IT専門誌の契約記者、大手携帯電話会社での新ビジネスの企画やマーケティング業務を経て、1999年にジャーナリストとして独立。ICT技術の進歩にフォーカスしながら、それがもたらすビジネスやサービス、社会への影響を多角的に取材している。得意分野はモバイルICT(携帯ビジネス)、自動車/ 交通ビジネス、非接触ICと電子マネー。現在はジャーナリストのほか、IRIコマース&テクノロジー社の客員研究員。2008年から日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員、モバイル・プロジェクト・アワード選考委員などを勤めている。
携帯電話、PC、デジタル家電にゲーム機。ふと気がつけば、身の回りにあるデジタル機器は10年前とは比べものにはならないほど増えた。音楽や写真、映像などデジタルコンテンツを扱う機会も増加しており、一昔前に夢見た“デジタルライフスタイル”は現実のものになろうとしている。
しかし、デジタル機器の増加と高機能化と反比例するように、“使いやすさ”や“分かりやすさ”は減少してきてはいないだろうか。特にデジタル機器同士の連携では、接続のための規格がたくさんあるために、初期設定の煩雑さや難解さに悩まされる人が増えている。「面倒くさい」の一言で、さじを投げたくなった経験がある人も多いだろう。
デジタル機器同士の接続を、“分かりやすく”、そして“シンプルに”する。それがソニーが今年5月に発表したワイヤレス接続支援プラットフォームの「CROSS YOU」である。これはFeliCaなど非接触ICを認証技術に用い、様々な近接通信技術の初期設定を安全かつスムーズに行うというもの。すでにNTTドコモが「iアプリタッチ」で採用しているため、利用した経験のある人もいるだろう。
このCROSS YOUとはどのようなもので、我々ユーザーのデジタルライフをどれだけ豊かにしてくれるのか。ソニー B2Bソリューション事業本部 FeliCa企画開発部門 サービスビジネス開発部 CE企画課統括課長の小林秀樹氏、同サービスビジネス開発部 CE企画課
ビジネスプランニングマネジャー 石川泰清氏、同設計部 4課 宮林直樹氏の3人に話を聞いた。
「FEEL」というコンセプトを覚えているだろうか。
2001年、ソニーが発表したユビキタスバリューネットワーク構想のキーテクノロジーの1つとして紹介された「FEEL」とは、デジタル機器同士を“近づけるだけでつながる”というコンセプトだった(参照記事)。当時のソニーは「簡単につながること」と「複数のデジタル機器同士が連携すること」が次世代のユーザーインタフェース(UI)で重要と考え、FEELというコンセプトを提唱した。
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