白戸家、パズドラ、地域限定……スマホ関連CMの最新事情佐野正弘のスマホビジネス文化論(2/3 ページ)

» 2014年04月07日 20時58分 公開
[佐野正弘,ITmedia]

ゲームアプリCMのけん引役「パズドラ」のCMに変化が?

 スマートフォンに関連する事業者の中で、テレビCMを展開しているのはキャリアだけではない。特に近年、大きな注目を集めているのが、ゲームを中心としてスマートフォンアプリを提供するベンダーのテレビCMだ。首都圏では中夜を問わず、ゲームアプリのCMが放映されており、相当な本数のCMが放映されているのは確かだ。

photo ゲームアプリのCMは増加の一途。バンダイナムコゲームスも3月19日に、人気カーレースアプリ「ドリフトスピリッツ」のCM発表会を実施した

 テレビCMによって利用者を増やしたゲームアプリの代表例が、ガンホーの「パズル&ドラゴンズ」(以下、パズドラ)だ。パズドラのテレビCMは一般的なゲームのCMのように、ゲームの内容を直接アピールしない点に大きな特徴があった。過去のパズドラのCM内容を振り返ると、ゲームのプレイ画面はあまり登場せず、生活の中にパズドラが溶け込む様子を表現したり、主婦や学生がパズドラに初めて触れながらも楽しめる様子をアピールしたりするなど、幅広い層に対して手軽に遊べることをアピールすることに主眼を置いている。

 そうしたパズドラのCM展開が、後のゲームアプリのCMにも大きな影響を与えたのは確かだろう。最近のゲームアプリのCMを確認してみると、ゲーム自体よりもスマートフォンで手軽にゲームを楽しんでいる様子をアピールする内容が増えている。

photo スマートフォンゲームで不動の地位を築いたパズドラも、テレビCM展開で急速にユーザー数を伸ばしたアプリの1つ。後のゲームアプリCMにも大きな影響を与えた
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「パズル&ドラゴンズ」の初期テレビCM

 だが最近になって、パズドラのCM内容に変化が出てきた。2014年に入ってからパズドラのCMは従来の路線から一転、ドラゴンが登場してゲームの内容を前面に押し出すなど、その世界観を強くアピールするものへと変化している。同じライト・カジュアル路線のゲームアプリをリリースする他社と差別化を図り、コアなゲームユーザーを取り込む上でも、こうしたCMが増えていく可能性は高いかもしれない。

ゲーム以外のCMも増加、CMのために増資する企業も

 昨今、CM展開が注目を集めるのはゲームベンダーだけではない。2012年から2013年にかけて、LINEやカカオトークなどのメッセージアプリが積極的なテレビCMを展開して激しい競争を繰り広げた。2014年に入ってからは、テレビCMを展開するアプリのバリエーションが大きく広がり、また数も増えているのだ。

 例えば、2013年末から今年の頭にかけてオンエアされた漫画雑誌アプリ「マンガボックス」(ディー・エヌ・エー)のCMは、有名漫画作品のパロディという内容で注目を高め、3月には300万ダウンロードを突破した。直近では、スタートトゥデイのコーディネート共有アプリ「WEAR」が、3月19日より100万ダウンロードを記念してテレビCMを展開。4月3日には200万ダウンロードを記録するに至っている。

photo 2013年末から今年の頭にかけてCMを展開した「マンガボックス」は、3月には300万と急速にダウンロード数を伸ばした

 テレビCMへの力の入れ具合という意味で、注目されたのがニュースアプリの「Gunosy」だ。同アプリを提供するグノシーは3月14日、KDDIが資本参加すると発表。それとほぼ時を同じくして、ウルトラマンを起用したテレビCMを実施している。これはある意味、増資で獲得した資金を、テレビCMによるプロモーションに活用して会員獲得につなげるという、異例の展開ともいえる。

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「グノシー」のCM

 そうした取り組みがもはや異例ではないことを、証明しているのがミクシィだ。同社は2月28日に公募による増資を実施しているが、その目的を確認すると、急速に人気を高めているゲームアプリ「モンスターストライク」の利用者を増やすべく、テレビCMなどの広告宣伝費に充てると説明している。

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「モンスターストライク」のCM

 自社ゲームアプリのプロモーションのために増資を実施するというミクシィやグノシーらの姿勢からは、アプリベンダーが一層の成長を実現する上で、テレビCMが欠かすことができない存在となっていることを、見て取ることができるだろう。

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