Windows phone「HYBRID W-ZERO3」発売人気のノーブルブラックは品薄気味

» 2010年01月28日 23時30分 公開
[園部修,ITmedia]

 ウィルコムが1月28日、Windows Mobile 6.5 Professionalを採用したスマートフォン「HYBRID W-ZERO3」の販売を開始した。

 HYBRID W-ZERO3は、“W-ZERO3”の名を復活させた、ウィルコムスマートフォンの原点に立ち返ったモデル。マイクロソフトともに、日本のスマートフォン市場を切り開いてきたウィルコムとシャープが、「日本製スマートフォンとはどうあるべきか」を真剣に考えた末に結実させたWindows phoneだ。

 これまでのW-ZERO3シリーズや先代の「WILLCOM 03」に一貫して搭載されてきたQWERTYキーボードは、HYBRID W-ZERO3では非搭載とし、物理キーは十字キーとテンキーとしてケータイに近い操作性を実現。メニューやメール、アドレス帳などの使い勝手も極力ケータイの同等機能に近づけ、Windows phone独特の機能や設定画面などを「WILLCOM UI」で覆い隠して、スマートフォンを使ったことがないユーザーにもスムーズに使ってもらえるよう配慮した。

 また通信方式はPHSに加えて、ドコモのMVNOとしてウィルコムが提供するWILLCOM CORE 3G(下り最大7.2Mbps/上り最大5.7MbpsのHSUPA)もサポートした。これにより、従来製品より高速なデータ通信が可能になっており、Webブラウズ時などのもたつきを軽減している。Windows phoneとしては初めてマイクロソフトのWindows Liveサービスと連携する専用ボタンを用意するなど、新しい試みに取り組んでいる。

HYBRID W-ZERO3、出足は好調

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 こうしたウィルコムの本気と情熱が伝わったのか、発売初日の販売状況は好調な出足となったようだ。秋葉原のヨドバシカメラ マルチメディアAkibaでは、開店と同時に予約した機種の受け取りコーナーに20人ほどの列ができたという。その後も予約していたユーザーが次々と訪れ、15時半の時点で半数以上の予約者がHYBRID W-ZERO3を受け取っていったとのこと。

 ヨドバシAkibaの店内には、タッチ&トライコーナーもあり、モックアップだけでなく、電源が入る実機(ホットモック)も用意されている。購入前に操作性やレスポンスを実際に確認できるとあって、多くの人が足を止め、熱心に実機を触っていた。

PhotoPhoto JR秋葉原駅からヨドバシカメラに入ると、正面にHYBRID W-ZERO3のタッチ&トライコーナーがあるモックアップだけでなく、電源が入った実機もある
PhotoPhoto ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaの店内には至る所に「超・スマートフォン HYBRID W-ZERO3」の文字が踊る

 HYBRID W-ZERO3開発を指揮してきたウィルコム データ通信企画室 室長の須永康弘氏は「2008年の6月にWILLCOM 03を発売したときよりも、HYBRID W-ZERO3の方が予約も多く、予想していたよりも出だしは好調です」と笑顔を見せた。

 「思い切ってQWERTYキーボードをなくし、テンキーだけにしたこともあって、当初は新規契約の方の方が多くなるかも、と思っていたのですが、今のところ機種変更で購入してくださるお客様の方が多いという状況です。『W-ZERO3/Advanced[es]』などから機種変更してくださるお客様も多く、ひとまずは受け入れていただけているのかな、と感じています」(須永氏)

 ちなみにボディカラーは、ノーブルブラックの方がかなり人気が高いという。比率はノーブルブラックが7割、プレミアムゴールドが3割程度とのこと。ウィルコムのオンラインショップ、ウィルコムストアでも、ノーブルブラックの人気が高く、1月14日に予約の受け付けを始めてから、かなり早い時点で28日お届け分の在庫がなくなっていた。

PhotoPhoto ヨドバシAkibaでは、HYBRID W-ZERO3と組み合わせて利用できる小型のBluetoothキーボードも“おすすめ”されていた

「HYBRID W-ZERO3を選んでいただく理由を、しっかり提供していく」

 ウィルコムは今、事業再生ADRの申請をして受理され、私的整理により財務体質の改善を図っている最中だ。ここ数日は「会社更生法を活用して再建を目指す」といった報道が流れるなど、風当たりが強い。ユーザーも不安に感じている部分があるかもしれない。

 そんな状況下でも着実に船出したHYBRID W-ZERO3は、ウィルコムがこれからもサービスを継続し、一歩一歩前進していくという、ユーザーへの強いメッセージでもある。HYBRID W-ZERO3は、発売後もさらに進化するべく、さまざまなアップグレードを提供することを検討中だという。

Photo ウィルコム データ通信企画室 室長の須永康弘氏

 「発売できてやっと一息、という思いがある一方で、まだまだこれからユーザーの皆さんからのフィードバックを受けて、改善していくべきところもたくさんあるとも思っています。数あるWindows phoneの中から、HYBRID W-ZERO3を選んでいただくためには、それなりの価値と選ぶべき理由がなくてはなりません。まだ詳しくは話せませんが、今後のアップグレードとして提供していきたいと思っている機能もたくさんあります。メールでの絵文字対応も、後日提供予定として準備を進めています。Windows Mobileでここまでできるのか、というところをユーザーさんにお見せできればと思っています」(須永氏)

 2010年の春商戦は、ウィルコム以外のキャリアからも、Windows MobileやAndroidを採用した個性豊かなスマートフォンが多数登場する。そして日本市場で快進撃を続けるiPhoneにも、後継バージョンが登場する可能性は高い。そんな中、ウィルコムはHYBRID W-ZERO3でどう戦っていくのか――。

 須永氏は「HYBRID W-ZERO3には、使い勝手に配慮したアプリケーションなど、トータルバランスの良さがあります。その点では、高性能なプロセッサを搭載したWindows phoneやAndroidスマートフォンにも負けていないと思っています。これまでスマートフォンにハードルを感じていた人にも、嫌にならずに使い続けていただけるように、これからもいろいろ考えていきます」と胸を張った。

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