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» 2008年08月21日 22時55分 公開

昔のケータイの中身が見たい:第4回 最初クッと動いて最後はスッ──au版ウォークマンケータイのルーツ「W31S」 (2/2)

[今泉博通,ITmedia]
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注意

  • 携帯電話を改造して使用すると、電波法違反となります。
  • 本企画で使用した端末は、分解後はリサイクルに出しています。

 W31Sは、デザイナーが細部までこだわりを貫き通したのか、外部から明らかにネジがあると分かるような部位が少ない。一般的な端末は、下ケースを裏面側から4カ所、ネジで留めているものが多いが、W31Sはバッテリーカバーを外してもネジはなく、一見どこで留まっているのかよく分からない。慎重にはがれそうな部分を探していくと、2本のネジはマイク部分に表から取り付けられていることが分かった。残りの2つは、レンズシャッター部のカバーをはがした中にあった。

PhotoPhotoPhoto コンパクトにまとまったすっきりしたデザインのボディ。2本のネジがダイヤルキー下のマイク部に仕込まれていることは容易に分かったが、残りの2本はレンズシャッターのカバーをはがしてようやく見つかった。この大きなカバーは両面テープでしっかり留められていた

 要となる4本のネジを外せば、ケース部分は容易にヒンジ部と分離する。メイン基板もすんなり現れ、カメラユニットやキーのスイッチが組み付けられた基板が丸ごと外れる。基板の下には、スライド機構の要となるヒンジとコイルバネがある。歯車状のオイルダンパーは基板の穴から顔を出していた。

PhotoPhoto ネジを4本外すと裏面のカバーはすんなり外れる。カバー側にはステレオスピーカーやアンテナ(上下のクリーム色のパーツ)が見える。CMOSカメラは基板に半分埋まったような形で搭載されている
Photo 開閉機構のキモとなるコイルバネと歯車型のオイルダンパー

Get Macromedia FLASH PLAYER コイルバネ、歯車型オイルダンパー、そして衝撃吸収材の組み合わせで最適な操作感を実現したスライド機構

(このムービーをご利用いただくにはFLASHプラグイン(バージョン8以上)が必要です。ムービーはこちらからでも参照できます)

 コイルバネだけでは勢いが強すぎるため、歯車状のオイルダンパーと衝撃吸収材を配してスムーズなスライドを実現したというW31S。確かにオイルダンパーなしでは一瞬で端末が開いてしまうくらい勢いがいい。オイルダンパーが入ることで、ほどよいブレーキがかかってスッと開く。ディスプレイの裏側が平らなソニエリ端末のヒンジは、シャシー全体をヒンジとして使うことで平面を実現していたことが分かった。

 ディスプレイ側は、やはり4本のネジで固定されていた。端末上部の2本はすぐに見つかったが、残りの2本がなかなか見つからず、しばらく難儀したが、ふとダイヤルキーのシートをめくるとその下にネジが2本あった。このネジを外すと、ディスプレイ側のケースもすんなり開き、中の液晶ユニットが取り出せた。ディスプレイ側は意外なほどにシンプルで、液晶とフレーム、十字キーとソフトキーのスイッチ、それと裏側に下ケースと接続するフレキケーブルをつなぐための小さな基板がある程度。主なパーツはすべてしたケースに集約されているようだ。

PhotoPhotoPhoto ディスプレイ側は、分かりやすい位置の2本のネジと、ダイヤルキーを外すと見える十字キー下部の2本のネジで留まっている。これを外すと液晶ディスプレイと十字キー/ソフトキーのスイッチ、それに下ケースと接続するフレキケーブルのための小さな基板が現れる
PhotoPhoto 液晶部分にチップ類はほとんどない。液晶パネルを固定するフレームと制御用の基板、それにスイッチがあるのみ

 メイン基板表側は、大部分がシールドを兼ねたダイヤルキーのスイッチでカバーされている。これを外すと、所狭しと並んでいるベースバンドチップやアプリケーションプロセッサなどが確認できる。ベースバンドチップはMSM6500で、「MPEG 4」のプリントが見えるチップは東芝製のAVデコーダ TC35280XBGだ。その右にあるチップはヤマハ製の音源チップ YMU783Bで、EPSONロゴの入ったチップはカメラインタフェース搭載のLCDコントローラ S1D13511(Mobile Graphics Engine)。ベースバンドチップの右にあるSpansion製のチップはフラッシュメモリーで、そのほかにも役割がよく分からないチップがいくつか見られる。SONYロゴのチップはメモリースティックのコントローラーだろうか。

 メイン基板の裏側にはRFチップのQualcomm RFR6125、RFT6120、それにRFR6120と思われるチップが確認できる。表面に用意されている金色の2本の端子は、上部と下部にあるものがアンテナ用、中央に2つある斜めのものがスピーカー用だ。下部の大きな銀色の部品はメモリースティックDuoスロットである。バッテリーはこの上に乗る形になる。

PhotoPhoto メイン基板に穴を開けて、厚さのあるCMOSカメラを埋め込んである。撮影補助用ライトや赤外線ポートもユニット化して基板に組み込んでいる。RF部は着脱式の金属製カバーで覆われている
PhotoPhoto 表側に、ほぼすべての機能を担うチップが所狭しと並んでいる。一番大きなQualcommロゴの入ったチップがベースバンドのMSM6500。裏面にはメモリースティックDuoスロットとRFを担うチップが配置されている

 ウォークマンケータイの先駆けとなったW31S。そこには、今につながるさまざまな工夫が込められていた。とくに「スコーン」でもなく「モワッとしてシュコーン」でもなく、「スッと動いてカン」でもない、絶妙のチューニングで実現したヒンジのスライド感は、いつまでも触っていたくなるような心地よい感覚だったのが印象深い。

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