いつでもどこへでも気軽に持ち歩けるスマホに――「AQUOS PHONE st SH-07D」の挑戦(2/3 ページ)

» 2012年06月14日 10時00分 公開
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個性的なデザインに宿るこだわり

 デザインを担当した町出氏は、これまでリリースされてきた各社のAndroidスマートフォンとの差異化や、カジュアルに持ち歩けること、ターゲットユーザーがどんなものを持ち歩いていたいか、といったことをさまざまな面から検討し、SH-07Dをデザインするに当たって「素材感」に注目して要素を盛り込んでいった。

Photo 「SH-07Dでは、金属調とラバー塗装、硬いものと柔らかいものという相反する質感を対比させてカジュアルな雰囲気を出しました」(町出氏)

 「SH-07Dは、Androidスマートフォンであると同時にミュージックプレーヤーでもあります。ですので、まずはミュージックプレーヤーにあってほしいものとして、画面を包み込むような強靱な筐体の部分と、常に手に持っていたくなるような柔らかい触感をイメージしました。ただ、全体を金属っぽくしてしまうと、ユーザーフレンドリーな感じが出ません。一方で、ディスプレイの周りに柔らかいものが付いているというのも、SH-07Dのコンセプトには合わず、言葉は悪いですがチープな感じになってしまいます。そこで、『同じ色でありながら質感がまったく逆になっている』という対比がカジュアルな感じになると考え、2つを組み合わせることにしました。2つの質感の間に黒い帯を通すことで、よりアクティブなイメージを出しました」(町出氏)

 こうしてできたのが、金属調のパネルでディスプレイ面を囲ったソリッドなデザインと、柔らかいラバー塗装を施したカバーの組み合わせだった。

 ただ、金属調のフレームは、本物の金属を使うと通信用の電波などに対する影響が出たり、金属アレルギーを持ったユーザーへの悪影響などが現れる可能性があった。そこで、「本物よりもリアルに見える素材感」(町出氏)を持った加工を、ABS樹脂に施すことにした。

 この前面のフレームは、本物の金属を元に、電気鋳造で金型を作成して成型することで実現した。これまで、こうした質感を持つパーツはカメラのレンズ部の装飾などに使ったことがあったが、これだけの大きさのものを採用するのはシャープとしても初めての試みだった。機構担当の宮崎氏は「本物の金属のような雰囲気を出すために何度も試作を繰り返しました」と振り返る。多くのメディア(恥ずかしながらITmedia +D Mobileもその1つ)でSH-07Dを紹介する際に「金属製のフレーム」と記載されているのを見たときは、「うまくいってよかった」と1人ほくそ笑んだ。

 特に宮崎氏は、金属調のフレーム部右下に用意された「NTT docomo」のロゴの部分の色乗りに深くこだわったという。

Photo 「ボディ右下のNTTドコモロゴの部分は特に苦労しました。金属のように見せるため、塗装がきれいに乗るように工夫しました」(宮崎氏)

 「アルミの染色であれば、へこみの部分にも色が染み込むのできれいに色が乗るのですが、ABS樹脂だったのでへこみの部分に塗装をきれいに乗せるのが難しかったのです。でも、へこみの部分に色が入っていないと金属のように見えません。アルミの染色のような雰囲気を出すのにとても苦労しました。試作は何十回もやることになったので大変でしたが、最終的にうまくいき、金属と勘違いされるくらいの質感に仕上げられたのはよかったです」(宮崎氏)

 またバッテリーカバー部分のラバー塗装(触感塗装)も、同様に宮崎氏が検証に時間をかけた部分だ。ラバー塗装は、AQUOS PHONE f SH-13Cでも採用していたが、SH-07Dのラバー塗装は以前のモデルとは柔らかさが全然違う。塗料自体も、SH-07Dに合わせて新規に触感を改良した塗料を採用した。品質と触感と発色にこだわり、宮崎氏が何種類もの塗料を実際に塗装して検証したという。

 町出氏は「レッドやグリーンといったカジュアルなボディカラーにラバー塗装を組み合わせることで、新素材のような感覚が出せたらと考えていました」とそのデザインの狙いを話す。当初は、明るい色で表面にゴムのような質感を持たせると汚れが目立つのではないかという懸念があったほか、鉛筆のような固いもので引っかくと傷跡が残ったりしないか、といった品質上の心配もあったが、質感と品質を合わせ持つ塗料を採用することにより、クリアした。

 「おかげで独特の肌触りが実現できました」(町出氏)

 さらに、質感が異なる2種類のパーツの色味を合わせるという作業でも困難は続いたが、製品を見るとそんな様子はまったく分からないほど違和感のない色味を実現している。ラバー塗装の部分は、金属調のパーツと合わせるため、ラバーの質感ながらも輝きがあるという、これまでにあまりなかった雰囲気に仕上げた。

 「ラバー塗装は、ラバーといってもソリッドな色合いではなく、マットでありながら輝度感が出るようにして色が重くならないようにしました。金属調のパーツと組み合わせたとき、違和感のない質感にしたかったからです。特にブラックは大変でした。真っ黒にするわけにはいかなかったので、いろいろと試行錯誤しました。またラバー塗装はゴムの黄色っぽい色味が上に乗るため、下地の塗料の色を少し変え、黄色が混ざった状態でいい色になるように調整する必要もありました。例えばブラックなら、少し紫っぽい色の塗料を採用したりしています」(町出氏)

小さいながらも、小さく感じさせない配慮

 こうして生まれた2つの質感を持つボディカラーは、遠目にも分かるはっきりした色合いで、SH-07Dの個性を強くアピールする。当初、明るいブルーやホワイトなども検討したそうだが、ターゲットが若い男性であることを明確にするため、あえて女性向けのようなイメージになるデザインは入れないことにし、レッド、グリーン、ブラックの3色とした。

 「ビビッドな強い色は、個性が出る一方で嫌われてしまうこともあるというデメリットがあります。ただ、ディスプレイ面や側面に帯として入れた黒色によって、配色のバランスを中和させました。黒で締めることで、ビビッドな色を際立たせつつも、あまり色が強くなりすぎないようにしています。『ブラック&カラー』というテーマでまとめました」(町出氏)

 また、ディスプレイ面の大部分を黒くしたのには別の理由もあった。それは“画面が小さく見えない”こと。サイズ感や利用シーンなどから、あえて3.4インチの液晶ディスプレイを選んだSH-07Dだが、「やはり4インチを超える液晶を搭載するのが一般的な他のAndroidスマートフォンと比べてしまうと、ちょっと小さく感じることがあるのも事実」だと林氏は指摘する。そこで町出氏は、金属調のフレームの内側を、パネル面も含めて黒に統一し、正面から端末を見たときにディスプレイのサイズが気にならないデザインにした。

 UI(ユーザーインタフェース)を設計するチームとも相談し、画面内の色も暗い色をベースにして、利用中も画面と正面のパネルの境界が目立たなくなるように配慮した。結果的に、それが消費電力の低減にもつながっている。

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提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2012年6月20日

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