第11回 マイクロソフト 梅田成二氏――シンプルなデータシンクロサービスも投入したい石川温・神尾寿の「モバイル業界の向かう先」(2/2 ページ)

» 2008年06月16日 23時59分 公開
[田中聡(至楽社), 聞き手:石川温、神尾寿,ITmedia]
前のページへ 1|2       

普通のケータイユーザーはケーブル接続したくない

神尾 ケータイをなくしても全部のデータが復活してくれたら、ユーザーさんは逃げませんよ。ケータイをなくして、中に入っていた電話帳や写真などのデータが失われるというのが、ユーザーさんにとって一番困った事態なので、誰がフルバックアップとリストアをやってくれるかが一番興味深いところですね。

石川 キャリアにはアドレス帳を預かってくれるサービスがありますけど、預けられるのはあくまでもキャリアの中だけなので、そこを端末だけじゃなくてPCやほかのデバイスとシンクロさせたりできるのはマイクロソフトさんだけかな、と思います。

神尾 ケータイで撮った写真も、ケーブルで接続せずに、撮ったら時間をかけてサーバに上げておいてくれて、家のPCを開いたらフォトストレージに入っているのが理想です。

石川 せっかく無線機能がついているんだから、PCとUSBで接続しなくてもいいじゃない、ということです(笑)

神尾 それは私も感じますね。家には無線LANがあるので、無線LANをつかんで、サーバ経由でシンクロしてくれるのが理想ですけどね。

梅田 基本要素はWindows Liveにそろっているので…。

石川 あとはモバイルユーザーをくすぐる仕掛けがほしいですね。

神尾 この業界は長く見ていますけど、普通のケータイユーザーさんは、あまりケーブルをつなぎたくないんだなあ、というのを感じます。何かと何かを接続して連携するという一手間がどうしてもできない人がいるので、これは無線を使って連携するしかないのかなと最近感じています。

梅田 iPodはPC接続するんだけど、ケータイは……ということですか。

神尾 バックグラウンドの文化的な蓄積もありますし、iPodの場合は充電できるという大きな要素がありますから。ケータイは、iPhoneは別として、パソコンから充電するという文化じゃないですからね。

梅田 そんなに操作性は変わらないんですけどね。端末のデザインなども含めて、Appleさんのほうが今のところは上手というか強いですね。

神尾 あと、Windows Mobile用に追加ソフトウェアをPCに入れるのも、普通のPCユーザーさんにはハードルが高いですね。実はPCにプリインストールされている以外のソフトを入れるのって、一般人にはとても面倒ですし、怖いと感じている人も多いですから。

梅田 まだ日本ではやっていませんけれど、端末に対応するアプリケーションだけをカタログ的に参照してダウンロードするという、Windows Mobile Marketplaceというコンポーネントはあるんですよ。ただ、まだキャリアさんにそのMarketplaceにアクセスする手段を用意していただく段階には至ってませんね。

石川 キャリアにしてみたら、これだけオンラインでアプリを提供したら、パケット通信料を稼げるんですけどね。

神尾 我々の世代はPCにソフトウェアを買ってきてインストールするというのは当たり前の世界だったじゃないですか。

 でも、もしかしたらこれから先、パソコンそのものはどこかで買ってくるけど、そのあとはインターネットにつないだら、何もアプリケーションを買ってこないで、必要なものは自動的にダウンロードして導入するというスタイルになるんじゃないかと考えています。

 そうなったときに、いちいち(Windows Mobileの)ソフトウェアのインストールを意識的にやらなきゃいけないというのは、この先は厳しいかなという気がします。Windows Mobile系のソフトは端末側のメモリに入れておいてほしいんですよね。USBケーブルを接続したら勝手に端末側でインストールをかけてくれるといったことをしてもらいたいです。

フォントも頑張ってほしい

神尾 Windows Mobileには、日本語の表現とフォントをもっと頑張ってほしいです。せめてiPhoneレベルまでいってほしいというのはありますね。文字の拡大縮小のスムーズさや、フォントの美しさなどに気を配ってほしいです。

 スマートフォンはある意味、いろいろなところが自由になるじゃないですか。自由になると、そういうところ(フォント)が気になるんですよね。固定フォントでやっていた従来のケータイの世界と違うので。

梅田 Vistaでいうところのメイリオみたいなものですかね。

神尾 メイリオは入れてほしいですね。iPhoneのフォントは意外とお年寄りからの評価が高いんですよ。ネットニュースを「PCよりもiPhoneで読んだほうがいい」とおっしゃっていた50代の方もいたので。Windows Mobileでも、ぜひ美しいフォントに期待したい。

 iPhoneは文字サイズを大きくしても、桁折りなどが自動調整されます。そうすると、自分に合わせた文字サイズで見られて、読みづらい字があったらさらに拡大できます。(Windows Mobileは)英語文化として日本とは違うところがありますので、日本語への理解が深まると、すごくいいと思うんですけどね。

 あと、(Windows Mobile機器の)トップメニューで「今日の予定はありません」というのは冷たい言い方なので、もっと柔らかくしてほしいですね(笑)。そこは日本語表現として、もっと感情を大切にしてほしい。

梅田 まあ、ビジネスツールというところから来ているので、硬めな表現になってしまいましたけど、今後は……(笑)。

石川 そのあたりの表現もカスタマイズできるといいですよね。

神尾 操作方法は違ったりするところがあるので、ケータイ系ですとソフトバンクさんが採用した、他社のUIを継承できる「おなじみ操作」みたいなものだとか、チュートリアルやヘルプも充実してくれてもいいのかなという気はします。

石川 いずれにしても初心者に優しくというところですね。

神尾 御社としてもその方向をねらっていきたいわけですよね。

梅田 そうですね。

複数の操作体系の“交通整理”が必要

神尾 将来のWindows Mobileの理想は、うちの子供に渡して、使いこなせるものにはしてほしい、というところですね。今子供は5歳ですけど、彼はiPhoneだとけっこう使えるんですよ。自分でサテライトモードの「Googleマップ」を見て操作しているんです。iPhoneは触って操作できるので、子供でも何となく使えてしまうというところがあると思うんですけど、それは普通のケータイにもできていない領域ですし、Windows Mobileもできていないので、そこまでいくとすごくいいですね。

梅田 設定レベルの操作までは(通常のUIで)いいんですか?

神尾 そうですね。設定とかはできなくても、子供が「何となく触っていたら、結構使えてしまう」くらいにはしてほしい。そうなるとWindows Mobileのユーザー層が広がって、スマートフォンのエコシステムが拡大できると考えています。設定レベルではさすがに、何となく触って操作することはできないですけど、iPhoneは直感的に何となく動かせるという、それで興味を持たせるのが上手いなと思いますね。任天堂さんやSCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)さんが得意なところですけど、マニュアルを読まない人たちに最初の6分間だけ遊ばせて、飽きさせずに操作を覚えさせるという導入のし方は、ゲームにおいてはすごく重要ですね。

石川 まだWindows MobileはPCのWindowsを使っているのが大前提になっている感じがします。本当に若い層であれば、Windows Mobile端末が1台目になってくる可能性も今後十分出てくるので、その人たちがちゃんと使えるようなUIになってくれるといいと思いますね。

神尾 これはメーカーさんの領域かもしれませんが、複数の操作体系が混在しているじゃないですか。キー操作が主体なのかタッチペンが主体なのか、指タッチが主体なのかという“交通整理”が必要なのかなと。OSとしては全部に対応しなければいけないと思うんですけど、いろいろな操作方法ができてしまうと、分かりづらいというのはありますよね。

 ちなみに御社は「Surface」というのをやってますよね。あのへんは、Windows Mobileとも連携してくるんですか?

梅田 どこまでというのは分からないですが、関連サービスが出てくる可能性はあります。

ITmedia 最後に、今までのお話を踏まえて、これからのWindows Mobileにかける意気込みをお願いします。

梅田 今はちょうど日本の携帯電話の次世代OSが何になるかという過渡期に差し掛かっています。その中でWindows Mobileは、今まではどちらかというとビジネスユーザーが使うOSという位置付けでしたが、今後はメインストリームに大きく展開していきたいと思っています。面白いデバイスも続々と出てくる予定なので、ぜひご期待ください。

(完)

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月27日 更新
  1. X Pro(旧TweetDeck)が月額6080円の最上位プラン限定機能に プレミアム(月額918円)から除外で大幅値上げ (2026年03月27日)
  2. ソフトバンクのRCSが「iPhone」に対応 iOS 26.4以降にアップデートすれば利用可能 (2026年03月26日)
  3. iPhoneでもミリ波の恩恵を ソフトバンクが模索する「ミリ波×Wi-Fi」という新解法 (2026年03月25日)
  4. ファミマ、シチズン共同開発の「腕時計」発売へ 1998円で10気圧防水、ファミマカラーがアクセント (2026年03月26日)
  5. 文末の「。」が威圧感を与える? 20代の約半数が気にする“マルハラ”を防ぎ、チャットで好印象を与える3つの工夫 (2026年03月25日)
  6. USB Type-C端子をマグネット化できる「エレコム マグネット変換アダプタ」が15%オフの1088円に (2026年03月25日)
  7. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  8. ドコモの「dバリューパス」に月額550円を払って、結局いくら得をするのか? (2026年03月25日)
  9. ソフトバンクの「Galaxy Z Fold7(256GB)」、MNPで2年間約6万円に 3月27日まで【スマホお得情報】 (2026年03月25日)
  10. スマートウォッチ「wena」が復活を果たしたワケ ソニーから独立した對馬氏が語るスタートアップの勝算 (2026年03月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年