“断片化”したモバイルインターネットの世界で、Googleが目指すものとは:mobidec 2008(2/2 ページ)

» 2008年11月29日 03時11分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
前のページへ 1|2       

Android、そしてクラウドサービスへの期待

 ラーゲリン氏は最後に、Googleの“情報と人を結びつけ、包括的かつ効率的に共有する”という理念を具現化するクラウドサービスと、それを実現するためのツールである「Android」端末について、改めて説明した。

 「お金は多くの人にとって大事なものだが、現金を布団の下に敷いて寝る人はあまりいない。常に全財産を持ち歩くことはなく、銀行という仕組みやATMなどの技術を信頼して、貯金している。我々は口座上のデジタルなお金を、必要に応じて引き出して使っている」(ラーゲリン氏)

 このお金を情報に置き換えたものが、クラウドサービスであるとラーゲリン氏は補足する。「PCやケータイの違いはあまり問題にならない。どんな環境だろうが同じ情報を扱え、安全な雲の中に元の情報を預けることができる。そこには、情報のバックアップという価値も生まれる」

 クラウド上の情報をローカルにキャッシュする必要があるのは、端末が圏外のときか、十分な接続速度が出ないときだが、3G網が発達した日本では「あまり心配しなくてもいい問題では」と、ラーゲリン氏は指摘する。

photophoto お金はどこからでもアクセスできる安全な場所に集めて、必要に応じて引き出すもの――これを情報に置き換えたのが、クラウドコンピューティングサービス

 Googleが提供するさまざまなクラウドサービスは、もともとPC向けに作られたものだ。それを携帯電話で快適に使うには、先述のようなある仕様に基づいた標準的な環境が必要になる。そのためにGoogleが用意したのが、Androidだ。

 Androidには、フルHTMLのコーディングやAjaxに対応したPCと同等のブラウザ(WebKitコードをベースの「Chrome Lite」)があり、共通のアプリケーションスペックを持つ。それらを開発するためのツールは無料で公開されており、ソースも提供される。オープンソースはあるがライセンス形態はApache License 2.0のため、条件を満たせばオープンソース内に追加したオブジェクトソースを公開する必要もない。アプリケーションのリソースが共通のため無駄がなく、低コストで高い品質の端末を作ることができる。

photophotophoto ケータイのブラウザをPC並みに引き上げ、モバイルインターネットを次のステップに進化させるのプラットフォームがAndroid

photophotophoto

 「オープンソースの精神を尊重するのであれば、追加したオブジェクトソースの一部でも公開してほしい。だが、その判断は開発者に委ねられている。現在の携帯電話開発は、ハードよりもソフトの開発費が高い。Androidはアプリケーションのリソースが共通のため無駄がなく、低コストで高い品質の端末を作ることができる。またレガシーな要素を使わず、開発者の立場に立って設計されたものだ。日本の開発力は非常に高く、Androidを使って、これまでにないケータイやサービスを開発できるだろう」(ラーゲリン氏)

“Googleフォン”なんて存在しません

photo 米T-Mobileから発表されたAndroid搭載端末「G1」

 Androidを搭載したHTC製の携帯電話「G1」(HTC Dream)は、すでに米国でT-Mobileから発売されている。G1は予測を2倍上回る売行きで、10月22日の発売から年内に100万台に達する見込み。そのペースは初代iPhoneに匹敵するという。

 そのG1についてラーゲリン氏は、「『Googleフォン』という呼び方があるが、世の中にGoogleフォンというものは存在しない。AndroidはOpen Handset Alliance(OHA)のメンバーを始めとした皆さんのものだ。確かにGoogleのサービスに最適化されているが、Googleですべてが解決する(※)とは我々も思っていない」とコメントした。

 いずれにしても、ユーザーが“ケータイでもPCと同じようなことをしたい”というニーズを明確に持っていることは確かだ。インフラも端末性能もそれを実現できるレベルに達しており、クラウドサービスを活用するためにも、これからフルインターネットをモバイルに持ち込まない理由はない。

 「モバイル業界はもう“ケータイだから”と、言い訳はできないところにいる。今こそ、リッチでオープンなインターネットを携帯電話に持ち込むべきだ」(ラーゲリン氏)

(※):先日、米国の大学に「グーグルだけでは解決できない問題がいくつかある」という標識が建てられたことを受けて
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月29日 更新
  1. 20万円超のXperiaを「買い」に変えた3週間 ソニーが「モニタープログラム」を実施した理由 (2026年09月26日)
  2. 「SuicaでJR東海エリアをまたげない」問題、ついに解消か JR東海社長「勉強している」【訂正】 (2026年09月27日)
  3. なぜドコモはahamoの大幅値上げを避けたのか? 段階制で安くなるケースと「アップセル戦略」の狙い (2026年09月26日)
  4. ドコモ値上げの背景は? 副社長が語るahamoの競争力と、「楽天モバイル意識」の本音 (2026年09月25日)
  5. ソフトバンクとLINEヤフーが「Yahoo!スマホ買取」を始めた理由 スマホ高騰時代に目指す「中古の循環」 (2026年09月28日)
  6. ドコモが低容量プラン「ドコモ mini2」発表 6GB/12GBの2段階で月額3278円/4598円 (2026年09月25日)
  7. 高額な「iPhone Duo」を横目にどう選ぶ? Androidフォルダブルスマホをお得に買う方法【2026年9月版】 (2026年09月27日)
  8. “iPhone 18難民”の買い替え先は? 最新「iPhone 18 Pro」と型落ち「17/17e/16」から最適解を考える (2026年09月25日)
  9. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  10. パナの電動アシスト自転車、スマホ連携が可能に バッテリーの盗難防止や残量通知など 12月発売 (2026年09月28日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー