AXGPって速い? 「SoftBank 4G」の実力を探ってみた対応スマホ登場(1/2 ページ)

» 2012年11月07日 19時15分 公開
[Sho INOUE(K-MAX),ITmedia]

 ソフトバンクモバイルの「SoftBank 4G」は、同社がWireless City PlanningのMVNO(仮想移動通信事業者)として提供する高速データ通信サービスだ。「AXGP」(Advanced XGP)規格を採用し、仕様上は下り最大110Mbps/上り最大10Mbpsの通信が行える。

photo 今回検証に利用した「ULTRA WiFi 4G 102HW」と「STREAM 201HW」。102HWは規格上限の下り最大110Mbpsに初めて対応した端末。また201HWはAXGP対応として初のスマートフォンだ。ともにHuawei製

 2月24日の商用サービス開始以降、対応端末はデータ通信専用端末(モバイルWi-Fiルーター)のみだったが、2012年冬モデルでは対応スマートフォン6機種が登場した。ただしスマートフォンの通信速度は最大76Mbpsで、下り最大110Mbpsが可能なのはモバイルWi-Fiルーターの「ULTRA WiFi 4G 102HW」(Huawei製)のみだ。

 今回はその102HWと、冬モデルとしていち早く発売されたAndroidスマートフォン「STREAM 201HW」(Huawei製)を利用して、SoftBank 4Gがどこまで快適さに使えるのかを検証してみた。

 ちなみに、ソフトバンクモバイルはiPhone 5向けに「4G LTE」を提供しているが、こちらはFDD方式のLTE規格を使ったもので、用いる周波数帯も異なる。同じく4Gと呼ばれる高速通信の規格ではあるが、SoftBank 4と4G LTEは別のサービスだ。ただし、SoftBank 4(AXGP)はTDD方式のLTE規格との完全互換をうたっており、まったく関連性がないわけでもない。

ルーターの通信速度を検証

 まずは102HWを使って通信速度を検証する。102HWはSoftBank 4Gとして初めて、現行の規格上限である下り最大110Mbps/上り最大10Mbpsの通信に対応した機種だ。出荷時状態から一切設定を変更していない102HWと、筆者のPCを用いて速度を計測した。

photo ルーターの通信速度の計測に利用したThinkPad T430s。無線LANは「Intel Centrino Ultimate-N 6300」を搭載し最大450Mbpsの通信が可能
photophoto 計測サイトはSPEEDTEST.NET(写真=左)とRBB TODAY GIGA SPEED(写真=右)を利用した。前者はFlash、後者はJavaを用いて計測を行う

 計測場所は、筆者の自宅がある東京都足立区、埼玉県さいたま市南区にある喫茶店、東京都千代田区外神田の住友不動産秋葉原ビル前の交差点、神奈川県横浜市のJR横浜駅の東海道線下りホーム、同川崎市の東急東横線武蔵小杉駅の上りホームの5カ所。いずれも平日の昼間(10時〜15時)に立ち寄った場所で、SoftBank 4Gのエリア内と案内されているスポットだ。

 計測サイトは、Flashを使う「SPEEDTEST.NET」と、Javaアプレットを用いる「RBB TODAY GIGA SPEED」の2つを利用した。前者では、沖縄・那覇に所在する計測サーバーを選択し、PING(応答速度)と通信速度を計測。RBB TODAY GIGA SPEEDは、東京・日本橋にサーバーが所在しており、通信速度のみを計測している。なお、通信速度の単位が、SPEEDTEST.NETはkbps、RBB TODAYはMbpsを用いているので注意していただきたい。

早速、各所の結果を見ていこう。

「102HW」の測定結果(SPEEDTEST.NET)
場所 項目 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均
東京都足立区某所 PING 68ms 67ms 139ms 80ms 136ms 98ms
下り 9146kbps 25360kbps 21617kbps 21228kbps 22299kbps 19930kbps
上り 3653kbps 5714kbps 5201kbps 5542kbps 5785kbps 5179kbps
さいたま市南区の喫茶店 PING 125ms 65ms 125ms 115ms 75ms 101ms
下り 18764kbps 22339kbps 7192kbps 18019kbps 14858kbps 16234.4kbps
上り 4862kbps 4794kbps 4406kbps 4983kbps 4875kbps 4784kbps
住友不動産秋葉原ビル前 PING 65ms 75ms 85ms 125ms 55ms 81ms
下り 13180kbps 12761kbps 9323kbps 6181kbps 12029kbps 10694.8kbps
上り 5433kbps 4815kbps 3857kbps 5029kbps 5285kbps 4883.8kbps
JR横浜駅 PING 75ms 65ms 95ms 85ms 135ms 91ms
下り 19812kbps 23687kbps 17579kbps 20909kbps 23944kbps 21186.2kbps
上り 6583kbps 6588kbps 6212kbps 6318kbps 6525kbps 6445.2kbps
東急東横線武蔵小杉駅 PING 135ms 75ms 125ms 85ms 125ms 109ms
下り 18821kbps 17509kbps 10178kbps 21053kbps 15388kbps 16589.8kbps
上り 5616kbps 5995kbps 5466kbps 5855kbps 5954kbps 5777.2kbps
総平均 PING 96ms
下り 16927.04kbps
上り 5413.84kbps

「102HW」の測定結果(RBB TODAY)
場所 項目 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均
東京都足立区某所 下り 2.60Mbps 4.26Mbps 2.87Mbps 13.72Mbps 9.04Mbps 6.50Mbps
上り 6.23Mbps 5.15Mbps 7.46Mbps 1.11Mbps 1.37Mbps 4.26Mbps
さいたま市南区の喫茶店 下り 13.43Mbps 15.08Mbps 13.96Mbps 13.90Mbps 13.82Mbps 14.04Mbps
上り 1.13Mbps 5.55Mbps 1.22Mbps 6.09Mbps 1.16Mbps 3.03Mbps
住友不動産秋葉原ビル前 下り 4.41Mbps 4.41Mbps 7.37Mbps 9.32Mbps 7.34Mbps 6.57Mbps
上り 0.56Mbps 1.18Mbps 4.88Mbps 1.00Mbps 1.00Mbps 1.72Mbps
JR横浜駅 下り 12.76Mbps 12.02Mbps 13.69Mbps 12.86Mbps 4.74Mbps 11.21Mbps
上り 6.54Mbps 6.50Mbps 7.27Mbps 7.75Mbps 7.16Mbps 7.04Mbps
東急東横線武蔵小杉駅 下り 15.29Mbps 12.76Mbps 14.80Mbps 15.48Mbps 16.73Mbps 15.01Mbps
上り 6.53Mbps 5.18Mbps 5.31Mbps 5.53Mbps 6.43Mbps 5.80Mbps
総平均 下り 10.67Mbps
上り 4.37Mbps

 SPEEDTEST.NETの計測結果では、5カ所とも平均で下り通信速度が約10Mbps(平均値を1000で割った値)を超える結果となった。RBB TODAYでの計測結果では、足立区某所での計測結果が比較的振るわなかったが、5カ所の平均を求めるとこちらも約10Mbps以上の通信速度だ。

 上りの平均速度はSPEEDTEST.NETで約5.4Mbps、RBB TODAYは約4.4Mbps。いずれも、モバイルルーターとしては良好な結果だ。応答速度は平均96ms前後で、AXGPの低遅延という特徴が数値に表れていると言えるだろう。

 この102HWとPCの組み合わせで、さまざまなサイトを見て回ったり、画像のデータを大量にアップロードしたりしてみたが、4Gエリア内であれば、データが突然やりとりできなくなるような“ひっかかり”は特に見受けられなかった。ただし、3Gエリアと4G(AXGP)エリアの境界ではどうしても通信が途絶えてしまって、ページが開けなかったり、データのアップロードに失敗する現象が起こってしまった。AXGPのエリアがしっかりと展開されるようになれば、そのような現象も起こりにくくなるのかもしれない。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年