7月1日、ソフトバンクモバイルが、同社端末向けのポータルサイト「Yahoo!ケータイ」をリニューアルする。13カ月連続で純増トップを獲得するなど、順調にシェアを伸ばしているソフトバンクモバイルだが、ポータルへのアクセスがシェアに比例するほどの伸びを見せていないことから、ユーザービリティの見直しに着手。“目的を持って使う人には、もっと使いやすく、使っていない人には使ってもらうためのきっかけを作る”というコンセプトのもと、ポータルを一新する。
新たなポータルの特徴と狙いについて、サイト構築に携わったソフトバンクモバイル プロダクト・サービス本部 戦略企画部で課長代理を務める甲立隆雄氏、同主任の川島佳代子氏、ヤフーモバイル事業部 企画部メディアチームの伊藤咲子氏に聞いた。
ポータル見直しのきっかけは、「Yahoo!ケータイの役割を見直す時期に来たことだった」と話すのは甲立氏。ボーダフォンの買収を経て、ポータルをYahoo!ケータイに切り替えてから約2年半、月額980円というホワイトプランやボーダフォン時代にはない豊富な端末ラインアップで加入者が順調に増えたものの、「ポータルへのアクセスはそれに比例するほどの伸びを見せなかった」(甲立氏)という。そのため、リニューアルにあたっては、より多くのユーザーに“Y!ボタンを押してもらう”ことを意識したサイト構成を目指したという。
これまでYahoo!ケータイは、(1)より多くのサービスを並べて、使いたいものを選んで使ってもらう(2)認知度の高いYahoo!の検索を利用してもらう という2つを軸に据えて展開していたが、こうしたサイト構成は目的が明確なユーザーには便利な半面、そうでないユーザーには引きが弱いのではないかという懸念もあったと甲立氏は振り返る。「目的を持たないユーザーにどう使ってもらうか――。リニューアルでは、そこに重きを置いています。目的を持って使う人には、もっと使いやすく、使っていない人には使ってもらうためのきっかけを作る。それが新たなポータルの画面に反映されています」(甲立氏)
リニューアルしたYahoo!ケータイのトップページはどう変わったのか。1つは検索窓の下に、人気の高い20のサービスを配置した点だ。これまではカテゴリーがタブ形式で表示され、そこから使いたいサービスにアクセスするようになっていたが、「ユーザーがより少ないクリックで必要な機能にアクセスできるよう」(伊藤氏)改善を図った。ここに表示されるサービスは、ユーザーのユニークユーザー数と利用頻度を元に指数化し、その中でも人気が高いものを厳選して表示している。表示されていないサービスについても[#]キーを押せば探せるようにするなど、従来のポータルを便利に使っていたユーザーの使い勝手にも配慮した。
検索窓の直下には、世間で注目を集めているトピックがひと目で分かる「急上昇キーワード」や、知恵袋、掲示板、みんなの検定といったユーザーが主役のCGMコンテンツの中のユニークな投稿が表示される。このコンテンツは時間によって表示される項目が変わり、アクセスするたびにユーザーが旬のトピックを楽しめるという。
その下に配置したのは、ニュースや経済、スポーツ、エンタメ、ランキングといったリコメンド系のコンテンツ。このコンテンツ群は「ワイドショーボックス」というコンセプトで構築され、これまでYahoo!ケータイにアクセスしなかった人にも楽しんでもらえるような情報を揃えた。「エンタメでは、動画や音楽、ゲーム、コミック、壁紙など、旬のコンテンツを日替わりでリコメンドします。ランキングは、朝10時まではその日の占いがランキング形式で表示され、10時から翌朝までは日替わりで、CDやゲーム、映画の興行成績などのランキングを表示する予定です」(伊藤氏)
「朝起きてテレビをつけて、占いや天気、芸能ニュースを見る――という、リアル世界と同じような情報収集が、Y!ボタンを押すことでできるようになります」(甲立氏)
その下には、ヤフーやソフトバンクモバイルのリコメンド情報を特集的に表示したり、高校野球や北京オリンピックなどの試合速報を中継的に掲載するコーナーを用意。「ページの下に行くほど、リコメンド色が強いコンテンツになる」(伊藤氏)というサイト構成になっている。
リニューアル後のYahoo!ケータイは、「ユーザーインタフェースはかなり変わりますが、“最短導線”という意味では利用者に合ったサービスができるのではないかと思っています」と川島氏は胸を張る。ワイドショー的アプローチが、リニューアル後のポータル利用をどう変えるのかに注目したい。
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