インタビュー
» 2016年07月18日 06時00分 公開

「夢の時代」が終わった今、ゲームアプリを作る意味 「ひとりぼっち惑星」開発者に聞く(2/2 ページ)

[鈴木美雪,ITmedia]
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ところにょり氏

ところにょり 課金システムに対してこれと言った考えはないのですが、少なくとも個人が企業と同じことをするのはあまりにもつまらないとは思っています。個人的に企業の最大の足かせは「大金を稼がないといけない」という点だと考えていて、そのために無尽蔵にユーザーに課金させるようなシステムを構築することが最重要のテーマになり、「自由なゲーム制作」なんていうのは後回しにせざるを得ない状況になってしまっていると思います。

 個人や少人数で開発しているのなら、わざわざ企業と同じ足かせをはめる必要もないですし、大金を稼がないといけないという点を取っ払った「自由なゲーム」が作れると思います。また、大手企業のゲームが多く目に付く時代には、むしろそういったゲームのほうが光って見えるのではないかと感じています。



 ところにょり氏は課金システムについて「企業と同じことはしない」と話す。

 個人と企業では、ゲームを開発する上でどこを重要視するのか、そもそもテーマが違うし、かけられるリソースも全く変わってくる。ところにょり氏は個人であるならば「企業と同じ足かせをはめる必要はない」という。

「夢の時代は終わった」ゲームアプリ業界

―― niftyさんのインタビューで「個人開発者に寛容な社会に少しずつ変わっていけばいいなという希望を持っています」というコメントがありました。


ところにょり氏

ところにょり 個人開発に限れば、スマホゲームはまだまだ発展途上にあると思います。これからますます平凡な企業は淘汰(とうた)されて、企業にとってはつらい状況になっていくかもしれませんが、個人にとってみれば、まだまだやれることは開発者の数だけあるはずです。少なくともいえるのは、つまらないゲームでも大量にダウンロードされる「夢のような時代」はとっくの昔に終わっているということです。

 スマホゲーム界にいまあるのは、他のあらゆる媒体と同じように、面白ければ受け入れられるし、つまらなければ淘汰されるという、至極単純で当たり前な構造だけです。そして、その構造の中で個人開発者が生き残るには面白いゲームを作るしかないし、面白いゲームの判断基準は企業と同じであってはならないと思います。企業には作り得ない、個人でしか作り得ない、その人にしか作り得ない作品を作っていく。当たり前の話ですがそれ以外にないと思いますし、僕自身もそうやってこれからも作っていきたいと思っています。



 ところにょり氏に今のスマホゲーム界について聞くと「夢の時代は終わっているのでは」という。

 「面白ければ受け入れられる」「つまらなければ淘汰される」簡単なルールだが、企業と同じ判断基準では生き残っていけないという点は今後さらに加速していくのではないだろうか。

“ひとりぼっち”になりにくい「現実」と「コミュニケーション」

 「LINE」などのメッセージツールを使うユーザーが増え、SNSをやるのが当たり前になった現代では、スマホによって人とずっとつながることが可能になった。しかし、スマホがあることで、ストレスやプレッシャーが増え、つながっていないといけない感覚に悩むユーザーもいる。スマホストレスを解消するために、スマホ断ちやSNS断ちをする人も出てきた。

 「煩わしい関係性は嫌だ」と思うのは誰もが同じ。だがその一方で、「完全にスマホを断つのは不安」という感覚も同時に残っている。そんな相反する要望に対して、“ひとりぼっち”なのに“どこかの誰か”とつながっているという答えを提示した点が、ひとりぼっち惑星が多くのユーザーに支持された理由ではないか。

 一見不便に見える「返信できない」という機能は、そう考えればむしろ必然であったともいえる。そして、こうしたゲームを生み出すことができるのは、足かせにはめられることのない個人制作者だけなのかもしれない。

  • 「ひとりぼっち惑星」ダウンロード:iOSAndroid
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