きかったのは、お客さんのソフトバンクモバイルに対する反応の変化です。2006年に事業を開始した時には、他社と比べて携帯電話のラインアップが見劣りしていました。量販店でもうちのコーナーだけがどうしても寂しいとか……。しかし、812SHをリリースしてから、より良いイメージを持っていただけるようになりました。販売店にも「話題になっている、色の多い携帯を見に行こう」と、他社端末目当てのお客さんまで訪れるなど、集客効果が高まりました。月額980円のホワイトプラン効果とも相まって、当社の新規加入者増を牽引する存在になったといえるでしょう。

 また、これまでソフトバンクグループの事業はIT系が多かったことから、ターゲット層の大半は男性でした。それが812SHのリリース以降、女性向けのマーケティングなど、これまでとは違う分野の事業展開を行う機会が増えています。ファッションショーや女性ブロガーを集めたイベントなどは、812SHの効果と考えられ、コミュニケーション上のインパクトを与えていると思います。

ITmedia 812SHの発売から1年になろうとしています。ここまでロングセラーを続けられた理由はどこにあるのでしょうか

栗坂氏 バリエーションが20色あることから、さまざまな層のお客さんに買っていただいています。ワンセグなどの派手な機能はありませんが、端末そのものの基本的な完成度は高く、そこがお客さんにも評価されているのではないでしょうか。色が多いだけではなく、たとえば押しやすさに配慮したアークリッジキーなど使いやすさに関心される声もよく聞かれます。

ITmedia 今後の展開についてお聞かせください。

栗坂氏 812SHには、新たに4色(フレッシュグリーン、フレッシュゴールド、フレッシュピンク、フレッシュブルー)を追加しました。また、新機種として投入した本物志向のThe Premium 820SH/821SHには、それぞれ8色、7色のカラーバリエーションを用意しています。今後も豊富なカラーバリエーションなど、顧客のニーズに応える製品開発を当社の基本方針にしていく予定です。812SHの次はまだ決まっていませんが、今後の新製品にもぜひ期待していただきたいと思います。

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