CEATEC JAPAN 2013の京セラブースでは、米国市場向けAndroidスマートフォン「Torque(トルク)」と「Hydro ELITE(ハイドロ エリート)」の実機を展示している。
2機種とも決して派手なモデルではないが、海外で固定ファンを獲得している国産スマホに触れられる貴重な機会と言えるだろう。特にTorqueが放つ、いかにもプロ仕様な存在感は他にはない魅力でもある。
Torqueは、米Sprint Nextelが主に法人向けに販売しているタフネスモデルだ。建築や土木など、丈夫さが求められる“現場仕事”でも支障なく使えるよう、防水(IPX7)/防塵(IP6X)性能に加えて物資調達規格MILスペック(MILITARY STANDARD 810G)の耐衝撃性にも準拠した。タッチパネルには強化ガラスが使われており、激しい騒音下でも通話音声が聞き取れるように、ディスプレイが振動して音を伝える京セラ独自のスマートソニックレシーバーも搭載している。
OSはAndroid 4.0で、ディスプレイは4インチのワイドVGA(480×800ピクセル)表示IPS液晶を採用した。プロセッサーは1.2GHzデュアルコアのSnapdragon「MSM8960」でカメラは5メガピクセル、メモリ容量(RAMが1Gバイト、ROMが4Gバイト)など、今となっては最新のコンシューマー向けハイスペックモデルから見劣りする部分もあるが、後継モデルが登場するなら日本投入にも期待したい。
Torqueがいわば限られたユーザー向けの端末なのに対し、Hydro ELITEは一般コンシューマー向けの防水スマホ。こちらは米Verizonが8月末に発売したモデルで、京セラとして初のVerizon向けモデルでもある。米国でも防水スマホのニーズは高まっているそうだが、日本ほど対応モデルが多くないのが実情。また防水モデルの多くがTorqueのような“ゴツい”ボディが主流のため、ユーザーを選ぶ面もあるという。
Hydro ELITEは普通のスマホと変わらないデザインとサイズのボディで防水性能を持つうえ、初めてスマホを持つエントリー層も想定した“かんたんモード”的なメニューも用意。付加価値が高い普及モデルとして、米国の販売チャンネル拡大を目指している。
京セラはTorqueやHydro ELITE以前にも、北米のプリペイド市場向けにHydroシリーズを供給してきた。比較的低価格でありながら高い防水性を持つことからHydroの人気は高く、それを背景にポストペイ市場向けのTorqueやHydro ELITEが採用された経緯もあるという。こうした積み重ねから、現地では少しづつではあるが「防水スマホなら京セラ」という評価が高まっているそうだ。
京セラブースでは海外スマホのほか、当然ながら発売済みの国内向けモデルを披露。またスマートフォンやフィーチャーフォンに使われている部品や、LTE対応のM2Mモジュールも展示されていた。
中でも同社スマホに搭載が進む「スマートソニックレシーバー」の試聴コーナーが人気。そのスマートソニックレシーバーと同じピエゾ素子を使ったフィルムスピーカーが「スマートソニックサウンド」だ。ファインセラミックス技術で開発したピエゾ素子と樹脂フィルムを組み合わせたもので、厚さはわずか1ミリ。モバイル用、テレビ・AV用、車載用と3つのサイズがあり、いずれも従来式スピーカーの20〜30倍の音を再生できるという。スマートソニックサウンドはLGエレクトロニクスの曲面型有機ELテレビに採用が決まっており、デモ機を使った視聴コーナーも盛況だった。
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