2005年4月に登場したauのソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製端末「W31S」は、着うたフルやATRAC3形式の楽曲が楽しめるオーディオプレーヤーを搭載した“音楽ケータイ”だ。
製品には音楽管理ソフト「SonicStage Ver.3.0」が付属しており、手持ちのCDをリッピングしたり、既存のATRAC3plus/ATRAC3/WAV/MP3 (32-320kbps)/WMAファイルを取り込んだりしてメモリースティックDuoやメモリースティックPRO Duoに転送できる。着うたフルに加えてさまざまな音楽データに対応することで、“ケータイ+音楽”を早くから具現化していた端末である。
音楽のジャンルに合わせたイコライザやBGM再生機能を備え、端末をカバンやポケットに入れたまま通話や音楽の再生/停止、早送り/巻き戻し操作が手元でできる「マイク付きミュージックコントローラー&ステレオヘッドホン」も同梱。ポータブルオーディオプレーヤーとして必要な機能を一通り装備したその遺伝子は、その後「ウォークマンケータイ W42S」や「ウォークマンケータイ W52S」へと受け継がれ、進化していく。
またW31Sは、国内向けのソニー・エリクソン製端末としては初めてスライドスタイルを採用したモデルとしても注目を集めた。そのスライドボディは円弧を描いてスライドする独特なスタイルで、ディスプレイとダイヤルキーの段差を少なくし、電話をする際には受話部がほどよく耳に近づくように配慮している。
スライド部にはコイルバネを用いており、端末を開く場合は、右側面のスイッチをスライドさせるワンタッチ方式を採用した。閉じるときはバネを縮めるようにディスプレイ部を押し込む。このスライドの動きをスムーズなものにするため、歯車状のオイルダンパーや衝撃吸収材を入れたというエピソードが、当時の開発者インタビューで紹介されている。余談だが、このインタビューには現在NECのモバイルターミナル商品戦略本部でチーフクリエイティブディレクターを務める佐藤敏明氏も参加していた。
スライド端末というと、通常はディスプレイの裏側にレールが露出しているのが一般的だが、auのソニー・エリクソン製スライド端末は背面にレールを見せない処理をしている。これはW31Sで初めて行った取り組みで、代々受け継がれているものだ。
それでは能書きはこれくらいにして、その中身を見てみよう。
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