日本のコンテンツサービスは“モバイル”を中心に回っている。FTTHなど家庭向けのブロードバンドサービスが広く普及し、PCやデジタルテレビ向けの動画・音楽配信サービスが充実してきたにもかかわらず、それらを使いこなせている世帯は少数派だ。iモード時代から携帯キャリア主導によるモバイル向けコンテンツビジネスが中心だった日本では、スマートフォン時代になっても動画配信や各種音楽サービスなどはモバイルで使う人が多数派なのだ。
しかし、時代が変わり、モバイルと家庭向けの固定通信サービスの垣根はなくなった。携帯キャリアが固定通信事業もセットで手掛けるようになり、コンテンツビジネスもPCやデジタルテレビ向けといった「ホーム市場」の重要性が増しているのだ。
NTTドコモでも、2015年3月にドコモ光が開始したことに伴い、家の中でもさまざまなサービスやデバイスを利用できるようになった。しかし、これまでケータイやスマホ中心でネットやコンテンツの利用をしていた人にとっては、光サービスのメリットや利用シーンを想像しづらい。
そこでNTTドコモ関西支社は、ドコモショップやドコモ取扱店に「ウチスマ」コーナーを設置し、専門スタッフの「ウチスマアドバイザー」が顧客提案を行うサービスを開始した。
ウチスマは2015年10月16日、大阪府のドコモショップ枚方市駅前ビオルネ店で初めて運用をスタート。27日にはJoshin岸和田店、11月27日には旗艦店であるドコモショップグランフロント大阪店でもサービスを始めている。ドコモ光を活用したさまざまなサービスの展示を通じて、より楽しく便利な生活を体感してもらい、各種製品への興味を喚起していくのが狙いだ。
ウチスマのベースとなるドコモ光は、NTTドコモが扱う最大約1Gbpsの光ブロードバンドサービスである。2015年3月から新料金プラン「ドコモ光パック」の提供を開始しており、ドコモ光の2015年7月時点での申し込み数は約60万件にまで拡大した。
また「dTV」や「dマガジン」「dヒッツ」といったdマーケットの取扱高は2014年比32%増の728億円にまで到達し、年々dマーケットの存在感は増してきている。
しかし実際には、最新のデジタル機器やサービスを使うと、どのように生活が変わるのか。ユーザー体験は、言葉だけではイメージしづらい部分もある。だからこそ、商品やサービスを実際に体験し、十分納得してもらった上でユーザーに使ってほしいと考えて始まったのがウチスマだという。
今回、筆者はウチスマ最初の店舗であるドコモショップ枚方市駅前ビオルネ店を取材する機会を得た。
ビオルネ店はドコモショップと併設されており、広さはドコモショップと同じ程度。リビングやキッチン、ホームセキュリティといった複数のエリアが設けられており、キャリアショップというよりは住宅展示場のような雰囲気だ。
ウチスマのもう1つの特徴として、NTTドコモ関西支社による専門スタッフ「ウチスマアドバイザー」制度を導入している。1店舗あたり1〜2人を配置し、展示商品やサービスのさまざまな使い方を顧客に案内するというものだ。
ウチスマコーナー中央に設置されたテレビには、セットトップボックスの「dTVターミナル」(7538円、税込)が接続され、「dTV」のコンテンツが再生されている。ウチスマアドバイザーによると、「dTVがテレビで見られることを知らない人は意外と多い」らしく、ここで体験して初めて知る人も多いという。
テレビの奥には子供の遊び場スペースを設けているが、ドコモショップ窓口に背を向けた側にある。そこでビオルネ店では、遠隔カメラの映像を映すタブレットを窓口に置き、わざわざ後ろを振り返らなくても、タブレットで子供の様子を確認できるようにした。
これは留守中などの部屋を見守る「おるすばんカメラ」(月額108円、税込)のサービスを実際に体験してもらおうという計らいだ。映像は遊び場スペースに置かれたネットワークカメラ「スマカメ for docomo CS-QR10-D」で撮影し、タブレット端末にリアルタイムで送ったもの。口頭でネットワークカメラの説明を受けるよりも利用シーンが伝わりやすく、映像の精彩さや実際の動作も体験できる。
同じく家のセキュリティ関連では、スマートロックの「Akerun(アケルン)」が展示されており、設置されたドアに本当にカギをかけることもできる。実際に試すことで「スマホで鍵を開けられる! と驚かれるお客さまも多い」(ウチスマアドバイザー)という。
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