パケット収入増の柱はスマートフォンに――ドコモ決算会見

» 2011年04月28日 23時07分 公開
[山田祐介,ITmedia]

 NTTドコモは4月28日、2010年度の決算を発表した。売上高は前年度比1.4%減の4兆2243億円、営業利益は前年度比1.3%増の8447億円と減収増益。音声収入や端末販売収入の減少をパケット収入増や各種コスト削減などで補い、2009年度に続き増益となった。

 2011年度はスマートフォン事業により注力する方針。スマートフォンやタブレット端末の販売目標600万台を掲げ、パケットARPU(利用者平均収入)の対前年140円増を目指す。営業利益は8500億円を見込む。

ラインアップの半分以上がスマートフォンに

 予想を上回るスマートフォンの普及に合わせ、1月の決算会見でスマートフォンの通期販売目標を130万台から250万台に改めた同社だが、結果として約252万台を販売し、目標を達成した。当初は主に男性が購入していたスマートフォンだが、第4四半期は女性の購入者が約36%にまで達し、ユーザー層が広がっているという。

photo GfK Japanが調べた量販店でのスマートフォン販売シェアは、「GALAXY S」の投入など端末ラインアップの充実に合わせてドコモがトップに躍り出ている。「12月以降は、良いところにいっている」と、山田氏も手応えを感じている

photo ドコモの山田隆持社長

 2011年度はラインアップの半数以上をスマートフォンとし、販売台数600万台の実現に向けさらにすそ野を広げていく考え。同社の山田隆持代表取締役社長は、「リテラシーが中くらいの人にもスマートフォンを使っていただきたい」と話す。そのために、よりスマートフォンに注力できる社内体制を構築していくという。

 その取り組みの1つが、コールセンターの人員シフトだ。スマートフォンのコールセンターが混雑のためつながりにくく、「お客様からおしかりを受けている」(山田氏)こともあり、2011年度はiモード端末などの対応者よりもスマートフォンの対応者を多く配置する。また、スマートフォンを試用できる施設「スマートフォンラウンジ」の増設も図る。

 また、フィーチャーフォンとスマートフォンのサービス統合を加速させるため、同社は4月に「スマートコミュニケーションサービス部」を発足。iモードサービスを手掛けてきたコンシューマサービス部と、スマートフォン事業推進室を統合した部署であり、端末からアプリケーションまでの一貫した企画体制の強化や、コンテンツプロバイダーとの窓口一元化といった最適化が図れるという。


photo 2011年度はiコンシェルをスマートフォンに搭載する考え。

パケットARPU、2011年度は対前年140円アップが目標

 音声ARPUが減少する中で、ドコモではパケットARPUの増加を重要視している。同社は2010年度のパケットARPUの目標として対前年110円増を掲げていた。結果としては通期で90円増と目標には届かなかったが、一方でデータARPUが音声ARPUを上回る“ARPUの反転”が予測通り実現した。同社では2012年度を予定する総合ARPUの上昇に向け順調に推移しているとみる。

 今年度のパケット収入は1兆6949億円で、前年度から約1100億円増加した。内訳では、iモード端末が最も貢献しており、約500億円と収入増の約5割を占めた。シニア層やライト層に対するiモードサービスの訴求活動が実を結んだ結果と同社では捉えている。

 一方、2011年度はスマートフォンをパケット収入増の柱とする。前年比で約1400億円の増加を見込むが、山田氏はこのうちの約900億円がスマートフォンによる収入になるとの予測を示した。スマートフォンの新規加入や機種変更に加え、既にスマートフォンを購入しているユーザーがパケット利用料の上限に張り付くことで、パケットARPUの増加が加速すると同社は考えている。

photo パケット収入増の内訳

 2011年度のパケットARPUは、対前年140円増を目指す(月々サポートの影響は除く)。挑戦的な数字としていた110円増をさらに上回る目標だが、「なんとかやっていきたい」と山田氏は決意をあらわにした。

 今年度の総合ARPUは、前年度比5.2%減の5070円。2011年度は4940円(月々サポートの影響除く)を見込む。2011年度を総合ARPUの減少の“底”とし、2012年度からは総合ARPUを増加に反転させるのが同社の目標だ。これまでARPU減少の一因として挙げられていた基本使用料半額割引の契約率増加は、加入者が8割を超えたことで影響が軽微になってきたという。バリュープランへの移行は契約率が71%を超え、今後も拡大が予想される。


photo ARPUの推移

災害対策強化 LTEサービス「Xi」も拡大

 東日本大震災の発生を受け、2011年度は災害対策にも力を入れる。取り組みの軸は(1)重要エリアの通信確保、(2)被災エリアへの迅速対応、(3)利便性向上の3つ。基地局の大ゾーン化(通信エリアの広域化)、さらに無停電化やバッテリー24時間化などの対策で、行政機関や災害拠点病院付近の通信を確保するほか、衛星携帯電話や衛星エントランス基地局の提供体制強化を図る。また、パケット網を使った音声メッセージサービスの開発も急ぐ(関連記事)。さらに、スマートフォンの緊急地震速報への対応も強化し、既に発売したAndroid端末においても夏を目処に対応させる予定(関連記事)。

 こうした災害対策と震災復旧のコストは、2011年度の業績に影響する。2011年度の営業利益は8500億円を見込むが、「震災がなければ8700億円」(山田氏)という。

 このほか、会見ではLTEサービス「Xi(クロッシィ)」の今後も説明された。2010年度は約2万6000契約と目標の5万契約には及ばなかったが、2011年度は100万契約を目指す。Xi対応のモバイルWi-Fiルーターを夏に発売するほか、秋にはタブレット端末、冬にはスマートフォンを提供する予定。


photo Xiのロードマップ

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