Nokiaのサービス戦略を加速させる「Qt」とは:The Way We Live Next 2008

» 2008年09月30日 07時15分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
Photo Nokia Qtソフトウェア担当副社長のセバスチャン・ニストロム氏

 Nokiaがサービス戦略の強化に向け、傘下に迎えたさまざまな企業のサービスの中でも、ひときわ重要な役割を担うのが、クロスプラットフォーム対応の開発フレームワーク「Qt」(キュート)だ。Nokiaは2008年1月に、Qtの開発を手がけるTrolltechを買収すると発表し、今年6月の買収完了後に、Qtソフトウェア事業部を立ち上げ、Trolltechの事業を引き継いでいる。

 この開発フレームワークは、Nokiaのサービス戦略にどのような恩恵をもたらすのか。Qtソフトウェア担当副社長を務めるセバスチャン・ニストロム氏が説明した。

 Qtはクロスプラットフォームに対応した開発フレームワーク/インタフェースで、WindowsやMac OS、Linux、組み込みOSなどのほぼすべてのプラットフォームで動作する。C++ネイティブながら、Webやレンダリング技術も備え、Webオーサリングツールを利用してWebで公開されているさまざまな情報にアクセスできる。KDEがGUIのツールキットとしてQtを採用しているのは有名な話だ。

 Qtは防衛、石油、テレコムなどさまざまな分野の業界で導入されており、「コーヒーマシンからバスのコントロールマシン、シミュレーションシステムなど、さまざまな環境でQtが動いている」(ニストロム氏)という。

 ニストロム氏はQtの持つ価値について「Qtを使うと開発がおもしろくなる。一貫性のあるAPIを持つことができ、生産性が高まる」と説明。さまざまなアプリケーションで動作することから開発期間を短縮でき、サービス導入までの期間が短くて済むことや、OSがアップグレードされてもアプリケーションを変える必要がないこともメリットになるとした。

Qtの買収は、市場のトレンドを見極めた上での決断

 Qtの買収は、市場のトレンドを見極めた上での判断だったとニストロム氏は振り返る。その1つは、多機能でハイエンドなコンバージェンス端末の台頭だ。ユーザーはこうした端末を快適に使いたいと思っており、グラフィカルな画面によるこれまでにない体験を期待しているという。

 もう1つは、ネット上のサービスにアクセスするデバイスの多様化だ。ユーザーは場所やニーズに応じて、携帯電話やPCなどの各種デバイスを使い分けており、「機器を問わずに同じサービスやアプリケーションを使いたいと思っている」(同)という。サービスを提供する事業者は、ユーザー体験を損なうことなく、自社サービスをさまざまな端末に対応させる必要があるわけだ。

 「こうしたトレンドを考えると、パワフルなアプリケーションフレームワーク/ユーザーインタフェースが必要だった」(ニストロム氏)

 NokiaはQtを利用することで、サービス分野を強化し、ソフトウェア戦略を加速させたい考えだ。Nokiaは携帯電話向けアプリだけでなく「PC Suite」などのPC向けアプリケーションも開発しており、Qtを利用すれば、デバイス間でコードを再利用できることから、アプリケーションを変更する必要がなくなる。これがサービスの迅速な運用と展開につながるというわけだ。「さらに、リッチなユーザーエクスペリエンスも実現できる」(ニストロム氏)。Nokiaでは、オープンソースコミュニティの活動を通じて、さらにQtを改善していきたいとしている。

携帯業界のトレンドを知りたいと思ったら→+D Mobile「業界動向」へ
  • 各キャリアの発表会リポート
  • 国内外の携帯市場動向
  • 通信業界のキーパーソンインタビュー
  • 携帯事業者別シェア/携帯出荷台数
  • 携帯関連の調査リポート記事

携帯業界のトレンドや今後を把握するのに必要な記事だけを集めたのが“+D Mobile 業界動向”。記事はトピックや連載ごとにアーカイブされ、必要なときにまとめてチェックできます。
今すぐアクセス!


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月25日 更新
  1. 富裕層向けカードの潮流が変化 アメックス、三井住友、ダイナース、ラグジュアリーカードが狙う“特別な体験価値”とは? (2026年09月22日)
  2. 「iPhone 18 Pro」は何が進化した? 「iPhone 17/17 Pro」とスペックを比較 全て20万円超えの価格が悩ましい (2026年09月10日)
  3. 似て非なる?「iPhone 18 Pro」と「iPhone 17 Pro」の外観上の違いを比較する (2026年09月23日)
  4. “iPhone 18難民”の買い替え先は? 最新「iPhone 18 Pro」と型落ち「17/17e/16」から最適解を考える (2026年09月25日)
  5. ドコモがahamoの料金刷新、40GB・60GB・120GBの3段階制に 月額3135円〜に値上げ (2026年09月25日)
  6. 出そろった「iPhone 18 Pro」の価格を4キャリアで比較 ソフトバンクが衝撃の安さ、楽天モバイルが異例の施策 (2026年09月13日)
  7. どちらを選ぶ? 「iPhone 18 Pro」と「iPhone Duo」のスペックを比較、14.5万円の価格差をどう捉えるか (2026年09月24日)
  8. 「マイナポータルアプリ」が「マイナアプリ」へ刷新されて何が変わった? メリットや利用方法を解説 (2026年09月20日)
  9. イオンでアプリ使ってる? お得に買い物をする方法を調べてみた【2026年9月版】 (2026年09月24日)
  10. キャリアショップや家電量販店よりも厳しい現実――街中の「併売店」の“今”を探る (2026年09月21日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー