ただの兄弟機じゃない――シャープが「934SH」「935SH」「936SH」で目指した“距離感”開発陣に聞く「934SH」「935SH」「936SH」(3/3 ページ)

» 2009年07月16日 00時00分 公開
[あるかでぃあ(K-MAX),ITmedia]
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ソーラーパネルで“バッテリーの不安”を軽減――「SOLAR HYBRID 936SH」

photo SOLAR HYBRID 936SH

 「SOLAR HYBRID」を冠する936SHは、背面に太陽光発電モジュールを搭載したモデル。太陽光発電で約10分間充電すると、約2時間の待受か約1分間の通話が可能になる。この太陽光充電機能は、どのような経緯で搭載されたのだろうか。

 「バッテリー残量に不安を抱くユーザーさんは多数いらっしゃいます。私も出張のときは、ケータイのバッテリーが減ると不安になります。930SHからバッテリーメーターのパーセント表示を採用していますが、この不安をさらに軽減できるよう、ソーラーパネルを搭載したケータイを企画しました」(澤近氏)

 ソーラー充電は、晴天時にソーラーパネルを太陽光と直角に向けるというシビアな条件下で行う必要がある。それ以外の条件では充電時間が延びたり、電圧が足らずに発電しても充電されない場合がある。

 「10分充電で2時間の待受、もしくは1分間の通話を長いと見るか短いと見るかにもよりますが、太陽光の充電能力はACアダプタには到底及びません。太陽光充電ですべてをまかなうのではなく、外出時のプラスアルファといった使い方を想定しています」(澤近氏)

 936SHで一番難しいのは、充電能力をユーザーに正確に伝えることだという。「例えば蛍光灯の下では充電できません。電卓などに使われているアモルファス型の太陽電池なら弱い光で発電できますが、936SHは住宅の屋根に置いある物と同じシリコン多結晶型を使っているので、ある程度の照度が必要になります。そこをうまくユーザーさんに伝えられるよう努力していきたいと思っています」(澤近氏)

 こうしたユーザーへの配慮の1つが、ソーラーパネル下部に配置したLEDだ。これは着信用LEDとは別に用意され、太陽光発電のインジケータとして機能する。太陽光の強さを色で表現し、「充電されているのか」「発電のみで充電の電圧に達していないのか」が一目で分かる。こうして太陽光充電を“見える化”することで、ユーザーの誤解や無用な不安を取り除こうという考えだ、

 ソーラーパネルの搭載はソフトバンク端末では初となるだけに、開発の苦労が並大抵でないことは想像に難くない。「技術陣も現在開発を急ピッチで進めています。北海道から沖縄まで全国の気象情報を取り寄せ、大体どれだけの時間晴れていてどれだけ曇っているのかなど、地域ごとの日照量の違いを比較したり、実際の太陽光の明るさを照度計で実測しながら、太陽光充電の発電量の変化などを評価しているところです」(澤近氏)

 端末デザインは5月19日の2009年夏モデルの発表会で展示されたものから変更があり、より使いやすくなるよう改良が進められているという。


 934SH、935SH、936SHの3機種は、兄弟機ながら全機種が全く異なるコンセプトと目標の下に開発が進められている。その背景には、ここ数年の端末販売台数の減少やiPhoneに代表される海外製端末の攻勢が大きく影響しているようだ。

 「現在の市場状況はメーカーにとって非常に厳しく、1モデルの調達台数が減っているのは事実です。一方でキャリアさんには製品数を増やしたい意向があるので、より効率的な開発が求められるのです。とはいえ、キャリアが『これは要らない』と言えばご破算になるので、共通開発しながらどれだけ端末の距離感を見せられるかが大きなポイントだと思います。そういう意味で、今回の3シリーズはうまく差別化できたのではないかと思っています」(澤近氏)

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