子供のケータイ利用、「判断力のない人間が判断している状況」――教育再生懇がソフトバンクに意見

» 2008年07月02日 17時39分 公開
[石野純也(EYE's factory),ITmedia]

 7月2日、首相直属の教育諮問機関である教育再生懇談会がソフトバンクモバイルを訪問し、子どもの携帯利用に関する意見交換を行った。ソフトバンク側からはソフトバンクモバイルの松本徹三副社長、弓削哲也常務執行役員、ソフトバンクの嶋聡社長室長らが出席し、携帯電話のフィルタリングサービスの活用状況などに関して、意見を交わした。

Photo 首相直属の教育諮問機関である教育再生懇談会がソフトバンクモバイルを訪問し、意見を交換(左)。教育再生懇談会からの質問に答えるソフトバンクモバイルの松本徹三副社長(右)

児童見守りサービスにも協力――ソフトバンクモバイルの取り組み

 会の冒頭、ソフトバンクモバイル側が同社の主な取り組みについて説明し、2008年1月に親権者の意思確認を必須化したことにより、フィルタリングサービスへの加入者数が急増した事例を紹介した。資料によると、同年5月には80万件を突破し、小中学生のフィルタリング実施率は実施前の3割強から2倍以上向上して7割強となったようだ。小学生に限ると、設定率は8割を超えるという。

 あわせて、同社の子ども向け端末である「コドモバイル」を紹介。今後の取り組みとして、18歳未満の既存顧客への対応や、第三者機関のリストを用いたフィルタリングの精度向上、選択肢の多様化などを挙げた。

 また、品川区が契約している児童見守りサービス「まもるっち」の取り組みについても説明。品川区が端末を買い取り、保護者に無償貸与するというスキームを紹介した。まもるっちは2Gの通信モジュールを搭載した専用端末で、非常ブザーと通話端末が一体となったモデル。ブザーを鳴らすと位置情報が品川区見守りセンタに通知され、警察や学校、地域の協力者が現地に駆けつける仕組みとなっている。

 ソフトバンクモバイルによると、年間8000件程度の呼び出しがあり、そのうち本当に深刻なケースは7件程度だという。あわせて、このシステムで実際に不審者から子どもが守られた事例も紹介した。

Photo 親権者の意思確認の義務化で小中学生のフィルタリング実施率が向上。品川区が実施している「まもるっち」の取り組みも紹介された

プッシュで情報が来るネットは「ナイフだと思っていてもダガーナイフになる」――山谷氏

 意見交換は、教育再生懇談会の篠原文也氏が口火を切った。篠原氏は「コドモバイルは意義があるが、もともと位置情報と通話だけの端末はまもるっちだけなのか。大人の携帯電話と同じ形でまもるっちのようなものはないのか」とソフトバンクモバイル側に問いかけた。

 これに対し、同社の松本氏は「今の機器でも強制的に機能を潰すことはできるが、メールは難しい。マイナスの部分はあるが、共稼ぎの家庭などではメールがどうしても必要」と、メールの必要性を説きつつ、「大は小を兼ねるというように、同じ端末でも『こちらはメールができる』『こちらはメールができない』というようなこともできる」(松本氏)と、端末のソフトウェアで、政府の懸念事項に十分対処できると反論した。メールに関しても「回数や相手、時間帯でも制限はできる」(松本氏)と、技術的な観点からの見解を述べた。同社の嶋氏も「まもるっちのような端末は来年度から全国展開する計画もある。できる限り今の携帯に近い形のものも考えている」と付け加える。

 さらに、松本氏は「“できれば持たないように”というのが国の方針であれば、排除していく必要もある」(松本氏)と、あくまでも国の方針には従う旨を述べる一方、次のような考えも示した。

 「実際にビジネスをやっていると、本当に日本の競争力が落ちていることを痛感する。小学生は入り口。そこでインターネットを規制するのは大きな問題だ。ネットの影の部分は事業者にとっても大敵なので、ここを大きくしないようにしたい」(松本氏)

 総理大臣補佐官の山谷えり子氏は「横浜の調査では、子どもが使うケータイに、インターネット機能はいらないという声が80%以上。フィルタリングの精度が低いことや、年齢別のフィルタリングができないことは問題で、今後というより、なぜすぐにできないのか」と問いかけた。「占いやゲームがいらないという親はいっぱいいる」(山谷氏)と、現状のホワイトリストでも不十分との見解だ。

 現状のフィルタリングサービスの運用方針については、委員の野依良治氏は「判断力のない人間(親)が判断しているのが大きな問題、判断力がない国が核兵器を持っているようなもの」と総括する。

 また、ソフトバンクモバイル側には「みなさんは、お子さんにどういう機種を持たせたいのか」(野依氏)と疑問を投げかけ、「職業人と親のダブルスタンダードになっているのが問題」(野依氏)と苦言を呈した。

 これに対して松本氏は「おじいさんの立場から代表して言うと、メールは絶対に必要。孫からメールが来るのがうれしくてたまらない」と回答。フィルタリングに対する技術的な解決策が多数あることを改めて強調した。

 意見交換会の後、山谷氏は記者団の質問に答える形で、「(子どもに携帯を持たせないという)提言を出した時に『小刀を持たせるなというのと同じだ』という人がいたが、ネットは向こうから情報が入ってきて、ナイフだと思っていてもダガーナイフになってしまう。メディアリテラシーも必要だが、業界の責務として速やかに対策をしてほしい」と、さらなる規制が必要との見方を示した。

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