Windows Phone 7.8を提供したけれどななふぉ ITmedia支店(1/2 ページ)

» 2013年04月10日 19時49分 公開
[山口健太,ITmedia]

Windows Phone 7.8とはなんぞや

 Windows Phoneの次期バージョンの名前を「Windows Phone 8」と公表した2012年6月の「Windows Phone Summit」で、Windows Phone 7.5からWindows Phone 8へのアップグレードができないことも明らかになった。Microsoftは、既存ユーザー向けのアップグレードパスとして「Windows Phone 7.8」という代替案を用意した。

 2012年6月時点でNokiaの最上位モデルだった「Lumia 900」は、2012年4月に米国で発売されたばかりだったが、発売後わずが2カ月でメジャーバージョンアップの道が絶たれたことに、既存のWindows Phone 7.5ユーザーは大きな衝撃を受けた。

 Windows Phoneを積極的に採用しているNokiaを支援したいMicrosoftにとって、これは苦渋の決断だったと思われる。ただ、Windows Phone 7.5導入モデルは販売台数が少なく、アップグレードパスを用意するコストに見合わないことが以前から指摘されてきた。さらにWindows Phone 8ではOSカーネルを刷新するなど、アーキテクチャを大きく変更している。こういった背景を考慮すれば、Microsoftの決断はやむを得ないと考える業界関係者は多い。

 だが、Windows Phoneの可能性を信じて先行投資をしてきたユーザーにとって、7.5から8へのアップグレードが提供されないことは簡単には納得できないだろう。

2012年6月に発表したWindows Phone 7.8。同時にWindows Phone 7.5からWindows Phone 8へのアップグレードは不可能であることも明らかになった

Windows Phone 7.8の新機能に失望の声

 Windows 8発売の3日後となる2012年10月29日、Windows Phone 8も正式の発表を経て販売を開始した。しかし、既存のWindows Phoneユーザーが利用できるアップデートバージョンのWindows Phone 7.8に関してその時点で明らかになったのは、「Windows Phone 8の新機能の“一部”を提供する」という情報のみだった。後日、Windows Phone 7.8は2013年の早い時期にリリースする予定であることを発表し、実際、2013年1月末より提供を開始した。Windows Phone 8に遅れること約3カ月でのリリースとなった。

 こうして既存デバイスへの配布を始めたWindows Phone 7.8だが、その新機能は少ない。主な新機能は「ライブタイルのアップデート」「テーマカラーの追加」「Bing壁紙」「パスワードロックにおける事故防止」の4点だ。ほかにもデバイスベンダーが独自に開発したファームウェアアップデートで新機能を追加したモデルもあるが、Microsoftが提供するOSアップデートは、この4つの新機能だけとなる。

スタート画面では3種類のタイルサイズに対応する。アクセントカラーは最大21色から選択可能になった(写真=左)。検索エンジン「Bing」のトップページに表示する画像をロック画面にも表示できる(写真=右)

 Windows Phoneの最も特徴的なUIであるスタート画面のライブタイルが、Windows Phone 8相当に機能を向上したことは、確かに大きな変化といえるだろう。とはいえ、Windows Phone 7.8で提供するそれ以外の新機能については、Windows Phone 7.5のユーザーにとって期待外れともいえる小規模な変化に過ぎない。例えば、Windows Phone 8では端末操作のみでスクリーンショットを撮影する機能を新たに追加したが、Windows Phone 7.8では導入していない。

 ただし、2010年秋に登場した第1世代の「Windows Phone 7」端末にもWindows Phone 7.8を提供した点は注目に値する。第1世代のWindows Phone 7導入モデルは発売から2年半近くを経過しているのに最新のアップデートが提供された近年では珍しい「長寿」端末になった。

 日本国内では、KDDIが「Windows Phone IS12T」向けに、Windows Phone 7.8へのアップデートを1月31日という比較的早い段階で提供した。このアップデートではMicrosoftのOSアップデートのみで、IS12T独自のファームウェアに変更はなかった。日本では後続となるWindows Phone端末を発売していないだけに、IS12Tを使い続けているユーザーは少なくない。今後、IS12T自体の機能向上はもはや望めないかもしれないが、「最速」ともいえるWindows Phone 7.8を提供した理由には、KDDIのWindows Phoneユーザーに対する感謝があるのかもしれない。

IS12TにもWindows Phone 7.8アップデートが提供された。早い段階の提供開始にユーザーはauを高く評価している

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