NTTドコモ、今秋にもTizenスマホを発売へ――端末上でdマーケットのサービスも展開Mobile World Congress 2013

» 2013年02月27日 14時52分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 Tizen Associationは2月26日、スペイン・バルセロナで開催したイベントで、「Tizen 2.0」を発表した。Huawei Technologiesが技術ステアリンググループ(TSG)に加わったことなども併せて発表。会場にはTizenが動くデモ機も展示され、NTTドコモとOrangeの2社が今年の秋をめどに端末を発売する予定であることも明かされた。

Photo 左からTizen Associationのチェアマン、永田氏、Huaweiのユー氏、France Telecomのイブ・メートル(Yves Maitre)氏、Intelのダグ・フィッシャー(Doug Fisher)氏、Samsungのユン氏、Intelのクリストファー・クロトー(Christopher Croteau)氏

 Tizenは、IntelとSamsungが2011年秋に発表したオープンソースのモバイルOSプロジェクトで、Linux Foundationが管理している。現在メンバーは12社で、富士通、NECカシオ、Panasonicら日本メーカーも名を連ねている。

Photo Huaweiの端末事業CEO兼取締役のリチャード・ユー氏

 Tizen Associationのチェアマンを務める永田清人氏(NTTドコモ、執行役員)はこの日、Huawei TechnologiesがTechnical Steering Group(TSG)の一員になったことを発表しており、Samsung以外のグローバルメーカーが加わることで、プロジェクトの推進に弾みがつきそうだ。Huaweiの端末事業トップ、リチャード・ユー(Richard Yu)氏は、「Tizenは成功すると信じている」と期待を寄せた。

 永田氏はまた、MWCの前の週にSDKとともにコードを公開した「Tizen 2.0」について「(バージョン2.0は)商用デバイスと商用エコシステムの土台となるもの」と述べ、製品化に大きく近づいていることをアピールした。アプリストア「Tizen Store」も2013年後半に公開するという。

 この日、Samsungは2013年にTizen端末を発表することを明らかにし、NTTドコモとOrangeはともに「2013年後半をめどに発表する」と明言した。Orangeのデバイスグループで技術ディレクターを務めるフレデリック・ドゥファル(Frederic Dufa)l氏は、Tizenスマートフォンを投入する理由として、(1)顧客へ選択肢の提供(2)オペレーターによるカスタマイズや差別化(3)オープンソースかつ堅牢なプラットフォーム などを挙げた。永田氏も、自由度の高さや高度なユーザー体験を挙げたが、一方で「(製品)登場までにエコシステム側を準備する必要がある」としている。

 なお、SamsungはAndroidのほか、独自OS「Bada」の開発も手がけており、Samsungのハンキル・ユン(Hankil Yoon)氏は、「既存のBadaエコシステムを活用したい」と述べた。だが、Badaの開発打ち切りの可能性については「まだ決定していない」というにとどめた。

Photo イベント会場ではSamsungのTizen試作機も展示されていた

 デモでは、「Cut the Rope」などのゲームや動画共有の「Vimeo」など複数のアプリを動かしてみせた。TizenはHTML5などのWeb標準技術で開発できるフレームワークを備えており、Cut the Ropeの場合、HTML5を使って数週間でTizenアプリケーションを完成させたという。「Tizen向けアプリの開発はとても簡単」とSamsungのユン氏は述べる。今後、開発者に新しい現実的なチャンスがあることをアピールし、アプリ開発を奨励していくという。

 Intelにとっては、Moblin、MeeGoに次ぐ取り組みとなり、NTTドコモ、OrangeらからみるとLiMo Foundationなどの取り組みを経た末での挑戦となる。これまでのOSへの取り組みとの違いについてOrangeのドゥファル氏は「失敗から学んだ」と答えた。LiMoでは参画者の合意の上でプロジェクトを前進させることが難しく、「商用レベルに達するにはほど遠かった」とドゥファル氏。Tizenでは、管理はLinux Foundationにまかせるなど、それぞれが専門分野に特化し、効率よくプロジェクトを進めているという。

 なお、NTTドコモの永田氏は発表会後に取材に応じ、Tizenスマートフォン向けにもdマーケットなどのサービスは展開し、ユーザーインタフェースで新しさを打ち出すことになるだろうと述べた。

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