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イー・アクセス買収 2.1GHzと1.7GHzの「ダブルエンジン」で加速するソフトバンクのiPhone 5&LTE戦略年度末のLTE基地局は約3万(1/4 ページ)

» 2012年10月02日 10時30分 公開
[平賀洋一ITmedia]
photo ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏(写真=左)とイー・アクセス代表取締役会長の千本倖生氏(写真=右)

 ソフトバンクは10月1日、イー・アクセスとの経営統合に関する記者会見を開催。会見にはソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏と、イー・アクセス代表取締役会長の千本倖生氏が出席し、経緯を説明した。

 経営統合は、ソフトバンクがイー・アクセスの株式を1株5万2000円で取得する株式交換方式で行われる。イー・アクセスは年度内を目標に、ソフトバンクの完全子会社になり、事実上の買収だ。グループ入りと同時に、ソフトバンクモバイルが持つネットワークインフラの相互活用も行い、イー・アクセスは1.7GHz帯の通信網をソフトバンク側に提供し、ソフトバンク側も子会社のソフトバンクモバイルが“プラチナバンド”として運用を開始した900MHz帯や、以前から持つ2.1GHz帯をイー・アクセス側に提供する。

 イー・アクセスの固定通信事業や「イー・モバイル」ブランドでの携帯電話事業は当面継続され、同日スタートした「楽天スーパーWiFi」のようなMVNOについても、サービス内容や提供条件に変更はない。

経営統合を早めたiPhone 5のテザリング解禁

 孫氏はイー・アクセスとの関係について、「イー・アクセスは12年前の2000年にADSL市場に参入した。当時は、ソフトバンクもYahoo!BBというADSLのサービスを開始した時期。これ以前は全国のインターネット事業の99%をNTTが担っていたが、世界で最も速度が遅く、価格が最も高いと揶揄されていた。この市場に革命を起こしたいとベンチャースピリットで参入したのが、我々2社だった。その5年後、2005年の同じ日に我々はそろって携帯電話事業の許認可を受けた。ソフトバンクはその後、Vodafoneを買収することで少し違った角度から携帯電話事業に入ることになるが、イー・アクセスはゼロから、1.7GHz帯のネットワークを作ってきた。また2008年には2.5GHz帯の免許取得を目指したジョイントベンチャーを設立し、2009年にはデータ端末向けにMVNOでインフラを借りる関係になった」と振り返り、「競争するが共存するということを繰り返してきた」と、同じ業界でお互いに意識してきたことを明かした。


ADSLと携帯電話事業では競合関係だった2社

2.5GHzのBWA免許取得やモバイルデータ通信の分野では共同路線を敷いた過去もあった

 これまでにもジョイントベンチャー(JV)やMVNOを通じて、モバイルサービスの提供を試みてきた2社。今回はなぜ、経営統合という道に至ったのだろうか。孫氏は、「インターネットの通信市場で革命を起こそうという“志”を同じくするだけに、ただ業務の提携ではなく根っこから協力したい――と以前から考えていた」と話す。

 「しかし店頭では競争する関係であり、お互いに疑心暗鬼する緊張関係でもあった。今回、イー・アクセスの取締役会が我々の提案を受け入れる決議していただいたことで、単なる基本合意ではなく、株式の交換比率などすべてを盛り込んだ最終契約書に調印することができた」(孫氏)

 以前からイー・アクセスのインフラに興味を持っていたという孫氏。このタイミングでの買収と子会社化という思い切った決断を迫られた背景には、KDDIも販売する「iPhone 5」の存在がある。

 KDDIとソフトバンクモバイルは、LTEに対応したiPhone 5の発売に合わせて当初の予定から前倒しでLTEサービスを開始。また、乗り換えキャンペーンなどの販売施策だけでなく、テザリングなどの機能面やLTE基地局の数、エリアの広さなどのインフラ面も比較され、激しい競争状態にある。LTEについてはNTTドコモも「Xi」を提供しているが、同じiPhone 5を販売するKDDIへの対抗意識は大きい。

 「健全な競争は良いことであり、競争があるからお互いに切磋琢磨できる。下取りサービスや乗り換えキャンペーンなどで差異はあるが、iPhone 5の価格は2社でそんなに大きな違いはない。また、取得したLTE基地局の免許数は、同じ8月18日時点でソフトバンクが1万673局、一方のauが4536局。またLTEが利用できる市町村数はソフトバンクが1090市区町村で、auは541市区町村と2倍くらいの差がある。しかしこうした競争は、お互いが少々汗をかくというレベルのもの。イー・アクセスとの経営統合はこのレベルではない、構造的な差が生まれる」(孫氏)

photo KDDIとの比較

現時点で、LTE対応エリアはKDDIより多いと主張する

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