なぜ消えた? 100万円超の「超高級Apple Watch」販売終了に見るスマートウォッチ市場の未来

» 2016年09月09日 06時00分 公開
[杉本吏ITmedia]

 Appleが発表した第2世代のApple Watch「Apple Watch Series 2」は、GPSを搭載し、水深50m相当の防水性能を備えるなど大幅にスペックが強化された。しかしその一方で、ひっそりと姿を消してしまったモデルもある。超高級モデルとして100万円を超す価格が付いていた「Apple Watch Edition」の18金ケースモデルだ。

右端が「消えた18金ケースモデル」

 2015年4月に登場した第1世代のApple Watch Editionは、本体ケースに18金を採用し、128万円〜218万円という雲の上の価格が付けられていた。アップルストアでの試着時も、Editionだけは通常の試着用引き出しの中にはなく、わざわざ別ケースに入っているものを持ってきてもらうほどの“特別扱い”だった。

 その18金モデルが、今回のSeries 2では廃止となり、代わりにセラミック製ケースがラインアップされた。価格は38ミリモデルが12万5800円、42ミリモデルが13万800円(いずれも税別)。全てのモデルが100万円を超え、一部は200万円を超えていた、以前のEditionからすればずいぶんと手を出しやすい価格だ。

Edition「以外」が並んでいた試着用の引き出し

 18金ケースモデル販売終了の理由は説明されていないが、これはAppleによるマーケティング上の明確な方針転換の結果だと考えられるだろう。その証拠に、第1世代では最も廉価だった「Apple Watch Sport」もその名前を消し、単に「アルミニウムケースモデル」という名称に変わった。第1世代のときにあった「Sport→無印→Edition」という3段階の格付け・ブランディング戦略そのものを廃止したわけだ。

 もともと、Editionはその価格帯から、単なるデジタルガジェットではなくラグジュアリー製品(宝飾品)として捉えられるのが普通だった。しかし、一方でデジタルガジェットの販売戦略上では、当然のように毎年新モデルを出すことが求められる。「数百万円する製品が1年でお役御免になるのか?」という疑問の声は当初から上がっていた。

 結局、こうした問題を解決することが難しかったのか、あるいは販売が当初の想定通りに振るわなかったのは分からないが、18金ケースモデルは姿を消し、Editionの名前だけが残ることになった。なお、旧モデルをスペックアップした「Apple Watch Series 1」の中にも18金ケースモデルはない。

 Apple Watchは、発表前から(iPhoneがスマートフォン市場を変えたように)既に小さく存在していた「スマートウォッチ」市場を本格的に創出する製品と見られていた。登場から1年半がたち、その役割や市場からの反応が明らかになってきた現段階で、あらためて在り方を考え直した――そうした結果での「18金ケースモデルの廃止」だったのだろう。

 冒頭でも書いた通り、Series 2では防水性能を強化し、GPSの搭載やFeliCa対応など、より日常の中に溶け込むスマートウォッチとしての存在感を高めている。現在のスマホのように、誰もが「特別なもの」とは考えなくなったスマートウォッチの未来。その構想実現のためには、“超高級品”はどうしてもそぐわなかったのかもしれない。

消えたEdition

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