中国が開発した3G規格「TD-SCDMA」のサービスが開まった。現時点でサービスエリアは8都市のみ。2008年6月現在は商用テストという位置付けであることからサービス内容も対応端末の数もまだ少ないが、独自に開発したシステムということもあり、海外からの注目度も高い。ではその実力はどうだろうか。実際にTD-SCDMAサービスを利用して性能を試してみよう。
TD-SCDMAサービスを開始したのは中国最大の携帯事業者「中国移動」(China Mobile)。2008年4月1日から北京と上海、天津、沈陽、広州、深セン、アモイ、泰皇島の8都市で試験サービスとして開始した。一部の顧客に端末を無料で貸し出してモニターテストを行うほか、一般の消費者も有償でTD-SCDMAサービスに加入できる。
TD-SCDMAに対応した端末は現在8機種がラインアップされており、全モデルが3GのTD-SCDMAと2GのGSM両方式に対応する。8機種の内訳は韓国メーカーが2機種、中国メーカーが6機種。このうち2機種はデータ通信モデムとなっている。
メーカー | 型番 | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|
Samsung | L288 | 2800人民元 | ─ |
LG | KD876 | 2500人民元 | ─ |
ZTE | U980 | 3800人民元 | ─ |
Lenovo | TD800 | 1800人民元 | ─ |
Haisense | T68 | 1800人民元 | ─ |
Postcom | N268 | 1800人民元 | ─ |
ZTE | MU318 | 700人民元 | USB型 |
大唐移動 | DTM5722 | 800人民元 | PCカード型 |
価格は、携帯電話型端末が3800人民元(約5万7000円)から1800人民元(約2万7000円)と、GSM携帯電話ではミドルレンジからハイエンドに相当するレベルとなっている。一方、データ通信モデムは700人民元(約1万円)前後で、同じ3G方式のW-CDMA用のモデムと比べて割安だ。
中国はSIMカード方式を採用するため、端末は事業者の店舗以外、例えば家電店や携帯電話専門販売店などで自由に購入できるが、現状、TD-SCDMA端末に関してはメーカーブランドながらも中国移動の店舗のみで販売されている。また、端末単体の購入はできず、必ず回線契約とともに購入する仕組みになっている。
料金プランは無料通話分数に応じて3種類を用意する。基本料金には着信番号表示などの基本的なオプションサービスのほか、TD-SCDMAネットワーク内でのパケット通信10Mバイト、無料オリンピックニュース配信サービスなどが含まれる。テレビ電話は従量課金となり、0.6人民元/分(約10円)と音声通話の数倍程度。着信は無料だ。
さて、ようやく始まったTD-SCDMAサービスであるが、キラーサービスといえる「3Gならでは」の機能はまだ少ない。
中国移動は、テレビ電話と高速データ通信をTD-SCDMAの特徴としてユーザーにアピールするものの、テレビ電話はお互いがTD-SCDMAサービスに加入していなければ使えない。そして高速データ通信もTD-SCDMAエリア外では従来のEDGEサービス(3Gの約半分の速度)しか利用できないなど、まだ3Gのサービスをフルに利用する環境は整っていない。もっとも現時点では限定された都市だけでの試験サービスであるため、過度な期待をするのはまだ早いともいえる。
基本料金(月額) | 無料通話分 | 無料パケット通信 | 無料サービス |
---|---|---|---|
28人民元(約450円) | 150分 | 10Mバイト(TD-SCDMA) | 着信番号表示 |
58人民元(約900円) | 350分 | オリンピックニュース配信 | |
88人民元(約1350円) | 600分 | 着メロ配信 | |
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