年間500万件もの「お客さまの声」をどう生かす?――ドコモCS推進部の取り組み(1/2 ページ)

» 2016年06月06日 11時41分 公開
[らいらITmedia]

 「いただいたご意見は本社に上げさせていただきますね」――。要望を取引先の営業マンやお気に入りのショップの店員に伝えると、しばしばこのような答えが返ってくる。しかし本当に上に伝えられているのかと、正直不安に思う。担当者によってはその場しのぎの対応をされている気分になるものだ。

 特に何千万人というユーザーが利用している携帯電話は、ユーザーからの要望も膨大な数であることは想像に難くない。携帯キャリアはどのようにユーザーの要望を集め、サービス改善に生かしているのだろうか?

 NTTドコモの場合、組織全体でユーザーやドコモショップスタッフの声を吸い上げ、サービス改善に反映させる仕組みを構築している。ユーザーやスタッフから集まった声を当該部署へ届け、回答をもらうことで、サービスや製品の満足度、ドコモショップでの対応の満足度を上げていく。その役割を一手に引き受けるのがドコモのCS推進部だ。

 CS推進部は約30人、お客様相談室は約80人が在籍している。お客様相談室を除けば6:4の割合で女性が多く、CS推進部長も女性が務めている。今回、その中からCS推進部の前田恵理子氏と仲本朱里氏に、顧客満足度を高めるための取り組みについて話を聞いた。

ドコモCS推進部 ユーザーの声を生かした改善事項は、ドコモのWebサイトで公開されている

年間500万件の「お客さまの声」が集められる

 要望がサービスや製品に反映されるまでの流れを簡単にまとめよう。

 CS推進部に集められる“声”は、ショップに来店した顧客、お客さまアンケート、ドコモショップスタッフや社員といった社内からの声の3種類に分けられる。驚くべきはその件数で、ユーザーからの声はアンケート含め年間で500万件、社内からの声は年間8万件にも上るという。ちなみにお客さまアンケートとは、ショップに来店したユーザーに届くインフォメールを経由して届けられた回答のこと。アンケートではショップ対応の満足度や待ち時間などを拾っている。

 さらに「お客さまからの声」と社内の人間からの「気付きの声」は扱いが異なり、後者はより要望が強いものとなる。そのため、後者は声を寄せたスタッフや社員に、1件1件回答を返さなければならない。

 社員発の「気付きの声」は入力後、ドコモサポートの部署であるマーケティングセンターに送られる。以前ドコモショップやインフォメーションセンターで働いていた人たちなどで構成される部署だ。メンバーは届けられた声に1件1件目を通し、主管部ごとに振り分ける。

ドコモCS推進部 NTTドコモの前田恵理子氏

 「すぐに改善してほしいものは5営業日以内に主管部に上申をし、主管部で1カ月以内に回答をしてもらうようにしています」と仲本氏。1カ月以内に調整がつかない場合は継続検討という形になる。改善が難しい案件は、主管部とCS推進部で打ち合わせをし、必要に応じて部署を横断しながら検討していく。

 CS推進部から主管部へは届いた声をまとめて提供する場合もあれば、数十分のタイムラグ程度で、その日リリースしたものの反応をすぐに確認できるようになっている。新製品に対するユーザーの反応などは、能動的にどんどん調べられるのだ。

 集められた要望は、「サービス改善」と「業務改善」の2種類に分けている。顧客にかかわるものは全てサービス改善になり、スタッフからの要望は業務改善に分けられる。例えばドコモショップスタッフが操作している顧客情報管理システム「アラジン(ALADIN)」が使いづらいといった声は業務改善になる。

 大量に届いた声は分析に生かし、あとは主管部が自分のサービスに関わる声を見やすいように、イントラネットのようなシステムを使って公開している。「ショップスタッフや社員が要望を挙げるにも、アンケートを集めるにも、稼働が必要です。その大切な声を逃さないように、改善につなげられるように意識しています」と前田氏は説明する。

要望を挙げやすい仕組み作りでCSを高める

 ドコモショップでは顧客が来店すると、アラジンでお客さま画面を打ち込むが、「気付きの声」を打ち込むボタンもあり、そのまま要望を入力できるようになっている。これは約10年前から既に行っているという。

 企業によってはCS(顧客満足度)向上のために改善会議を開いたり、専用の入力フォームなどで別途要望を挙げたりしているところもあるだろう。しかし業務の流れのまま、同じ画面からすぐに「気付き」を挙げることができるのなら、忙しい業務中にも取り組みやすいし、入力し忘れを防ぐこともできる。このシステムはどんな業種のCSも参考になるはずだ。

 これまで印象に残った気付きの声は、「Androidだと端末の充電の差込口の向きが分かりづらいというスタッフの声がありました。そこで上の部分に凹凸をつけて、上下を分かりやすくしたのは大きな改善でしたね。スタッフからの改善の声がきっかけでした」と仲本氏は話す。ハードウェアの改善にもしっかり取り組んでいるという。

 ドコモは近年サービス系の取り組みが拡大していることもあり、関連する要望が多く挙がってきている。「dポイントに関する声はかなり挙がってきていますね。使い道が広がってうれしいという声をいただく一方で、加盟店を増やしてほしいという声もあり、事業部にはどんどんフィードバックしています」と前田氏は説明する。

 2016年5月の改善では、dカードminiのアプリの設定画面がWi-Fiでも接続できるようになった。Webサイトにも関連ページを取り上げており、過去の改善を含め見られるようになっている。「サイトを作る際はANAの見せ方を参考にした」(前田氏)そうだ。店内ではデジタルサイネージで気付きの声を毎月1〜2件紹介している。

ドコモCS推進部 dカードminiのアプリの設定画面がWi-Fiでも接続可能に
ドコモCS推進部 2015年度の改善事例
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