京セラは11月15日、2013年冬モデルとして発表した新端末の商品説明会を開催した。説明会では米国市場向けモデルとマーケティングの取り組みの紹介もあり、グローバルな携帯電話メーカーとしての存在感をアピールした。
京セラの携帯電話事業は日本のほか、海外では北米を中心に展開。今年はこれまでに、スマートフォンとフィーチャーフォンを合わせて30機種を国内外で発表した。うち海外向けは14機種で、スマホが9機種、フィーチャーフォンが5機種。国内向けは16機種で、スマホが6機種、フィーチャーフォンが10機種という内訳だ。また半数近い14機種に、京セラ独自のスマートソニックレシーバーが搭載されている。なお2012年に投入したモデル数は15機種で、端末バリエーションは倍増した。
各市場でのシェアも好調だ。北米市場における2013年上半期(1〜6月)の端末供給数は、1位のSamsung電子、2位のApple、3位のLG エレクトロニクスに次いで第4位に位置し、日本メーカーではトップだった。国内ではシェア10.3%で同じく4位(4月〜9月)だが、PHS端末についてはシェア75%と圧倒的な強さを見せている。
京セラ 通信機器関連事業本部マーケティング部長の能原隆氏は、「2013年度は1200万台の携帯電話を出荷する予定で、上期が終了した時点では順調に推移している。国内ではスマートフォンが堅調で、フィーチャーフォンもKDDI向けの『GRATINA』などが好調だ。またPHSは2月に発売した『STOLA WX08K』がGfKの販売ランキングでずっとトップになっている。PHSについては、スマホ普及の今だからこそチャンスだと考えている。これからPHSをどう位置づけていくのか、社内で議論を続けている」と説明した。
京セラの米国向けビジネスは主にプリペイド事業者向けなのが特徴。2012年後半から2013年にかけて発売した「Hydro」「EVENT」「RiSE」の3機種は、スペックは決して高くないが、シリーズで300万台を出荷する人気モデルとなった。能原氏によると、米国の携帯電話ユーザーは収入に応じてライフスタイルが固定する傾向にあり、プリペイド端末は価格が重視されるという。販売奨励金が付かないことから、これまでは低価格な中国メーカー製のフィーチャーフォンが主流だったが、1年ほど前からスマホへのニーズも高まり、京セラは低価格+防水性能を武器に参入。これが実用性を重視するプリペイドユーザーに受けているという。
プリペイド向けをテコに、ポストペイ事業者向けのビジネスも拡大している。8月にはVerizon Wirelessが「Hydro ELITE」の取り扱い開始、U.S.Cellularへの端末供給も始まった。また11月20日には初のT-Mobile用モデル「Hydro XTRM」(法人用)が発売される。さらにフィーチャーフォンへのニーズも一定数あることから、新ブランド「kona」シリーズを展開した。ユーザーと事業者のニーズに応える形で端末を開発する姿勢は、日本向けビジネスと変わらない点でもある。
能原氏は今後について、「京セラは米国に販売拠点を持ち、10年以上携帯電話事業を続けてきた。その結果、少しづつではあるが市場で認められるようになった。今後もシェアを上げ、ビジネスを拡大させたい」と意気込みを語った。
国内向けに目を向けると、京セラは冬モデルとしてau向けスマートフォンの「DIGNO M KYL22」を筆頭に、同じくau向けフィーチャーフォンの「MARVERA」と見守り機能に特化したGPS端末の「あんしんGPS」、ウィルコム向けのPHS「LIBERIO 2 WX11K」と「WX12K」をラインアップしている。
DIGNO Mは、幅69ミリの防水・防塵ボディに5インチフルHD(1080×1920ピクセル)表示の液晶ディスプレイを搭載した機種。ディスプレイにはパネル自体が振動して通話音声を伝えるスマートソニックレシーバーを採用した。メインカメラは有効約1300万画素CMOSで、プロセッサーには2.2GHz駆動のクアッドコア「MSM8974」を用いている。重さは134グラムと、同クラスの防水スマホの中では最軽量なのも特徴だ。
ボディは背面が大きくカーブしており、エッジ部はわずか3ミリの厚さまで薄くなっている。こうした形状は大画面化と同時に持ちやすさを追求したもので、スリムながら容量2600mAhと大きめのバッテリーを内蔵するのもポイント。片手でも使いやすいよう背面にレイアウトした電源キーには、セラミックとチタンなどの金属でできている複合素材のサーメットが使われている。またソフト面でも片手操作がしやすいような工夫が数多く盛り込まれた。
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