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» 2010年06月28日 13時09分 公開

脳型コンピューター、テレパシー、平均寿命200歳――孫社長が語った「最後の大ぼら」(2/3 ページ)

[山田祐介,ITmedia]

1チップが人の脳を超える世界

 孫氏は過去300年における人類史のハイライトを工業革命ととらえ、次の300年には情報産業の発達が人類史上最大のパラダイムシフトをもたらすと話す。300年後の人類は、人の脳をはるかに超えた「超知性」を持つ人工知能と共存し、テレパシーのようなコミュニケーションを行い、平均寿命は200歳になる――SFを思わせる未来予測が、次々と語られた。

 ムーアの法則をベースにした同氏の計算では、CPUの中にあるトランジスタの数は、今から8年後の2018年に人間の大脳の神経細胞数である300億個を突破。さらに、2100年には大脳の1垓(がい)倍(1兆の1億倍)になり、2200年には1垓の2乗、2300年には1垓の3乗と、途方もない数の素子を搭載したチップが生まれると予想する。「本当にそうなるかは“いちがい”には言えない(笑)。大事なのは、人間の脳細胞の数を超えるということ」

photophoto 孫氏の予測するCPUトランジスタ総数の推移

 圧倒的な計算能力を持つチップが生みだすのは、自己学習機能を備えた“脳型コンピューター”だ。孫氏は脳型コンピューターの開発に従事した脳科学者の松本元氏と、活発に議論を交わしたのだという。

 この脳型コンピューターは、知識となるデータと知恵となるアルゴリズムを自主的に身につけて成長し、人を超える知能を身につけると孫氏は言う。人の1垓の3乗の頭脳を持つ人工知能にとっては「人間はアメーバ以下の知能」とも話す。そして、検索エンジンのクローリングなど、データを自動取得する技術はすでに実用化されていることも説明した。

感情を備えた脳型コンピューターとの共存

 現代社会で「人のクローンを認めるかどうか」が議論されているように、今後の300年で人類は脳型コンピューターの是非を議論することになる――そんな予測も立てる。そして、孫氏が想像する300年後では、脳型コンピューターと人は共存している。かつての産業革命では、人の職を機械が奪うことを危険視するむきもあったが、結果として工業は文明を大きく進歩させた。孫氏は、工業化が起こした社会問題と、情報革命が生みだすコンピューターとの共存問題をオーバーラップし、テクノロジーが作る“明るい未来”を信じているようだ。そして、人とコンピューターとの共生を実現するために、コンピューターに「感情」を持たせることが「正しい進化」だと主張する。

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 孫氏は、人間の脳は感情のおもむきに従って知識と知恵を使い、その感情は食欲などの生理的な欲求から、自己実現や愛といった高等な欲求まで存在すると説明する。そして、高等な感情が本能的な感情を制御することで、社会的な行動ができると説く。だからこそ、高度な感情を人工知能に与えることが人工知能の危険性を下げるという。

 脳型コンピューターと共存する社会では、新技術の発明は主に脳型コンピューターによってなされる。さらに、生命体の種類を越えるロボットが脳型コンピューターによって機能し、災害救助や、介護、救急医療など、多様な分野で活躍。また、脳型コンピューターがDNA治療や人工臓器の発達を促し、人間の平均寿命は200歳になっている。人々は脳型コンピューターを身につけ、距離や言語の壁を越えてテレパシーのようなコミュニケーションを行う。

 SF映画のような300年の情報革命。これを実現し、人の幸せに結びつけるのが同社の300年のビジョンだという。「私はSF映画の監督でも、小説家でもなく、事業家。我々はこれを実現したい」。脳型コンピューターを広めることで「携帯会社じゃなくてテレパシー会社になるかも」と笑う。

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