年間500万件もの「お客さまの声」をどう生かす?――ドコモCS推進部の取り組み(2/2 ページ)

» 2016年06月06日 11時41分 公開
[らいらITmedia]
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要望を採用する際の判断基準は?

 挙がってきた声は、どんな基準で採用するのだろうか。声の数が多いものはもちろん、1件だけでも改善すべきと感じたものは採用するという。数の問題だけではないため、要望が増えるのを待って上申するわけでもない。気付きの声の実現率は5分の1程度だという。

 なお、改善するにあたり、他社の動向は必ずチェックする。並びで見たときの違いが分かりやすく、はっきりしているからだ。「優先的に改善するというわけではないですが、○○(他キャリア)さんはできるのに……と言われると、じゃあそれをなぜうちでやっていないのか? と考えるきっかけにはなります」(前田氏)

 料金プランを新設したり改革したりすると、声が挙がりやすいという。主管部が見やすくしたり、会議にレポーティングしたりすることで、うまく伝えられるように意識している。

 ドコモショップのオペレーションの改善や、タブレットアラジンをもっとアラジンの使い勝手に近づけてほしいとの要望の声も少なくない。タブレットアラジンとは、来店した顧客が待っている間に、ある程度手続き内容をタブレット上で進めておくものだ。特にタブレットアラジンに関する声は多く挙がっており、引き続き気付きの声をもとに改善を進めているという。この部分の使い勝手が向上すると、ドコモショップ内での作業フローがスムーズになるため、われわれユーザーからすると「ドコモショップでの待ち時間が減る」というメリットにつながっていく。一見すると、ユーザーには無関係に見える業務システムの改善だが、ドコモショップの効率が上がることはわれわれのストレス軽減になっているのだ。

今後の課題は「発信力を高めていくこと」

ドコモCS推進部 NTTドコモの仲本朱里氏

 CS推進部の課題として仲本氏は、「主管部に直接依頼しているものはしっかり動いてもらっていますが、主管部から能動的に見なければいけないものは、CSからも展開できていない部分もあるのが課題かと思います。事業領域が増えているので各事業部との連携もしっかりやっていきたいですね」と話す。

 前田氏は「今はいただいた声をきちんと改善することに注力しているので、対外的な発信があまりできていません」と振り返る。2015年に公式サイトのCS活動ページをリニューアルし、そこへのリンクとして、2016年からドコモのサイトトップに「お客様の声を活かした取組み」というバナーも置いている。「それでもまだ十分認知されているとはいえません」と仲本氏が話す通り、改善事項を「ドコモからのお知らせ」「新着情報」などで告知するなど、もう少し周知してもいいだろう。

ドコモCS推進部 ドコモ公式サイトのトップページに「お客様の声を活かした取組み」を設置

 改善事例として取り上げきれず、ほとんどの人に知られないままの改善点もある。例えば、ドコモサービスのアプリに要望の多かった機能が追加されても、アップデートの一部としてしか届けられていなかったり、サービス利用者に向けてしか改善点が通知されなかったりしているのが現状だ。前田氏は「今はWebサイトに掲載しているだけなので、今後は社内、社外にかかわらず、発信力を高めていきたいですね」と意気込む。

 今回のインタビューを通じて、ドコモは想像以上にユーザーからの声をしっかりと受け止め、組織全体で改善に取り組んでいることが分かった。要望があるユーザーにはささいなことでも、声を届けてみると、何らかのアクションが期待できるかもしれない。

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