田中 なるほど。ではP9の10点が続いているなか、最後まで迷っていた石野さんの点数は以下の通りとなりました。
石野氏 今回は本当に迷いました。最初はGalaxy S7 edgeに10点入れようと思っていたのです。しかし、S7 edgeはS6 edgeがあった上での端末なので、「革新的」とはいえないと思って減点しました。
その上で、この1年でどこが輝いていたのか? と考えると、やはりHuaweiなのですよね。「Huaweiが輝いていた」なんて2、3年前の日本のスマホ市場では想像できないですよね。それくらい頑張っていたと思うのです。
一同 (笑ってうなずく)。
石野氏 P9とhonor 8でもすごく迷ったのですが、勢いのあるMVNOのなかでもさらに勢いのある楽天モバイルと組んで、デザイン、スペック、デュアルカメラであの値段……「三木谷割」なんていう言葉まで使われたことを考えると……。
一同 (笑)。
石野氏 honor 8かなと。楽天モバイルも、Huaweiの技術力、コストパフォーマンスの高さも印象付けた。そこで、P9には譲ってもらいました。
次点はGalaxy S7 edgeでも良かったのですがiPhoneに与えることにしました。FeliCa対応というのはモバイル業界に与えたインパクトは小さくありません。非接触決済で盛り上がり、グローバルモデルのなかで日本版だけ対応してきた、という点でAppleの変化を感じましたし、それらも含めて次点はiPhoneかな、と。ただ7 Plusはノミネートに挙げたときに言いましたが、大画面での工夫が足りないので、iPhone 7に6点としています。
Moto Zの点数配分でも悩みました。Moto Modsでギミック、拡張性の高さというスマホの新しい形を提案してくれたのは評価できるのですが、マナーモードに切り替えるボタンがなど、ユーザーインタフェース(UI)が“素のAndroid”すぎて、やや玄人向きで使いづらい面があるので2点にとどめました。P9も2点としたのは、honor 8への配点が高いということもありますが、同じメーカーに点数を集中させるのがもったいないということもあってです。気持ち的には、もうちょっと高い点数ですが。
田中 石川さんの点数配分は以下の通りです。
石川氏 Galaxy とiPhoneで迷ったりもしたんですけど、この2機種にとって2016年は「欠点を埋める年」だったのかな、と思います。iPhoneは長年求められてきたFeliCaと防水への対応を果たしたし、Galaxy S7 edgeは完成度を高めてきたわけで。
その中でHUAWEI P9が後追いするのではなく、新機軸で攻めてきたところは大きい。デュアルレンズをiPhoneより早く、しかも個性ある使い方ができている。そこで高い評価(10点)を与えています。あと、ロボホンは「2016年だけ」という可能性もありそうだけれど、2017年以降も新しいロボホンを出してほしいという応援の意味も込めて3点つけました。
田中 では最後に島さんの点数は以下の通りです。
島氏 2016年は大手キャリアのキャッシュバックや割引が規制されたこともあり、コストパフォーマンスを重視して評価しました。
iPhone 7と7 Plusは、カメラのシャッター音が6や6sより極端に大きい問題(編集注:「iOS 10.2」へアップデートすると大幅に解消される)や、内蔵のヘッドフォン端子がなくなって気軽に音楽や動画を楽しみにくくなったことなど、今までと同じように使えないiPhoneをリリースした点が評価できないのです。そういった点やSIMロックフリー版の価格を総合して、僕はiPhone SEを評価しました。10機種に入っていたなら、点数を入れていたでしょう。他の委員の皆さんが重視しているFeliCa対応のApple Payも、必要な人はサービスが強化された「ビューSuicaカード」や、各地域の交通機関や店頭決済が相乗りした非接触IC対応クレジットカードを使っている。話題性はあっても、実際の利用でのインパクトはさほどなかったと思っています。
Galaxy S7 edgeとXperia XZは良い端末ですが、今年の割引規制の影響でコストパフォーマンス面では……。今の状況だと価格がミドルクラス級、大手キャリアの実質価格でいう2万円台の範囲で力の入った端末なら、点数を入れられたのですが……。
そうなると、処理性能を追求しすぎず、カメラ機能に重点を置いたHuaweiに対する評価が高まります。HUAWEI P9はデジカメとして買うのもアリだな、と思うほど衝撃でした。白黒センサーだけで印象的な絵を撮影できる。デジカメにある「ライカMモノクロームのスマホ版か!」というブランド面でのインパクトもすごい。ですが、その後にほぼ同じ性能で安く発売されたhonor 8のコストバリューがあまりにもすごかったのです。海外勢が強い格安スマホ、あるいはMVNOの潮流を象徴する1台として、honor 8に10点を入れました。
田中 島さんはZenFone 3にも3点入れていますね。
島氏 今年(2016年)のSIMフリーの進化の象徴となる、DSDS(Dual SIM Dual Standby)やau VoLTEへの対応、プロセッサとしてミドルクラスのなかでも高性能なSnapdragon 625を採用したことを評価しました。3万円台ミドルクラスで、「デレステ(アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ)」のような高画質3Dゲームアプリもギリギリ遊べる性能を実現した、買いやすいスマホです。
Moto Zとロボホンにも1点ずつ入れました。両機種ともにコストパフォーマンス的には良くないものの、どちらにも光るものがあります。Moto Zは合体だけでなく、国内ではまだですがGoogleからAndroidのVRプラットフォーム「Daydream」への対応が発表されています。
ロボホンはこのキャラクターが現実にいる世界観や、買ったあとに自慢できる点を含めて評価できるものです。ただ、ロボホンはシャープさんの広報の姿勢が弱いと感じます。ロボホンを製品としてではなく、もっとキャラクターとして展開してほしい。アップデート1つとっても、博士キャラのような人が案内するとか。頑張ってほしいですね。
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