イー・モバイルは3月28日、携帯電話による音声通話サービスを開始した。同社代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏は、音声サービス開始を記念するイベントで「我々が先頭を切って、日本の携帯電話市場を世界ナンバーワンレベルに引き上げて行きたい」と意気込みを語った。
イー・モバイルはADSLのホールセール事業を手がけるイー・アクセスが母体。2007年3月31日に、13年ぶりの新規携帯キャリアとして開業した。同社はHSDPAによるモバイルデータ通信サービスが収益の主体であり、開業当初から1年後の2008年春に音声通話サービスを開始すると告知していた。2008年2月には、対応端末の「EMONSTER」「H11T」と定額制料金サービス、NTT網を利用した国内ローミングなどの詳細を発表した(2008年2月の記事参照)。
「今日からイー・モバイルは、全国47都道府県で音声通話サービスを開始する。我々は昨年、世界最先端のHSDPA技術を採用した高速なモバイルインターネットサービスと定額料金制で注目を集め、ユーザーから圧倒的な支持を得ることができた。また、日本のモバイル通信を、世界レベルに引き上げることができたと自負している。これからは音声サービスも含めた総合携帯電話事業者として、月額基本料0円、オプションなしの加入者間24時間無料通話、そしても最も安い通話料と、携帯電話としては画期的なサービスを武器に、さらなる成長を続けたい」(千本氏)
音声サービスに対応したEMONSTERとH11Tは、3月1日から予約を受け付けていたが、予約状況は「予想をやや上回る実績。個人と法人はそれぞれ半々程度」(千本氏)とのこと。回線契約数については、電気通信事業者協会(TCA)が発表する携帯電話・PHS契約数を待って欲しいと付け加えた。
千本氏によると、3月28日現在の同社人口カバー率は70%。6月にはそれを75%に引き上げるという。自社ネットワーク以外ではドコモの通信網を使ったローミングサービスを提供(H11Tで対応)するが、「カバーエリアは当初の予想を超えるスピードで広げることができた。自前のネットワークは毎日毎月拡充しており、東名阪など人口が密集するほとんどのエリアをカバーできている。地方のエリアでドコモ網を使っている状態だが、このペースで行けばドコモに迷惑をかける時間はかなり短いのではないか」と話した。
ローミングのパートナーとしてドコモを選んだ理由については、「ドコモだけでなく各社と交渉を行ったが、ソフトバンクとの交渉は非常にタフなものだった。交渉を開始したころは山間部などでのカバー率がドコモのほうが良く、またドコモが最もフェアな対応をしてくれた。感謝したい」と、経緯を説明した。
カバーエリアの拡大で課題となるのが、地下鉄や地下街などだ。特に大阪や東京など大都市の地下空間に基地局を設置するには、社団法人移動通信基盤整備協会(トンネル協会)との交渉が必要になる。千本氏によると、トンネル協会はドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3大キャリアで牛耳られており「新規参入者が話を持って行くと、いろいろと対応を遅らせてくる。こういった古い慣習を打ち破らないと、日本の携帯電話サービスはますます世界に通用しなくなる」(千本氏)という。
同社では、地下街や地下鉄、トンネル内などのエリア整備にはさらに1年程度の時間が必要としている。
会見では、イー・モバイルのテレビCMでおなじみ、ニホンザルの「ハヤハヤ君」から会場に電話がかかってくるという一幕も。開始したばかりの音声通話サービスでハヤハヤ君からお祝いのメッセージを受けた千本氏は、「イー・モバイルの音声は非常に明瞭(めいりょう)で聞き取りやすい。お年寄りなど、耳が遠くなった人でも使いやすいだろう」と、通話品質にも自信を見せた。
ハヤハヤ君と千本氏のやり取りの一部始終を、動画でご紹介しよう。
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