Ericsson、LTE端末によるデモを国内初公開

» 2008年04月18日 20時44分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photophoto 日本エリクソン代表取締役社長のフレドリック・アラタロ氏(左)と同社CTOの藤岡雅宣氏

 Ericssonは4月17日、先日発表したモバイルプラットフォーム「M700」によるLTE(Long Term Evolution、別名スーパー3G)のデモンストレーションを報道陣に公開した。

 日本エリクソン代表取締役社長のフレドリック・アラタロ氏は、100〜240Mbpsの通信速度が期待されているLTEについて「約150Mbpsという高速な無線通信が行えるのは驚くべきこと。我々のLTE技術は標準化で先行しており、近い将来、ユーザーにこの高速なモバイルネットワークを提供できるだろう」と話した。

 またLTEは、高速なだけでなく効率的なネットワークであり、有線ブロードバンドよりもコストが低く、今後も増大するであろうトラフィックに対応できると、そのメリットを説明した。

 「無線ネットワークは進化し続けており、流れるデータはどんどん増えている。携帯電話はメディアであり、広告であり、さらに新しいサービスが生まれてくるだろう。だが、新サービスは時に通信事業者を脅かすことになりかねない。それはトラフィックの増加と収益の増加が一致しないからだ。ビットレート単位の通信コストは常に下げる必要があり、LTEはより効率的なモバイルブロードバンド環境を実現できる」(アラタロ氏)

photophotophoto Ericssonが公開したLTEのデモンストレーション

 デモンストレーションは、ノートPCにモデムとしてLTEのプロトタイプ端末をUSB接続し、FTPサーバからマルチメディアファイルをダウンロードすることを想定。ただし、まだ実際に電波を出すことはできないため、無線部分は通信環境を再現すエミュレーターを利用してネットワークを構築していた。

 プロトタイプ端末は、4つの周波数帯(1.7GHz/2.1GHz/2.5GHz、さらに低い帯域)と20MHzの帯域幅に対応しており、最大25Mbpsの通信が行える。サイズは160(幅)×100(長さ)×31(厚さ)ミリ。ソフトウェアの改善により下り最大50Mbpsまで高速化が可能になるほか、2008年後半に登場する後継機では、5/10MHzの帯域幅や2×2 MIMOに対応するという。

 今回のデモでは25Mbpsという最大通信速度に対し、コンスタントに20Mbps程度の実効速度を記録。HD画質のビデオファイルも、スムーズにストリーミング再生が可能だった。

photophoto デモンストレーション環境の構成(左)。最大通信速度25Mbpsという理論値に対して、コンスタントに20Mbpsを超える実効速度だった(右)

 NTTドコモが実施したスーパー3Gのデモでは100〜240Mbpsという通信速度だったため、その差が気になる。日本エリクソン CTO(Chief Technical Officer)の藤岡雅宣氏は「アンテナを束ねることで容易に高速化できるので、100〜200Mbpsにも対応できる」と説明した。

 また、商用サービスが始まった際の製品イメージについては、「通信カードのようなものから始まるだろうが、あらかじめLTEの通信機能が組み込まれたPCも登場するだろう。また、現行の携帯端末もLTEになっていくだろうが、テレビやカメラなど、現在は通信機能がないデバイスにも入っていくと思う」(藤岡氏)と展望を述べた。2010年をめどに、LTEサービスの開始と対応端末の発売を予定している。

photophoto Ericsson製のプロトタイプLTE端末「Berta」

photophoto 左側面(左)と右側面(右)。右側面にはSDカードスロットが見える

photophoto 前面(左)と背面(右)。前面にクレードルとの接続端子やUSB端子がある

photophoto 「Berta」の概要

 多くの基地局ベンダーがW-CDMAとCDMA2000、LTEとUMB、そしてWiMAXなど複数の通信規格を手がけているが、Ericssonは3GPPが標準化するLTE(とW-CDMA)に特化している。これについてアラタロ氏は「3GPP陣営の通信事業者やベンダーは数が多く、進化のスピードが速い。WiMAXやUMBに比べて多くのスケールメリットが得られる」とコメント。またLTEとUMBの違いについても言及し、「どちらも、技術的に大きく異なる規格ではないが、環境がまったく違う。LTEは、NTTドコモやチャイナモバイル、北米とヨーロッパの主な事業者が採用した。LTEは巨大な市場に成長するだろうが、一方のUMBに関心を寄せる事業者をわたしは知らない」と、LTEへの期待の大きさを述べた。

photophotophoto Ericssonが構築したHSPAネットワークは、全世界185のうち90と49%に及ぶ(左)。各ベンダーがさまざまな規格を手がけるなか、EricssonはLTEとW-CDMAに特化している(中)。Ericssonのロードマップ(左)。LTEの実用化は、2009年以降だ。

photophotophoto Ericssonの日本法人(日本エリクソン)創設は1992年。ドコモのPDC(ムーバ)サービス開始以降、日本の携帯市場に深く関わっている(左)。その事業はインフラの提供からコンサルティング、マルチメディア・教育分野のサービス提供など幅広く(中)、M&Aによる事業拡大も積極的に行っている(右)

 Ericssonは、基地局設備など世界のHSPA(HSDPA/HSUPAの総称)市場において49%のシェアを持っており、携帯電話事業者から委託を受けて通信網の運用なども手がけている。また、通信ビジネスに関するコンサルティングも行っており、回線加入者の増加施策やネットワーク構築時の技術的アドバイス、新しいビジネスモデルの提案もしているという。マルチメディア分野や教育分野への事業拡大に加え、M&Aによりビデオ会議システムや顧客管理ソリューションを提供する企業を傘下に納めるなど、新領域の拡張を積極的に行っている。

 同社は国内キャリアとの関係も深く、1992年にはドコモのPDC(ムーバ)サービス開始に携わり、スーパー3G(LTE)のベンダーにも選定された。ソフトバンクモバイルやイー・モバイルなど、W-CDMA方式を採用するキャリアにも設備を納入している。特に、下り最大7.2Mbpsの高速通信が可能なイー・モバイルのHSDPAサービスの実現には、同社の貢献が大きいという。アラタロ氏は「日本は最も高いレベルで品質を求められる市場。日本で成功すれば、世界で成功できるだろう」と日本市場の感想を述べた。

photophoto 同社のIMS(IP Multimedia Subsystem)技術(左)を利用し、IMや動画共有などのサービスを固定と無線を意識することなく利用できるCMS(Converged Multimedia Services)(中)

photophotophoto PCと携帯電話、セットトップボックスという異なる環境でデモが行われた

photophoto 1人のユーザーが利用しているコンテンツを、別環境のユーザーも共有できる。また、ユーザーに合わせた広告を表示させることも可能だ

photophotophoto GSM/EDGE、WCDMA/HSPA、LTEに対応する次世代無線基地局「RBS 6000」も展示していた。現在の基地局と比べて25%のサイズながら処理能力は2倍に向上。消費電力も20〜65%に抑えられており、置局コストを削減できるという

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