MVNOが実現した高速モバイルインターネット――「b-mobile3G hours150」

» 2008年08月06日 23時10分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photophoto 日本通信代表取締役社長の三田聖二氏(写真=左)、常務取締役CMO兼CFOの福田尚久氏(写真=右)

 日本通信は8月6日、8月7日に発売する「b-mobile3G hours150」の製品説明会を開催した。同社代表取締役社長の三田聖二氏、常務取締役CMO兼CFOの福田尚久氏が出席し、製品の特徴や同社MVNOへの取り組みについて説明した。

 b-mobile3G hours150は、NTTドコモのFOMA回線を利用したMVNOのPCデータ接続サービス。製品は中ZTE製のUSB対応3Gデータ通信端末と専用ソフト(bアクセスソフトウェア)、最大150時間分の通信接続権(480日間有効)がワンパッケージになっている。端末とISP利用料を含む通信費を“買い切る”プリペイドスタイルのため、住所や氏名を登録したり、回線利用契約をキャリアと結ぶことなく手軽に使えるのが特徴だ。実売予想価格は3万9900円。更新用のライセンスは2008年秋の発売を予定しており、150時間で3万円程度を想定しているという。

photo 中ZTE製の専用端末

 端末にはHSDPA方式のベースバンドチップが搭載されており、下り最大3.6Mbpsの高速通信が可能。ただし日本通信はb-mobile3Gの通信速度について一切数字を明記していない。この理由について福田氏は、「“下り最大3.6Mbps”というのはあくまで理論値であり、通信環境によって大きく左右される。現状に即さない数字はうたわない」と説明した。さらに、「ドコモのFOMA網を使うため、国内の人口カバー率は100%。実際には数百Kbps程度の接続速度になると思うが、都市部や郊外はもちろん、さらに基地局が少ないエリアでも使えるのが大きな特徴」(福田氏)と補足した。

photophoto 端末はPCとUSB接続して利用。購入後、利用する前に電話による開通手続きを行う必要がある。手続き後、約15分で利用できるようになる

photophotophoto 専用ソフトで接続をオン/オフするため、IDやパスワードの設定は不要。対応OSはWindows Vista/XP SP2以降

 また、端末と接続時間を買い切る方式にした理由については「何よりも簡単であること、ボタンを押すとつながることを目指した。そして、無駄なく使えて安心であることも重要。従量課金と定額課金のいいところを併せ持つのがb-mobile3Gだ」(福田氏)と説明した。

 使った分だけ課金される従量制は、無駄なく使うことができるが、いくら使ったのかよく分からず安心できない面がある。特にパケット通信料は、さらに分かりにくくなる。また定額制は固定価格なので安心だが、月によって利用頻度が異なる場合には無駄なコストが生じる。

 「Yahoo!やGoogleのトップページが何パケットか、正直私も知らない。いくら使ったのか分からない従量制では不安も大きい。かといって定額制では、無駄が多くなるだろう。今では、会社にも自宅にも高速回線があるし、外でデータ通信をするのは、週に数時間というユーザーも多い。その点、16カ月間に150時間まで使えるb-mobile3G hours150は、分かりやすく無駄がない」(福田氏)

 日本通信はウィルコムのPHS網を使ったPC向けデータサービスもMVNOで提供しているが、こちらも8割近くが通信時間付きのパッケージだという。「個人的な感想だが、スマートフォンや小型PCは本来、通信時間付きで販売するものではないかと思う。特にこれからは、通信サービスとセットで売らないとダメかもしれない」(福田氏)

photophotophoto b-mobile3Gのポイントは、全国・簡単・安心の3つ(写真=左)。パッケージには端末と専用ソフト、そして150時間分のプロバイダー料と通信費がまとめて入っている(写真=中央)。残り時間は、日本通信側のデータベース記録される(写真=右)

 店頭での契約が不要なb-mobile3G hours150だが、利用するには開通手続きが必要だ。携帯電話かPHSからコールセンターに電話して、端末に付与された080で始まる電話番号を登録すると約15分で使えるようになる。これは日本通信と警察庁が協力して作った同時の仕組みで、音声端末の本人確認に準ずる手続きだ。

 「携帯電話の本人確認は、本来音声端末だけのことであり、データ端末ではしなくても良いことになっている。しかし防犯とセキュリティ対策のため、あえて本人確認に似た仕組みを警察庁と協力して作った。PHSのb-mobileでも、すでにこの方法を採用している。本人確認されている携帯電話とPHSから登録することで、不当な利用を抑止できる」(福田氏)

 この開通手続きさえ終えれば、住所の登録や回線契約をしなくてもFOMA回線を使ったデータ通信が行える。接続用の専用ソフトをインストールすれば、IDやパスワードやの設定も不要だ。

世界初の3G相互接続によるMVNO

photo b-mobile3G hours150用のZTE製端末は、日本通信が独自に調達したもの

 先述のように、b-mobile3G hours150はドコモのFOMA網を使ったMVNOサービスだ。日本通信は8月6日に、ドコモとのFOMA網相互接続に間して協定を結び、翌7日から一般サービスを開始する。接続料はドコモの原価と適正利潤から算出され、10Mbpsあたり月額1500万円だという。

 「キャリアの3G網に相互接続するMVNOは日本通信が世界初。すでにドコモ網を使ったMVNOサービスがあるが、これらはホールセールであり、一般向け価格の大口割引きをしたようなもの。流通経路が違うだけで、キャリアの一般向けサービスの価格変動に左右される可能性があり、あまりスケーラビリティがない。相互接続であれば、MVNO事業者が好きな料金でサービスを提供できる」(三田氏)

photophotophoto ドコモと日本通信の相互接続価格は、10Mbpsあたり月額1500万円(写真=左)。ZTE端末を皮切に、今後1年でさまざまな端末をリリースする予定(写真=中央)。固定に続き無線網を開放することで、次世代インターネットが実現する(写真=右)

 b-mobile3G hours150は、利用する端末がドコモのコントロールを受けていないのも特徴だ。今回採用されたZTE製の3G(W-CDMA)端末は、欧州などで約3500万台の販売実績があり、ZTEは3年ほど前から国内キャリアに供給を打診していたという。

 日本通信はこの端末がJATEとTELECの認証を通過した後に10万台を調達。MNOであるドコモの接続試験を受けずにFOMA網に接続してサービスを提供する。

 MVNOと端末メーカーがMNOと独立して端末をリリースするのは世界初であり、三田氏は「実に画期的なこと」と胸を張る。販売目標は明らかにしなかったが「発注した10万台を年内に消化できればと思う。イー・モバイルさんは6カ月で40万台販売した実績がある。データ通信へのニーズはまだ高く、数百万規模で見込み客がいる。今期中に数十万台というオーダーがあれば、すばらしいスタートになるだろう」(三田氏)

 また、2009年初旬にも登場するといわれる「Android」端末にも触れ、もっともその魅力を生かすことができるのは、3G網が津々浦々まで張り巡らされた日本であるとの持論を展開。固定に続いて無線通信網の開放を速めるべきと述べた。

 「例えば固定回線で電話機を選ぶ時に『特定の機種じゃないとマイラインは使えません』というのはありえない。携帯電話は端末の販売までキャリアがコントロールしているが、契約数は頭打ちで端末販売も低迷、端末メーカーも疲弊している。ワイヤレスWAN搭載のPCが、なぜ回線込みでメーカーから直販できないのか? 一定の基準をクリアしているなら、MVNOは端末をどこから供給してもいいのではないか。世界には日本への参入を目指す端末メーカーが数多く存在する。無線もいち早く開放するべきだ」(三田氏)

 日本通信はZTE以外にも、多数の端末メーカーと協議を行っているという。多くのメーカーは、スマートフォンやMID用のOSとしてAndroidの採用を計画しているが、北米など日本以外の地域はいまだ2G通信がメインであり、高速なモバイルインターネットを利用したサービスは利用できない。三田氏は、ドコモとの相互接続でオープンなモバイル環境をMVNO提供できる日本通信であれば、世界でいち早くAndroid端末を市場に提供できると話す。

 「日本のモバイル環境は米国より10年先行している。海外メーカーの多くは、モバイルブロードバンドが発達した日本でAndroid端末を出すことを望んでいるが、残念ながら市場がオープンではない。日本通信のMVNOであれば、制限のないしばりのないオープンな環境を提供できるだろう。ドコモ回線をオープンに使わせる、それが日本通信の役割だ」(三田氏)

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