ケータイショップでは、通信キャリア各社が分離プランを導入してから登場した、例えば「新機種持ち帰り0円(月々の分割払いにする)」といった売り文句以外に、最近は「〜一括xxxx円」というように販売する機種も増えている。これは分離プランの仕組みを理解している人ならすぐ分かると思うが、これが従来の0円/1円ケータイに代わって登場した激安ケータイだ。
“〜一括”には、ドコモなら「バリュー一括」、auなら「シンプル一括」、ソフトバンクなら「スパボ(新スーパーボーナス)一括」などが当てはまる。一応、これは分離プランで端末代金を購入時に一括払いする場合の“呼称”である。
ここでユーザー目線で見た分離プランをちょっとおさらいする。従来より端末が高くなった(値引きされなくなった)分、約24カ月間、なんらかの手段で基本料金を割り引く方法にすることで、「通信料金と端末価格を分離」したのがいわゆる分離プランである。よって現在の“激安ケータイ”は、約24カ月分の実質割り引き額と同額で端末を販売すれば、従来の0円/1円ケータイとほぼ同価値ということになる。
これを勘案すると、分離プランによるドコモとau端末の価格は本来、2万160円(実質割り引き額の840円×24回)以下にはならないはず。これ以下では、従来の0円/1円ケータイよりも実質価格が安くなり、分離プランの意義も失われてしまう。
ところが現実は、新規契約であれば分離プランによる一括払い価格が「0円〜数千円」となる例が珍しくなくなっている。分割で支払うはずの端末代金を一括で支払うならば、もちろん月々の分割支払い額は発生しない。このため、実質基本料金はドコモとKDDIで980円/月、ソフトバンクモバイルにいたっては0円まで下げることができる(ドコモとKDDIは、月額980円の基本料金に1050円分の無料通話分も含まれる)。端末を0円から数千円程度で安価に買えば、月々の支払い額も安い“激安ケータイ”ができあがる。
どうしてそこまでして月々の利用料金を下げるのか。ドコモとKDDIの場合は、ソフトバンクモバイルのホワイトプランへの対抗意識はあるだろう。現にホワイトプランと同じ月額980円を実現するために、もっとも廉価な料金プランだけ実質割り引き額を若干上乗せしてある。2009年現在、「月額980円」はユーザーの心をくすぐる“なくてはならない”マジックキーワードになってしまった(2009年2月現在、イー・モバイルの「780円/月」やソフトバンクモバイルの学生+家族向け特別プランで「480円/月」など、価格破壊もすでに起きてきている)。
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