ケータイDLNAで実家や友達の家も自宅のリビングに――ドコモの「MH2H」CEATEC JAPAN 2008

» 2008年10月02日 20時25分 公開
[日高彰,ITmedia]
Photo NTTドコモ先進技術研究所・未来端末研究グループ研究主任の三宅基治氏

 テレビ、HDDレコーダーなどのAV家電やPCで、DLNA(Digital Living Network Alliance)認定製品が3000機種を突破した。DLNAロゴが付いている機器は、LANを通じてコンテンツを共有でき、例えば自室のPCに保存されている動画を居間のテレビで再生する――といったことが、機器メーカーの枠を超えて可能になる。

 DLNAはその名の通り、当初は「デジタルリビング」を実現するための生活家電向け規格として登場したが、2007年から認証製品が登場しているバージョン1.5のガイドラインでは、携帯電話やデジタルカメラといったモバイル機器での利用も想定されるなど、その枠はリビングを超えて屋外へと広がる動きを見せている。

 DLNAに関する最新動向を解説するCEATEC JAPAN 2008の基調講演「家庭からモバイル領域への進化を遂げるDLNA」の中で、NTTドコモ先進技術研究所の三宅基治氏は、ドコモブースに出展した「Mobile Home to Home(MH2H)」を紹介し、外出先から自宅のコンテンツにアクセスするための同社の取り組みについて説明した。

 ドコモは既に6月から、携帯電話から自宅のPC内のコンテンツにアクセスするためのサービス「ポケットU」を開始している。携帯電話向けにコンテンツのフォーマットを変換する機能とWeb/VPNサーバ機能を搭載した専用ソフトをPCにインストールすれば、自宅のPC内にある動画や音楽、画像、Office文書などを、どこからでも携帯電話で見ることができる。さらに、DLNAの仕組みを利用した「ネット家電プラグイン」も提供され、これを利用すれば家庭内のDLNA対応機器からコンテンツをPCに集めて、同じように外出先から楽しめる。

Photo 「ポケットU」を利用すれば、携帯電話から自宅のコンテンツにアクセスできる。ただしコンテンツは携帯電話向けにダウンコンバートされ、テレビには出力できないなど、主に移動中の利用を想定したものだ

 しかし、例えば友人の家に遊びに行ったり、実家に帰省したりといった場面では、自宅にあるコンテンツを携帯電話の小さな画面ではなく、大勢で一緒に見られるテレビなどを利用して、携帯用に変換される前の品質で再生したいものだ。そこで、外出先にあるDLNA対応の再生機器とブロードバンド接続を使って、自宅のコンテンツにアクセスしようというのが「MH2H」の狙いだ。

Photo ドコモブースに参考出展された「MH2H」。左側が自宅にあるPCやレコーダーで、右側のテレビやPLAYSTATION 3が訪問先。テレビには自宅のコンテンツリストが表示されている

 訪問先の再生機器から自宅にアクセスするにはいくつかの方法が考えられるが、MH2Hでは再生機器側はDLNAに対応さえしていればよく、特別な機能追加が不要な点が最大のメリットだ。ブロードバンドルータに特殊な設定をしたり、専用のクライアントソフトをインストールしたりといった作業が必要だと、勝手にシステムをいじれない他人の家などで、利用しづらいサービスになってしまう。

 MH2Hでは、無線LANを搭載した携帯電話を視聴のためのキー(カギ)として使用することでこの問題を解決。ブースではWindows Mobile搭載の「F1100」を使ってMH2Hのデモを展開し、MH2Hでケータイが果たす役割を紹介している。

 F1100を訪問先のLANに接続すると、DLNAサーバとして振る舞い始める。テレビなどの再生機器は、最初家庭内LANに属するF1100に対してコンテンツをリクエストするが、F1100はコンテンツリストのありかとして自宅のDLNA機器を参照するように返答するので、あとは再生機器がインターネットを通じて自宅にアクセスし、コンテンツが転送される。このような仕組みにより、訪問先にいながら自宅にいるときと同じように、自宅のDLNA機器内にあるコンテンツを参照できる。

Photo F1100がDLNAサーバとなり、コンテンツリストやコンテンツ自体のファイルはブロードバンド接続を通じて自宅から直接転送される。DLNAサーバとコンテンツ自体が別の場所にあるというのは変則的だが、DLNAガイドライン1.0の仕様から逸脱しない範囲内で実現可能だったという

 自宅のDLNA機器とF1100の間では定期的に接続状態の確認が行われ、F1100が訪問先のLANから切断されるとコンテンツのオーナーがその場にいなくなったと見なされ、コンテンツの転送がストップする。これが、自分がいないときに自宅にアクセスされることを防ぐわけだ。ポケットUと異なり、コンテンツ自体の転送にはFOMA網でなく固定のブロードバンド接続を使用するので、ハイビジョン解像度の動画なども品質を落とさずに転送でき、携帯電話のネットワークに負荷をかけることもない。

 MH2HはDLNAガイドライン1.0に準拠する機器で利用できるが、再生機器がDLNAガイドライン1.5に準拠していればモバイル機器からのコントロールを受けることが可能なので、再生機器を直接操作しなくても、携帯電話の操作で、コンテンツリストの閲覧や再生・一時停止などが行える。この場合、コンテンツリストが表示されるのは手元の携帯電話の画面だけなので、リストを他人に見せたくないといったときにも便利だ。

Photo DLNAガイドライン1.5に対応した再生機器は、モバイル機器からのコントロールを受けられるので、携帯電話をリモコンとして使用できる。操作の流れは、コンテンツが保存されている機器を選んで再生するファイルを選択し、最後に出力したい再生機器を選択するといったものになる。周りにいる人にコンテンツのリストを見せたくないといったときにも便利だ

 今回は参考出展の扱いであり、ドコモは「商用化については未定」としているが、実際のサービス提供を念頭に置くと、いくつか課題も残る。

 まず、無線LANに対応した端末が現状では少なく、大多数のドコモユーザーは現在の端末では利用できない。これについては、将来的には対応端末が増える可能性があるほか、携帯電話以外の無線LAN搭載機器を組み合わせることで解決することもできる(ドコモにとってメリットはないかもしれないが、例えば携帯ゲーム機を再生キーにするといったことも仕組みとしては可能)。

 また、デジタル放送を録画したファイルなど、著作権保護が有効になっているコンテンツはDTCP-IPの仕様上インターネットに流すことが難しいため、現状の仕様では対応できない。ただ、DLNA側もDTCP-IPの仕様については常に注視しており、今後制度の緩和が進めばDLNAガイドラインもそれに沿った形でアップデートする意向はあるようなので、将来的には何らかの解決策が生まれるかもしれない。

 ドコモとしては、移動中はポケットU、訪問先ではMH2Hを提供することで、DLNAをリビングからインターネットへと拡張し、“いつでもどこでも見たいものを見られる”という携帯電話ならではのサービスにつなげたいとしている。

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