ユーザーは億単位、競争は世界規模に――2014年無料通話・メッセージアプリ最新事情佐野正弘のスマホビジネス文化論(1/2 ページ)

» 2014年03月17日 13時54分 公開
[佐野正弘,ITmedia]

 楽天やFacebookなどの大手インターネット企業が「LINE」の競合アプリを巨額で買収する一方、LINEは一般電話回線向けの格安通話サービスを開始するなど、ここ最近、スマートフォン向け無料通話・メッセージアプリに関する大きな動きが相次いでいる。競争が世界へと広がりつつあるメッセージサービスの最新動向を追ってみた。

国内外で相次ぐメッセージアプリの買収劇

 無料通話・メッセージアプリは現在、スマートフォンのコミュニケーションツールとして多くの国で定着しつつある。国内では2012年末から2013年前半にかけて、画像スタンプによるコミュニケーションなどで注目を集めたLINEのほか、韓国発の「カカオトーク」、そして音声通話を前面に打ち出したCMで注目を集めたディー・エヌ・エー(DeNA)の「comm」など、さまざまなメッセージアプリが現れ、激しいユーザー獲得競争を繰り広げていた。

 そうした競争を勝ち抜き、日本で事実上“定番”の座を獲得したのがLINEだ。LINEは現在、国内だけで5000万を超える会員を獲得しており、スマートフォンの普及率が5割近い現在、ほとんどのスマートフォンユーザーが利用するアプリといっても過言ではないだろう。また日本だけでなく、タイやスペインなど他の国々でも会員を獲得し、3億7000万ユーザーを抱える世界的なサービスへと成長している。

photo LINEは2013年11月に会員数3億を突破。今年には国内だけでも5000万会員を突破するなど、日本ではスマートフォンに欠かせないメッセージアプリとなった

 だがメッセージアプリを巡る動きは、LINEの勝利で落ち着いたわけではない。実際今年の2月に、メッセージアプリに関する非常に大きな買収劇が、世界的に、しかも相次いで起きているのだ。

 最初の大型買収は、日本で起きている。Eコマースサービスなどで知られる楽天が2月14日、無料通話・メッセージアプリ「Viber」を提供するキプロスのViber Mediaを、約900億円で買収すると発表したのだ。

photo 2月にスペインで開催された「Mobile World Congress 2014」でも、WhatsApp社のヤン・クームCEOの講演が大きな注目を集めた

 さらに世間を大きく騒がせたのが、世界的に人気を博しているSNS「Facebook」を提供する米Facebookが2月19日、メッセージアプリ「WhatsApp Messanger」を提供する米WhatsAppを、1600億ドル、日本円でなんと1兆6000億円で買収すると発表したこと。インターネット関連の買収劇においても、これだけ大きな金額が費やされることは過去に例がないことから、世界的に大きな注目を集めることとなったのだ。

買収で注目を集めた「Viber」「WhatsApp Messanger」とは?

 とはいうものの、LINEが広く普及している日本では、「Viber」「WhatsApp Messanger」の知名度は決して高いとはいえない。そのため、なぜ国内で知られていないメッセージアプリが、これほどの巨額で買収されているのか、よく分からない人も多いことだろう。そこでまずは、ViberとWhatsApp Messangerについて簡単に説明しておこう。

 Viberは2010年と、LINEより以前から提供されているスマートフォン向けメッセージアプリで、スマートフォンを黎明期から使用しているユーザーには比較的知名度がある存在だ。Viberを提供するViber Mediaは所在地こそキプロスだが、本拠地はイスラエルにあり、開発拠点はベラルーシにあるとされているなど、国際的な体制を敷いている企業だ。

 Viberは元々、IP電話による無料通話にフォーカスしたサービスとしてスタートしており、有料で固定・携帯電話回線に電話ができる機能「Viber Out」を他のメッセージアプリに先駆けて導入するなど、音声通話に注力している。だが最近では、LINEのスタンプに相当する「ステッカー」機能を搭載するなど、トーク機能にも力を入れてきている。現在は東南アジアや欧州などを中心に2億8000万の会員を獲得し、さらに月間アクティブユーザー数(MAU)も約1億に達している。

photophoto 楽天が買収した「Viber」。「Viber Out」による一般回線への通話発信機能を持つなど音声通話に強みを持つが、最近ではトーク機能にも力を入れているようだ

 一方のWhatsApp Messangerは、提供開始時期は2009年とViberより古くに登場している、テキスト主体のメッセージアプリ。欧米を主体として世界的に広く会員を獲得しており、現在ではMAUが4億5000万に達する、メッセージアプリの最大手といえる存在だ。

 後発のメッセージアプリとは明確に異なる戦略をとっているのも、WhatsApp Messangerの大きな特徴といえるだろう。それを象徴しているのが料金。無料で利用できるメッセージアプリが多い中、WhatsApp Messangerはアプリを利用するのに1年当たり0.99ドルの有料課金制を採用している。その一方で、ゲームや広告などは提供しないと明言するなど、いわゆるプラットフォーム化で収益を上げることは狙わず、あくまでシンプルなコミュニケーションツールであることにこだわる方針を貫いている。機能的に見ても、同種のツールで一般的となったスタンプ機能は取り入れていないし、無料通話機能もいまだに用意されていない(ただしこちらは、今後提供される予定であることが発表されている)。

 有料にもかかわらず、4億を超えるユーザーを獲得することに疑問を抱く人もいるかもしれないが、そもそも海外でメッセージアプリは、1通数円程度の料金を支払う必要があるSMSの代わりに、無料でメッセージのやり取りができることから人気を博した経緯がある。それゆえ1年で0.99ドルというWhatsApp Messangerの料金も、十分“安い”ものとして認識された訳だ。

photophoto 4億5000万もの月間アクティブユーザー数を誇る「WhatsApp Messanger」。年更新の有料課金制を採用し、プラットフォーム化を進める他のアプリとは一線を画す
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  3. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  4. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  5. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  6. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  7. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
  8. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  9. Qualcommのウェアラブル新チップが「Elite」を冠する理由 最新モデム「X105」は衛星通信100Mbpsへ (2026年03月11日)
  10. 【無印良品】ウエストポーチもになる「スリングバッグ」が3990円に値下げ中 植物由来の原料を使用 (2026年03月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年